Vol.272

KOTO

24 SEP 2021

腸活におすすめの食材は身近にも。食べ物・飲み物でカラダを整える簡単な方法

「腸活」という言葉が数年前に登場してから、いつの間にか腸活は多くの人に注目されるようになった。周囲でも腸活に取り組む人が増えたことで、「まずはやり方やメリットを知りたい!」と気になっている人もいるだろう。この記事では、腸内環境を整えることで得られるメリットや、手軽に腸活を始められる方法を紹介する。まずは腸活がどういうものなのかを紹介しよう。

腸活とは?食材でカラダの内側を整える

腸内環境を整えて、健康なカラダを手に入れたい
腸活をするためには、まずは腸という器官について詳しく知っておく必要がある。ここでは腸活の意味や、腸内細菌など基本的なことについて紹介する。

腸活とは腸内環境を整える活動のこと

腸活とは善玉菌を増やす食材を摂取し、腸内環境のバランスを保ちながら健康を維持することを指す。さまざまな機能を持っている腸のはたらきを活発にすることで、腸そのものだけではなく心身に多くのメリットをもたらすと考えられている。たとえば、アレルギーや風邪の予防、美肌、睡眠改善など、健康面や美容面、メンタル面でも効果が期待できると多くの人に注目されているのだ。

腸内フローラが腸の健康を整える

「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。腸内に存在する菌が集まっている姿を顕微鏡で覗くと花畑のように見えることなどから、腸内フローラと呼ばれるようになった。「腸内細菌叢」ともいう。腸内フローラは善玉菌と悪玉菌、状況によって優勢なほうの味方になる日和見菌の3つに分かれており、それらのバランスを整えることが腸活につながる。

腸活できる食材は?おすすめの食べ物・飲み物を紹介

では、腸活に向いている食材にはなにがあるのだろうか。ここでは具体的な食べ物や飲み物、それらを摂取することのメリットについて紹介する。
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乳酸菌やビフィズス菌が含まれた「発酵食品」は腸活にぴったり

ヨーグルトは毎日でも食べやすい発酵食品
厚生労働省の「e-ヘルスネット」によると、乳酸菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えるとされている。
参照
乳酸菌やビフィズス菌が含まれる「発酵食品」を摂取すれば、つまりはそれが腸活となる。発酵食品にはヨーグルトやチーズ、キムチ、漬物などが当てはまる。ほかにも、納豆は大豆を納豆菌で発酵させた発酵食品だ。発酵食品は毎日の食生活に取り入れやすく、継続して摂取することで善玉菌が住みやすい腸内環境を作ることができる。腸内を整えるのはもちろん、免疫力のアップも期待できるのはうれしいメリットだろう。

また、発酵食品には「プロバイオティクス」が含まれているのも特徴だ。プロバイオティクスとは、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える微生物」と定義されている。
参照

身近な「発酵調味料」が腸活とおいしい食事をサポート

日本を代表する発酵調味料は調理も簡単。食事に取り入れやすく便利に使えるだろう
簡単にできる腸活として、味噌や醤油、酒などの発酵調味料を食事に取り入れる方法もある。発酵調味料は味噌汁をはじめ、さまざまな料理に加えられる手軽さが魅力で、複数の調味料を使えば同時に複数の菌を摂取できる。また、発酵調味料は身近で手に入りやすい調味料が多く、保存や取り扱いが容易なのもメリットだ。日本人に馴染みの深い調味料が多いのもうれしい。

糖質の吸収を穏やかにしてくれる「水溶性食物繊維」

朝のフルーツは金。イギリスでは「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ともいわれている
アボカドやキウイ、りんご、イチゴなどの果物や、ニンジン、大根、わかめなどに含まれる「水溶性食物繊維」を摂るのもおすすめだ。水溶性食物繊維は、腸内細菌のひとつである「酪酸菌」のエサにもなる。酪酸菌とは、腸に届いた食物繊維を発酵・分解し「酪酸」という物質を作る細菌のこと。酪酸は悪玉菌の発育を抑制し、善玉菌が住みやすい環境を作ってくれる。

しかし、酪酸菌を含む食品はごくわずかで普段の食事から摂るのが難しく、乳酸菌やビフィズス菌が酪酸を作ることができない。だからこそ、酪酸を作るためには積極的に水溶性食物繊維を摂りたいのだ。

また、水溶性食物繊維にはコレステロールを吸着して体外に排出したり、糖質の吸収を穏やかにしたりするはたらきもある。

便通を促してくれる「不溶性食物繊維」

きのこの炊き込みごはんには、お好みのきのこや具材を合わせておいしく腸をいたわりたい
玄米やシリアル、おから、きのこ、さつまいも、ごぼうなどの「不溶性食物繊維」を摂るのもよい。不溶性食物繊維は、腸を刺激してぜんどう運動を活発にし、便通を促すはたらきがある。食事の一品として切り干し大根やきんぴらごぼう、きのこごはんやさつまいもごはんを加えれば、不溶性食物繊維も手軽に摂取できるだろう。

「オリゴ糖」は摂っても太りにくい糖質として人気

砂糖の代わりに、オリゴ糖を含んだハチミツを取り入れるのもおすすめ
腸内細菌の栄養源となるオリゴ糖もぜひ食事に取り入れたい。オリゴ糖は液体や粉末で販売されているほか、ハチミツやバナナ、タマネギ、大豆などにも含まれている。腸活に有効なだけでなく、太りにくい糖質としてダイエット中の人の強い味方にもなってくれるだろう。普段使う砂糖をオリゴ糖に置き換えるだけで、簡単に腸活を始められる。

簡単な2つの方法で腸活を気軽に始めたい

腸活について深く知るうちに、「なんだか準備が大変そう。料理の方法も変えなければならないのか」と思案して、だんだん始めるのが面倒になってきた人もいるかもしれない。しかし腸活は難しいものではなく、案外気楽に始められるものだ。ここでは腸活初心者におすすめしたい、簡単な方法を2つ紹介する。

寝起きに1杯の水を飲むことが腸活の第一歩

冷たい水が苦手な人は、口あたりのよい温度にあたためた白湯を飲むのもよい
「目覚めたらコップ1杯の水を飲むとよい」と聞いたことがある人もいるだろう。寝起きに約200〜300mlの水を飲むと、その重みで胃が下がり、腸が刺激されるというのがその理由だ。腸のはたらきが活発になるように、なるべく勢いをつけて飲もう。また、水分を摂ることは便秘の原因である腸の水不足の解消にもつながる。コップ1杯の水を飲むだけなら、毎日続けるのも苦ではないだろう。

発酵食品と食物繊維のバランスを意識して摂る

腸内には1000種類以上の菌が存在しており、総数はなんと100兆個以上。その中で菌の割合は、善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌が7割だ。日和見菌とは通常時、善玉菌・悪玉菌のいずれにも分けられない腸内細菌を指しており、体調に応じて腸内の善玉菌・悪玉菌の優勢なほうに味方するという特徴がある。日和見菌を善玉菌の味方につけるために、発酵食品と食物繊維をバランスよく摂り、腸内環境を整えよう。

腸活のメリットを知ればカラダの変化がさらに楽しく

では、腸活で腸内環境を整えると、どのようなメリットを得られるのだろうか。ここでは日々変化を感じやすいポイントをいくつか紹介する。

お通じのリズムが整う

腸内環境が整うと便秘が解消されやすい。便秘になると腸のぜんどう運動が正常に行われづらくなり、たまった便が腐敗して腸内の悪玉菌の割合を多くしてしまう。また、悪玉菌が作り出した有害物質は血液中に吸収されて全身をめぐることになり、肌荒れの原因になることもある。そのため、腸内環境を整えて便秘を解消することが大切だ。悪玉菌が減り、おのずと悪玉菌が作り出す有害物質も減ることにつながるだろう。

ストレスを減らして気持ちを安定させる

近年、腸内環境の状態がメンタルヘルスに影響を与えることがわかってきた。腸内細菌は神経伝達物質であるセロトニンやドーパミン、脳の興奮を抑えるGABAなどを作っている。つまり、腸のはたらきは自律神経に深く関わっているのだ。ストレスによって腹痛をおこしたり、便秘になったりした経験がある人も多いだろう。腸内環境を整えれば、ストレスが緩和されて気持ちを安定させることができる。

基礎代謝を上げて若々しさを保つ

腸内環境が整うと、腸のはたらきがよくなり基礎代謝が上がるため、美肌や若々しさの維持にもつながる。たとえば、美肌を作るコラーゲンを摂取すると、その栄養素を吸収するのは腸のはたらきだ。それに腸内細菌はビタミンも作ってくれるため、美容に興味がある人にはぜひ腸活をおすすめしたい。

腸を元気にして免疫力を上げる

腸の免疫システムである「腸管免疫系」は人体の中でも最も大きな免疫系であり、免疫細胞の約70%がこの腸管免疫系に存在しているといわれている。免疫力の低下はさまざまな不調を引き起こす要因になり、時には大きな病気につながる恐れもある。

免疫力を高めるためには腸内環境を整えることが欠かせない。免疫力が高まることで、風邪やインフルエンザ、未知の感染症にかかりにくくなったり、花粉症をはじめとしたアレルギーが改善したりすることにも期待できる。また、がん治療に役立つ研究も注目されている。免疫力を上げることは、毎日の生活を健康に過ごすために必要不可欠だといえるだろう。

おすすめ食材を使って生活の中に上手に腸活を取り入れよう

「飲み物だけ」「調味料だけ」など、簡単なものから挑戦してもOK
腸活は腸内環境を整えることを指すが、それだけではなく、心身のバランスを整えることやストレスの減少にもつながっている。腸活をして腸の健康状態を保つのは、自分自身がいつまでも若々しく心身の健康を維持するために大切なこと。難しく考えるのではなく、まずは身近でできる腸活から始めてみてはいかがだろうか。
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