ミニマリストとは|その歴史から本質をひも解く
それでは、ミニマリストという言葉はなぜ生まれ、どのような変化を経て一定数の支持を集めるに至ったのだろう。まず、ミニマリストという言葉の定義を明確にしたい。
「ミニマリスト」という言葉の意味
ミニマリズムは1960年代には芸術や政治の様式・手法を指す言葉として存在していた。たとえば近代建築の巨匠のひとりといわれるルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)は「Less is more.(レス・イズ・モア)」、つまり「少ないほうが豊かである」という標語で知られる。オフィスビル建築を多く手掛けたミースは、各フロアの柱や壁を少なく見せる手法を用いて開放的でミニマルな空間づくりを行った。
また、ミニマル・アートを語るうえでは、彫刻家のドナルド・ジャッド(1928-1994)の存在が欠かせない。ジャッドは木や鉄などの産業素材で作られた直方体を空間に並べることで、環境や物語に影響を受けない純粋な芸術を追求した。彼自身は作品に「ミニマル・アート」のレッテルを貼られることを拒んでいたが、当時のミニマリズムの中心的人物であったといえる。
現代において知られるような「個人のライフスタイル」としてミニマリズム・ミニマリストという言葉が使われるようになったのは、彼らのような芸術家がその概念を打ち立てた後のことなのだ。
最小限の暮らしを実践するミニマリストが生まれた背景
2人は2014年と2016年の2回にわたり、世界的なオンライン講演会「TEDxカンファレンス」に登壇し、それぞれがミニマリストになった経緯を語っている。ジョシュアは健康や人間関係、熱中したいことのためにより多くの時間を使い、自分の能力を有意義に活用できるのがミニマリズムの利点だと伝えた。
また、講演のなかで2人は「モノを所有することや、フルタイムで働くことが悪いわけではない。しかしそれらを第一に考えてしまうと、本当の優先順位がわからなくなってしまう」「思い出はモノのなかにあるのではなく、思い出す人々の内面にある」と、モノに執着しない理由を大勢の人に打ち明けている。
モノを持たない暮らしが人生を豊かにするのか
しかし、あわただしい生活のなか、ふと立ち止まって考えたときに、モノを求めるあまり「大切なことがおろそかになっている」と感じたことはないだろうか。自身にとって本当に豊かな生き方を叶えてくれるモノは、働いてたくさんのモノを手繰り寄せた手元に、どれだけあるだろう。
人生を豊かにするのは「モノ」だけではない。経験や成長、人との関わりなど、「コト」が人生にもたらす作用もまた大きいのだ。映画を観たり旅行をしたり、大切な人とディナーを共にしたり。また、くつろげる場所で、ゆったりとカラダや心を休めることも必要だろう。
賃貸マンション経営で生活の場を提供するZOOM LIFEは、そうした思いに共感する人のために、モノに執着せず生きる「ミニマリスト」に関するコンテンツをさまざまな切り口で発信している。
ZOOM LIFEが発信するミニマリストの生活
「消費」ではなく「愛用」を軸にミニマリストとしての暮らしを整える
しかし、消費のサイクルのなかで手元をすり抜け、やがて廃棄される大量のモノたちは、個人の暮らしを一時的によくしても、長い目で見ると地球環境をむしばむ。ミニマリストがそのような生活を当たり前のことにしてしまうと、結果として未来の豊かな生活が失われてしまうかもしれない。
ZOOM LIFEが発信するのは、ミニマルとエシカルを両立するライフスタイル。エシカルは直訳すると「倫理的な」という意味になるが、「良識ある」と言い換えてもよいだろう。ミニマリストの考えを取り入れつつ、地球環境や社会にも配慮した暮らしを提案したい。
もちろん、すでにモノが多い人に向けて「断捨離」の方法も取り上げている。大切なのは、モノを捨てたあとは不要なモノを増やさないこと、それから長く愛用することを前提に手元に置くモノを選ぶこと。消費に頼らないミニマルライフの実践のため、ZOOM LIFEでは具体的な方法を発信している。
モノの手放し方がわからない人は、この記事を読んでみてほしい。
モノを減らすことに留まらない、豊かな生活の追求
まず考えるべきことは、モノを減らして生じた余白でなにを始めたいか。「素材や味付けにこだわって本格的な料理をしたい」「美術館を訪れる機会を持ちたい」「あこがれの楽器の練習を始めたい」……。いずれもあと少し、生活にゆとりがあれば手が届きそうだ。
しかし、モノを中心に生活しているなら、今よりずっとモノを減らして身軽にならなければ達成できないこともある。たとえば「初めての一人暮らし」「海外ボランティアへの参加」など。身の回りにモノが多いと選択肢が限られてしまうことも、ミニマリストならバックパック1つに必要なモノだけ詰め込んで準備を始められる。経験のためのフットワークを軽くできるのだ。
ZOOM LIFEが発信する情報の多くは、「モノのために」「モノを中心に」生きることから少し離れるための提案。掃除や整理整頓、モノの手入れなどにかけるコストを上手に削減し、本当にやりたい「コト」に注力できる時間やお金を捻出できるようなヒントを紹介したい。
ミニマルな暮らしを始めるためのヒント集
暮らしを軽やかにしてくれるミニマリストの考え方
ミニマリストの概要はこちら
シンプリストが選ぶ持ち物の基準についてはこちら
新生活に向けたシンプル&ミニマルな暮らしの概要はこちら
ミニマルに生きると暮らしについてはこちら
ミニマリストが本当に必要とする「モノ」の選び方
ミニマリストの愛用品についてはこちら
生活感のない部屋づくりのコツはこちら
「PAPER POCKET HOLDER」の概要はこちら
ミニマリストの本質を理解してゆとりある快適な生活を
ミニマリストを目指すからといって、モノを捨てること、あるいは持たないことに固執する必要はない。身の回りにモノがないこと自体が、豊かな暮らしをもたらしてくれるわけではないからだ。モノを中心とした暮らしから少しずつ離れて、浮いた時間やお金を「経験」に充ててみること。それが自身にとって最適なミニマリズムを実践するための糸口となるだろう。
ミニマルな暮らしを実践するなかで迷ったときや、なにか新しい発想のヒントが欲しいときは、ぜひこのページで紹介したミニマリストの本質や関連コンテンツを参考にしてみてほしい。