花を生けるとは切り花やグリーンをバランス良く配置して、花器に飾るというごくシンプルな作業。だが実際に花を生けて住まいに飾ってみると、それがどれほど生活に潤いをもたらし、心を穏やかにしてくれるのかを実感できる。花をより美しく演出し、存在そのものの佇まいが印象的なKINTOの花器、LUNAベースで、花を生けることがもっと身近に感じられる暮らしを送ってみたい。
癒し、幸福感、リフレッシュ。花を飾って得られる効果
対人関係や仕事で悩みがある時も、疲れて何もする気になれない夜も、住まいに花があるだけで心が落ち着き、ストレスがリリースされていく。植物が持つそんな力を誰もが実感したことがあるに違いない。
人間は古来より花を育て、鑑賞し、慈しんできた。古くは古代エジプト人が墓や教会に花を飾っていたことが示されており、どの国の歴史の紐を解いてみても花を飾ることにそれぞれの国の文化が刻まれている。
花や植物が人々に与える効果については数多くの実験がされており、花を飾り鑑賞することでドーパミンをはじめ、その他の心地良くなる化学物質が人の脳内から放出されている可能性が示唆されている。これは花をもらって、飾られた花を見て心が浮き立つ経験を持つ人にとって、納得できる結果と言えるだろう。
そして花を飾る際になくてはならないものが花器である。切り花を引き立てて輝かせるフラワーベースだが、花の存在に埋もれてしまうものではなく、インテリアにも馴染み、そして花器そのものも美しいものを選びたい。KINTOのLUNAベースは花を楽しみ、器を愛するすべての人が満足できるプロダクトと言えるだろう。
KINTO LUNAベースの魅力
1972年に食器卸売業として滋賀県彦根市に創業し、現在ではテーブルウェアやドリンクウェア、インテリア雑貨など様々なプロダクトを生み出し続けているKINTO。シンプルで上質な製品はアジア、ヨーロッパ、北米、中東などでも展開し、世界中に多くのファンを持っている。
私も少しずつだがKINTOの製品を購入しており、使う度にそのクオリティの高さと機能美に感嘆している者のひとり。例えばSCHALEシャーレガラスケースは収納からディスプレイまで、多くの用途に対応してくれるプロダクトだ。
そしてKINTOのバーニャカウダポット「KAKOMI」は、レシピ作りに悩むこともある野菜を飽きずに美味しく食べる際に役立つプロダクトで、どちらも今や暮らしに欠かすことのできないアイテムとなっている。
KINTOと言えばキッチンツール、あるいはティーやコーヒーのドリンクウェアを思い浮かべる人が多いかもしれない。だがKINTOは数多くのインテリア雑貨も生み出しており、今回フラワーベースを探している際も真っ先に思い浮かんだブランドだ。
そして巡り合ったLUNAベースはボディにはガラス、フタとなるプレートには真鍮という異なるマテリアルを組み合わせ、主張し過ぎず静かに美しい個性を表している。大きさは2種類、カラーはクリアとブラウンの2種が展開中だ。
プレートには中央に穴があり、ここに花を挿せば一輪でも倒れることもなく、プレート無しではまた違った雰囲気を味わえる。花が持つカラーや形状に合わせてプレートの有無を決め、自分好みのシーンを描いてみよう。
花器の種類の選び方は、花に合わせる方法から一歩先へ
花を生けることが習慣になっている人はもちろん、そうではない人でも既に幾つかの花器を持っているのではないだろうか。フラワーベースには陶器や磁器、ガラスなどの異なる素材、そして形状は筒型や壺型など様々なものがあり、大きさも一輪のみからブーケなども飾ることが出来るサイズのものまで多種多様だ。
私もこれまでに幾つかのフラワーベースを所有してきたが、どちらかと言えば花器は花に合わせるものというイメージが強かった。あくまでも主役は花で、フラワーベースはそれを支える存在であったのだ。
そして花を飾る方法も、全体のバランスを考慮しながら長さを整えることはあるものの、購入した時の状態をあまり変えずに花を生けることが多かった。だが花を飾り始めて長い月日が経つと、もう少し花のアレンジメントやディスプレイにこだわりたいと思うようになった。そこで考えたのが、フラワーベースを変えてみることだった。
様々な花のかたちや色彩を活かしながらもその存在自体が美しく、しかも花を生けることがもっと楽しく身近になるもの。探し当てた末に巡り合ったKINTOのLUNAベースは、すべての願いを叶えてくれる花器だった。
花器に合わせて花を生ける
それでは実際にKINTOのLUNAベースで花を生けてみよう。大きいものは高さ13㎝と手ごろなサイズで、選んだのはシックなブラウンカラー。最初はプレートを付けたままで、スッキリとした花器のデザインと花の風情が活きるようにディスプレイすることを意識してみた。
LUNAベースの面白いところは、プレートを外すとがらりと印象が変わるところだ。花瓶の口が広がるプレート無しの場合には、ブーケのように華やかな印象を作り出すことを念頭に生けてみる。
小ぶりのサイズは高さ7㎝と小さめなので、可憐な花が似合いそうだ。こちらもプレート付きと無しでは飾り方や印象が変わって来るので、それに合わせて花の長さを変えてみたり、グリーンを足したり取り除いたりと、LUNAベースの存在感がより活きるようにアレンジメントを考えてみた。
LUNAベースを使用し、花と花器、どちらも美しく見えるように意識すると、花を生けるということはそれほど単純なことではないと実感した。倒れないように花の部分の大きさを考慮し、茎の強さを意識する。花の色彩とグリーンのバランスを確かめ、フラワーベースとのサイズ感を考える…。
だがその難しさも、自分なりに満足のいく生け方ができると、達成感にも似た心地良さに包まれる。LUNAベースはただ花を生けるだけでなく、花と真剣に対峙する、その機会を作ってくれる花器なのだ。
花を生ける新たな喜びを
これまでは花に合わせて花器を選んできたために、花を生けるという作業にさほど難しさを感じなかったが、LUNAベースを使用するとそのデザインや形状に合わせて花を生けるということに向かい合い、新たな方向性に歩み出したことに気付く。
プレート付きの場合なら、どの花を選べばこの真鍮が活きるだろうか?そしてプレートを外した時に、美しく見える花は?KINTOのLUNAベースは、今まで「花ありき」であった花を生けるという行為を、花と花器をともに美しく見せるにはどうすべきかという次のステージへと誘ってくれた。
折しも時は街に花があふれる季節。歩けばあちらこちらで美しく咲き誇る花を見つけることができるだろう。お気に入りのカフェやレストラン、ギャラリーに飾られた花々を見てヒントを得て、LUNAベースを使って自宅で花を生ける楽しみをもっと身近に感じてみたい。
KINTO LUNAベース
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。