Vol.416

KOTO

10 FEB 2023

一生を共にする最高の相棒を。レッドウィングで経年変化の魅力に触れる

円安の影響からあらゆるものが値上げされ、新しいものを積極的に取り入れていくことがどんどん難しくなっている。まだ値上げされていないものや、比較的コスパの良いと思えるものを探し求めるのもいいが、こういうご時世だからこそ少し高価でも質の良いものに目を向けて、長く楽しむために大事なお金を費やしてみる良い機会なのかもしれない。

経年変化の魅力

オイルドコート、革靴、ジーンズ、クラシックカメラなど、経年変化が楽しめるものは多い
たびたびその魅力が注目される「経年変化」とは、そのモノを長年使うことで変化する性質を追うこと。主に革やデニム、金属といった、肌に触れても簡単には摩耗しない素材が使われているもので楽しむことができる。経年変化の面白さは、その人の扱い方やライフスタイルなどで変化の仕方が大きく異なるところにある。たとえそれがありふれたものであったとしても、世界に一つしかない魅力を持った宝物になってくれる。

経年変化が魅力へと直結しやすい革靴。ワークブーツは擦れや傷も味になってくれる
そんな経年変化の醍醐味を最も味わいやすいのが革靴だ。ひとたび屋外に出れば屋内に戻るまでハードワークをし、風や雨の影響も受けやすいので顕著に変化する。また、履く人の歩き方がそのままシワにトレースされ、自分専用の形となって愛着が強まるのもポイントだ。

経年変化を楽しむ革靴はレッドウィングがオススメ

定番モデルであればABCマートなどの量販店でも買うことができる
これまで幾度なくブームを巻き起こし、アメカジファッションの代表格として愛用者も多いキング・オブ・ワークブーツ レッドウィング。おそらく一度は耳にしたことがあるし、学生の頃に憧れたけど高嶺の華で履けなかったなんていう苦い思い出を持つ人もいることだろう。たしかに安価とは言えない価格帯のレッドウィングだが、革靴ブランドとしてはもちろん、ワークブーツへとジャンルの幅を狭めたとしても、実は比較的リーズナブルなブランドであったりするのだ。

品質は良くワークブーツらしい堅強さを持ち、ソール交換が可能。日本における第一次ブームから3、40年履き続けているという声を耳にするほどコスパが良い。875、877、8179といった往年の人気定番モデルは変わらずリリースされ続けていて、かつて買えなかった憧れのレッドウィングを今から履いて経年変化させることだってできる。専門店や取り扱い店舗が多く、自分の欲しいモデルを見つけやすいのもオススメしたくなる大きなメリットと言える。

レッドウィングと見る経年変化

アイアンレンジャー

かつては「アイアンレンジ」という名前で日本国内に流通していた鉱夫用のワークブーツ。つま先を保護するためにもう一枚革が重ねられた「キャップドトゥ」が特徴。作業現場における耐油・耐薬品性を考えてコルクソールが採用されていたが、近年のモデルにはビブラム製ラバーソウルが採用されている。

新品

新品からおよそ半年経った状態のもの
プレーントゥやキャップドトゥのつま先が丸いタイプは、履き続けていくうちに履きジワによって甲の部分が沈み、そのぶんつま先がクッと上を向いた雰囲気のあるフォルムになってくれる。アイアンレンジャーのようなキャップドトゥは一枚革が重なっているぶんそれがより強調されるのが特徴だ。

ベックマン フラットボックス

創業者の名前を冠したベックマンは、近年のレッドウィングの看板シリーズとして人気を博している。フラットボックスと付けられたタイプは、本来フォルムを形作るためにつま先に入れられている先芯が抜かれたもので、本来のベックマンよりもシャープなフォルムに。先芯がないぶん、歩き心地がソフトなのも大きな特徴だ。

新品

新品からおよそ半年経った状態のもの
通常のプレーントゥは甲の部分が沈んでつま先がアッパー気味になるところ、フラットボックスには先芯がないのでつま先も甲と一緒に沈んだ状態となる。また、通常では履きジワが入らないつま先にもシワが刻まれるため、独特なフォルムを形成する。

ポストマン オックスフォード

その名の通りの郵便局員や警察官、軍人といった公務員用のサービスシューズが発祥の定番モデル。ヒールのないラバーソールで非常に歩きやすくて実用性が高い。ゴアテックスが使用された防水仕様のものもある。フォーマル寄りのシンプルなデザインなので、いろんな服装に合わせやすい。外出の多い営業職の方にぜひオススメしたい一足だ。

新品

新品からおよそ半年経った状態のもの
経年変化の具合はプレーントゥとよく似ているが、シンプルなデザインだからこそ変化の大きさを目の当たりにできて育てがいがある。好みに応じてツヤの強い靴クリームを用意して磨くと、フォーマルな雰囲気が強まったいい表情になってくれる。

経年変化を促すケアの方法

革靴の経年変化を長く楽しむのにシューケアは欠かせない
革靴のケアの方法は、革の種類や仕上げ方、それに伴うこだわりによってさまざまあるので、一概にこれが正解というのが決して言えないが、比較的手軽で、ワークブーツであれば必要十分な方法を簡単にお届けしていこう。定期的なケアにあまり神経質にならなくていいのも、レッドウィングをオススメする理由の一つといえる。

ケア用品には、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、クリーナー、靴クリーム、シューツリーは最低限用意したい。ワークブーツといえばミンクオイルのイメージが強いが、ミンクオイルは量を間違えるとベタついてホコリが付きやすかったり、カビが生えたりするので、あまりオススメできない。靴クリームは汎用性の高いナチュラルをまずは買ってみるのがいいだろう。

靴紐を外してシューツリーを入れる。シューツリーがあればシワが伸びて手入れが行き届きやすいので必ず一つ用意しておこう

馬毛ブラシでブラッシングし、ホコリを落とす。ベロの内側に誇りが溜まりやすいのでしっかり払っておく

クリーナーをウェスに含ませて古いクリームや汚れを落とす。油性と水性があるが、水性のほうが扱いやすい

クリームを薄く塗っていく。指などでもいいが、ペネレイトブラシがあると奥まったところに靴クリームが行き届きやすい

クリームが塗れたら豚毛ブラシでつやが出るように手早くブラッシングしていく

馬毛ブラシで仕上げのブラシを行えばできあがり

before

after

今回磨いたのは2015ハンツマンという限定モデル。細かいキズが消えツヤが整った。表面積の多いロングブーツだとその効果が顕著に見られる

靴クリームを黒ではなくナチュラルにしたのは、経年変化の過程で茶色い地が出るブラッククローンダイクレザーが使われているから

自分にとって色褪せない、一生のパートナーに出会い育てる楽しさ

定期的なブラッシングは美しい経年変化を促すし、愛靴への愛情も高めてくれる
先程紹介したケアは、季節ごとか最低限半年に一回は行いたいところ。特に、シーズンであり空気の乾燥する冬が訪れる前には、冬支度として行うのがいいだろう。その間は、馬毛ブラシで定期的にブラッシングを行っておく。ホコリを落としておけばホコリから油分を抜けにくくなって革の傷みを最小限に抑えられるし、身だしなみにも繋がる。

経年変化は、早く始められればそれだけ費やせる年月は長くなり、定期的なケアをすることでその期間を伸ばすことができる。また、経年変化が楽しめるものほど修理ができたりするので、手塩のかけかたによっては半永久的に楽しむことも可能だ。自分にとって色褪せないものを見つけ、人生のパートナーとして一緒に歩んでみてみるというのはいかがだろう。

REDWING |レッドウィング