近年話題になっている「サステナブル」とは
サステナブルという言葉の意味
サステナブルの名詞形は「サステナビリティ(sustainability)」であるが、本記事ではよりなじみ深い「サステナブル」という言葉に統一して説明を進めていくこととする。
サステナブルな社会を目指すには、解決すべき問題が山積み
たとえば、地球温暖化の一因といわれている二酸化炭素の濃度問題も理由の1つだ。産業革命以降の経済活動で化石燃料を多く消費した結果、二酸化炭素の排出量が急増し、大気中の二酸化炭素濃度が急上昇した。それとともに地球の平均気温が上昇するなどの気候変動が、現在進行形で続いている。
このような環境負荷による地球温暖化が、世界各国で異常気象や自然災害を招き、サステナブルな社会の実現を遠ざけている。サステナブルな社会を目指すには、解決しなければならない地球規模の問題が山積みなのである。
サステナブルにいち早く目をつけたのはアパレル業界
衣類や雑貨などを生産する過程では、どうしても環境に悪い廃水が大量に発生してしまう。また、不要になった在庫を大量廃棄したり、動物の毛皮を際限なく使用したりすることも、地球環境に配慮しているとはいいがたい。
こうしたアパレル業界の問題を解決しようとする動きは世界に広がっている。2019年にフランスで開かれた主要7カ国首脳会議では、アパレル業界における環境破壊の減少を目的とした「ファッション協定」が発表された。この協定に世界中の有名ファッションブランドが署名したことが、「サステナブルファッション」が万人に広まるきっかけとなった。
サステナブルファッションは、海外ブランドはもちろん、国内ブランドにも浸透しつつある。たとえば、不要になった服を回収するボックスが店内に設置されているのを目にしたことはないだろうか。大手のファッションブランドは、すでに行動に移しているのだ。
また、「動物の毛皮を素材に使用しない」「過剰生産し廃棄することを避けるため、受注生産を実施する」「再生利用ができる素材を使用する」など、アパレル業界では環境に配慮した取り組みが進められている。
今だからこそサステナブルに生きることに意味がある
きっかけは「SDGs(エスディージーズ)」
SDGsは2015年に国連サミットで採択され、未来に向けた取り組みとして世界中で注目を集めた。17のゴール・169のターゲットから構成されており、「地球上の誰ひとりとして取り残さない」と宣言している。SDGsを実現するためには、企業や個人レベルでサステナブルとは何かを考えて取り組む必要があるだろう。
日本では2016年から政府による「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合」が開催されており、日本におけるSDGsについて施策を取りまとめている。世界でSDGsが採択され、日本政府もSDGsについての議論を執りおこなったことが、日本でサステナブルが広まるきっかけになったといえるだろう。
自然環境が失われつつある今だからこそ実践したい
最近では、日本でも記録的な豪雨や豪雪などの異常気象が頻発しており、気候変動を身近に感じるようになった。美しい地球と平和な暮らしを未来に残し、環境を守るために積極的に行動を起こしたい。そうした考えをもって取り組むのが、サステナブルな社会づくりなのだ。
SDGsは政府主導の取り組みで、身近なものではないと感じる人も少なくない。しかし実践していくのは、政府、企業のみならず、地球に暮らす一人ひとりだという認識をもちたい。
サステナブル社会の実現のため「エシカル消費」を取り入れたい
エシカル消費とは何か。当たり前のことに今一度気を配って
生活のなかで当たり前になっている行動について、深く考えることはあまりない。しかしふと立ち止まって意識してみると、自分がエシカル消費と真逆な生活を送っていることに気づくかもしれない。
エシカル消費はサステナブル社会のために個人ができること
日本のGDP(国内総生産)の内訳は、個人消費が約6割を占める。もし個人が一斉にエシカル消費を実践すれば、環境や社会に大きな影響を与えることがわかるだろう。
エシカル消費としてできること。サステナブルな暮らしをはじめよう
暮らしの必需品を「繰り返し」「長持ち」に置き換えてみる
たとえばマイバッグやマイボトルを利用するようになれば、使い捨てのプラスチック製品やペットボトル容器の消費量が減り、ゆくゆくは生産の減少や削減につながるだろう。また家の電球を寿命の長いLED電球に交換すれば、電球を取り替えて廃棄する頻度をぐっと抑えられる。
地産地消・フェアトレード商品であることを、購入する基準の1つに
一方、「フェアトレード」は「公平・公正な貿易」を意味している。「フェアトレード商品」とは、「開発途上国で生産された製品や原料について、適正な価格かつ対等な関係で継続的に取引されている」ということを保証する「国際フェアトレード基準」を満たした製品のことである。フェアトレード商品を購入することで、開発途上国で貧困に苦しむ労働者や生産者の生活の向上と自立を促し、現地の環境問題の改善が期待できる。つまり、これもまたエシカル消費の1つなのだ。
意味を知って取り組むサステナブルが、今あるものを未来へつなぐ
政府や企業にしかできないサステナブルの取り組みもあるが、個人にもできることはたくさんある。たとえば食品ロスを減らしたり、電気やガス、水の使用量を減らしたりすること。日常生活に取り入れられそうなことを自ら調べ、少しずつ意識して実践していく。そうすることが、地球環境を守る第1歩となるに違いない。