料理は科学だ、という言葉を時折耳にすることがある。美味しい料理を作るために食材や調味料の選び方や保存法、調理法に科学的根拠が存在するという説はもっともだと思うものの、忠実にレシピに沿っても思い通りの味にならないことがある。自分では調節しにくい火加減は、その原因のひとつと言えるだろう。自分で判断するのが難しい適切な温度と時間、それらをクリアしてくれるのが低温調理器だ。過度に加熱することなく、食材の旨味を引き出し、食感を際立たせる。ツヴィリングの低温調理器があれば、もっと料理が好きになるに違いない。
低温調理の美味しさの秘密
せっかく上質の肉を購入したのに、焼き加減で失敗してしまった経験が誰しもあるに違いない。材料や調味料をレシピ通りに用意しても、肉や魚を調理する際に避けては通れないのが火加減の問題だ。
皮はパリッと、中身はしっとりジューシーに。そんな理想を描いていても、焼いている最中の肉や魚の内部がどれぐらいの状態なのかが分かりづらく、生焼けを避けるためについもう少しと火を入れて、ベストの状態を逃してしまう。結果、固くなったりパサついていたりと、いざ食べる時にがっかりしてしまうことも度々だ。
そんな時に知ったのが低温調理という調理法。フランス語で「SOUS VIDE」=真空調理法を意味し、食材や調味料を入れたバッグ(袋)を真空状態にして、一定の温度に調節された水の中で、決められた時間湯煎する調理法を指している。密封バッグに入れた食材を湯煎する際、食材に合った適切な温度で決められた時間浸していれば、常に変わらぬ味と満足のいく食感に仕上げることが出来るという。
これまでは低温調理は多くの一流レストランでその手法が取り入れられたものの業務用にとどまり、一般の家庭で行うにはまだまだハードルが高かった。だが近年になり家庭用に向けたサイズ、価格のものが発売されて世界中でその人気を高めることとなったのだ。
機能美と高品質。キッチンツールを極め続けるZWILLING|ツヴィリング
低温調理器を購入するに当たって、悩んだのが一体どこのメーカーにすべきかという問題だ。低温調理器は様々な機種が販売されており、それぞれ特徴や性能も異なるが、やはり決め手となったのは日常的に使うものだからこそシンプルで美しく、飽きの来ないデザインであること、そして性能が優れていること。それらの条件に合うものがツヴィリングであった。
刃物の生産地として知られるドイツ・ゾーリンゲンで1731年に創業し、小さな刃物店としてスタートしたツヴィリング。常に高いクオリティを誇り、今では世界中にファンを持つナイフに始まり、現在は調理器具やキッチン家電等も展開している。
日本製のナイフブランド「雅」、フランス製の鋳物ホーロー鍋が有名な「STAUB」、イタリア製高品質クックウェア「バッラリーニ」もツヴィリングブランドとして知られている。品質の高さと洗練されたデザインが特徴のツヴィリングの低温調理器なら、料理をする際の心強いパートナーになってくれるだろう。
ツヴィリング低温調理器の使い方
それではここで低温調理器の使い方をご紹介しよう。まず用意するものは鍋と鍋敷き、そして肉や魚等の食材。それに調味料を加え、耐熱性の高い密閉バッグに入れて真空状態にする。
低温調理はご覧のように調理温度と保温時間を設定し、食材を入れたバッグを真空にして湯の中に浸すだけという実にシンプルな方法だが、留意したい点もある。食材は新鮮なものを使用し、事前に良く洗い水気を拭いておくこと。真空バッグ、キッチンツールは常に清潔であること。
調理後に鍋に入れたままにせず、すぐに食べない場合は冷却保存する。そして食材に合った加熱温度と時間を設定すること。ツヴィリングの低温調理器にはレシピブックが付いてくるのでそれをフォローし、自己流で低い温度や短い時間に設定しないというルールを守り使用して欲しい。
サラダチキンやローストビーフ。低温調理器で様々なレシピに挑戦
低温調理器を使用するに当たって、最初にトライしてみたかったレシピが鶏むね肉。ヘルシーで高タンパク、価格も手頃でアミノ酸が豊富、ビタミンが多く含まれ疲労回復効果も期待できる食材だが、自分で調理するといつもパサパサとした食感が気になっていたのだ。
低温調理器を使った初めてのレシピだったのでどのように完成するのかという期待と不安があったのだが、食べてみてその味に驚いた。まるでレストランで出されるような柔らかでありながら弾力がある食感、旨味たっぷりの味。今まで自分で調理していた、あのパサついてしまう鶏むね肉と本当に同じ食材なのかと問いたくなるほどの驚きだった。
続いてローストビーフに挑戦してみた。オーブンで調理したことはあるものの何度か失敗を繰り返し、今ではあまり手を出さないレシピのひとつだったが、これもまた大成功。ローストビーフってこんなに美味しいものだったのかと嬉しい驚きと発見があった。
野菜と合わせて前菜に、あるいはメインとしても活用できるローストビーフだが、おすすめはワイルドライスとの組み合わせだ。醬油ベースのさっぱりとしたソースを合わせ、柔らかなビーフの食感と噛むほどに味わいの増すワイルドライスは抜群の相性となった。
時間はかかるものの、その分だけの価値があったのがチャーシューだ。豚肩ロースを用意して前日から調合したタレに漬け込み、低温調理器を使用する前にフライパンで焼き目を付けてみた。噛むほどに肉の旨味をしっかり感じられる味で、大満足の完成度となった。
低温調理器はデザートや野菜、卵にも使用出来ると知って、耐熱性のある蓋付きのガラスジャーを用意してチーズケーキにも挑戦してみた。これも材料を混ぜ合わせ、ジャーに注ぐだけという簡単なものなのに味は抜群。これまであまり得意ではなかったスイーツ作りに俄然好奇心が湧いてきた。
ワンランク上の仕上がりを目指して
失敗は成功のもと、と言うものの、料理に関しては出来れば失敗したくないというのが本当のところだ。せっかく時間をかけて作った料理も満足できない味になると、調理に対する意欲や好奇心が損なわれてしまう。
温度と時間を守れば常に美味しい一品が完成する低温調理器は、料理上手になりたい人の心強い味方になってくれるはず。下準備さえしておけば自動調理してくれるので、忙しく料理する時間が足りないという人にとってもなくてはならない存在となるだろう。そして自らの個性は付け合わせる調味料や完成後に加えるソース、盛り付けやテーブルセッティング等で発揮してみたい。
さあ、次の休日は何を作ろうか。これまではハードルが高く手が出せなかった料理を、低温調理器で挑戦してみよう。新鮮な食材を手に入れて、調味料を吟味して、お気に入りのプレートやカトラリーを選んでみる。そして大切な人を招いて、好みのワインの栓を抜き、自慢の一品をともに味わってみたい。
ZWILLING|ツヴィリング低温調理器
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。