Vol.335

KOTO

03 MAY 2022

サステナブルな暮らしを目指して。私たちが今から地球にできること

近年、世界中で注目される「サステナブル」な取り組み。「サステナブルファッション」「サステナブル経営」などのワードも耳にするようになった。しかし、何となく敷居の高いイメージから、自分事として捉えにくいという声も聞かれる。なかには、「サステナブルって何?なんて今さら聞けない…」と思っている人もいるかもしれない。この記事では、無理なく心地よく、サステナブルな暮らしを目指すためのアイデアを紹介する。

サステナブルな暮らしってどういうこと?

風力発電も、サステナブルな取り組みの1つ

「サステナブルな暮らし」は世界共通の目標

サステナブル(Sustainable)とは、英語の「sustain(持続する)」と「able(〜できる)」からなる言葉だ。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味を持っている。

つまり「サステナブルな暮らし」とは、地球の環境を壊さず、限りある資源を使いすぎないようにして、未来も美しい地球とともに生活し続けていけることをいう。サステナブルな暮らしの実現に向けて、世界中が共通の目標として取り組み始めているのだ。

なぜサステナブルな暮らしが必要か

サステナブルな社会を目指す背景には、地球環境が脅かされている現状がある。発展途上国の経済発展や医療の進歩によって地球の人口は増え続けており、このままでは食糧や資源が不足する危険性が指摘されている。

また経済活動で排出される二酸化炭素によって、地球温暖化も深刻化しているのだ。これまでと同じ資源の使い方をしていては、地球の豊かさを保つことは難しいだろう。

SDGsの活発化で注目を集めたサステナビリティへの取り組み

私たちの生活に必要不可欠なプラスチック。ごみとなってからは私たちを悩ませる素材に
サステナブルな取り組みが加速した要因は、2015年に国連が採択した「SDGs」にある。SDGsには持続可能な社会の実現に向け、2030年までに解決すべき課題が盛り込まれている。

「持続可能な開発目標」として掲げられたのは「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「つくる責任 つかう責任」「海の豊かさを守ろう」などの17項目。この一部は、私たち一人ひとりがサステナブルな暮らしを目指すことで達成に近づくことができる。
サステナビリティに関するテーマはZOOM LIFEでも多く取り扱っている。
概要はこちらの記事を参考にしてほしい。


サステナブルな暮らしに向けて、意識度をチェック

サステナブルな暮らしの重要性がわかったところで、あなたのサステナビリティへの意識度をチェックしてみよう。

ごみの分別が面倒くさい?

再利用できる資源を余すことなく循環させることも、使用者である私たちの役割だ
ごみの分別は面倒なものだ。素材によっては洗ったりラベルをはがしたり、切ってコンパクトにしたりする必要がある。このようなひと手間が面倒で、取り決め通りでない方法でごみを捨ててしまった経験がある人もいるだろう。

ごみの総排出量は2000年頃をピークに減少傾向にあるものの、このままでは約20年で最終処分場の許容量を超えるといわれている。ルールに沿ってごみを出すことで廃棄にかかるエネルギーを抑え、再利用できる資源が確保されるため、面倒でも分別することが大切だ。

疲れたらタクシーに乗ってしまう?

歩き疲れたとき、荷物が多いとき、ついタクシーに乗ってしまう人も多いのではないだろうか。都内では2017年に初乗り料金が引き下げられた ことで、ますます利用しやすくなっている。

車から出る排気ガスの排出量や、限りある資源であるガソリンの使用量を抑えることもサステナブルな行動につながる。無理のない範囲で、公共交通機関や自転車を利用することを考えてみよう。車移動から徒歩に切り替えることは、地球にはもちろん個人の健康のためにもよい。

ホテルのアメニティグッズが大好き

おしゃれなアメニティを楽しめるのも、ホテル宿泊の魅力の1つだが…。
ホテルへの宿泊で、アメニティグッズを楽しみにしている人も少なくない。アメニティは衛生面への配慮から、ほとんどがプラスチック素材でできている。プラスチックは「腐らない」という優れた性質を持っているが、この性質によって廃棄されても生分解せずに蓄積するといった代償が伴い、深刻な問題となっているのだ。

プラスチックごみを出さないために「使用しない」という選択をしてみよう。また客室で使用した歯ブラシや歯磨き粉などは、使い捨てせずに持ち帰って「使い切る」ことが大切だ。
プラスチックという素材そのものを見直す活動もある。私たちを取り巻く環境はモノづくりの視点からも大きく変化しそうだ。

食品は「奥から取る」のが習慣?

スーパーやコンビニでの買い物の際、棚の奥から商品を取るのが習慣になっている人も。しかし、このアクションは「サステナブルな暮らし」に当てはまるとはいえないだろう。購入者全員がこのような行動を取ると、期限の短い商品が売れ残って廃棄せざるを得なくなってしまう。その結果、食品ロスを加速させてしまうのだ。

賞味期限の短いものから買うことで、食品ロスの削減に貢献できる。この取り組みは日本では「てまえどり」という言葉で広まり始めている。すぐに食べるときには値引き商品から購入するのもおすすめだ。

みんなで取り入れたい、サステナブルな暮らしのヒント5つ

エネルギー消費を抑える

部屋の中で、点け続けている必要のない電気はないだろうか?
暮らしの中で、エネルギー消費を抑えられる場面がないかどうか考えてみるのはどうだろう。食器洗いや歯磨きのときには水を出しっぱなしにせず、使うときにだけ適切な量を出そう。使っていない部屋の電気は消し、長時間使用しない電気機器のコンセントは抜いておくのも効果的だ。

見落としがちなのは、お風呂の「追い炊き機能」にも電力が使われているということ。自動で温度を一定に保つ設定になっている場合、温度が下がるたびに追い炊きが行われるので注意が必要だ。家族がいるなら続けて入ることで無駄をなくせるだろう。

食品ロスを減らす

食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。世界全体では、生産された食料の約1/3が食品ロスとして廃棄されている現状がある。このままでは食品廃棄物が地球温暖化に影響を与え続けるだけでなく、飢餓に苦しむ人たちがますます増える危険性が指摘されている。

私たちが暮らしの中でできることの1つは、食べきれる量だけを買うこと。何を作るかを決めてから買い物に向かうのもよい方法だ。量り売りを利用すれば、本当に必要な分だけが手に入る。また、作りすぎてしまったときには、近くに住む家族や友人に「おすそ分け」してみてはどうだろうか。

外食時も頼みすぎに注意し、食べきれなかったものは持ち帰れるかどうかを事前に確認してみよう。
近年ではフードロス問題を解決するためのアイデア食品も登場している。

モノを大切に、循環させる

使い捨てを減らし、手元にあるものを大切にすることもサステナブルな暮らしといえる。たとえば、服を買うときは、長く使える素材かどうかを確認しよう。その際、オーガニック天然繊維やリサイクル繊維製のもの、製造過程から環境に配慮されているものを選ぶとなおよい。

汚れたり破れたりしてもすぐに捨てず、手入れをして部屋着にし、長く着用することが望ましい。最後は雑巾にして掃除や新しいモノの手入れなどに使えば、初めて「モノを使い切った」といえるだろう。

まだ着られるけれど不要になった服や道具は「捨てる」のではなく、リサイクルショップやフリマアプリなどを利用して「譲る」という手もある。モノは購入する際に必要かどうかをよく検討することが大切だが、モノの手放し方についても考えてみてはどうだろうか。

マイバッグ・マイボトルを持ち歩く

マイバッグの持参は、レジ袋の有料化で習慣づいた人も多いはず。
前述の通り、プラスチックごみは分解に時間がかかり、環境汚染の原因となる。マイバッグを持ち歩くことでレジ袋の消費を減らすことにつながるだろう。さらに、マイボトルを持ち歩けばペットボトルごみを削減できる。外出のたびにペットボトル飲料を購入していた人は、一度見直してみるとよい。他にも、マイカトラリーやマイストローなど、さまざまな「マイ〇〇」が広がりつつあるようだ。

使い捨て商品を見直す

普段何気なく使っている使い捨て商品を、何度も使える商品に替えられないか考えてみてほしい。食品を保存するためのラップは洗って再利用できる蜜蝋(みつろう)ラップに、ティッシュをハンカチに、生理用ナプキンを布ナプキンにと、サステナブルな視点を取り入れれば暮らしがいっそう豊かに変わる。
洗って繰り返し使えるおしゃれなプラスチックストローを生活に取り入れるのはどうだろう。

簡単なことから少しずつ、サステナブルな暮らしを始めよう

一人では小さい変化でも、みんなで取り組めば大きな変化となる
サステナブルな暮らしを実践するには工夫が必要だ。その工夫の真ん中には「やさしさ」がある。世界中がやさしさで包まれたとき、きっと未来は変えられるはずだ。

地球の未来に思いを馳せて、今できることから少しずつ始めてみよう。こだわりすぎることなく、生活の中で変えられそうな部分を見直してみてほしい。自分にも地球にも心地よい選択をすることが、これから生まれてくる人たちみんなの笑顔につながっていくと信じて。