完全食だけで生活可能か。完全食という言葉の意味とは
完全食とは
現在では、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」に定める必須栄養素を含有したパンやパスタ、ドリンクなどの食品を完全食と呼ぶことが多い。また、かつて完全食と呼ばれていた玄米や卵などの食品は、現在では「準完全食」と呼ばれる場合もある。
完全食を取り入れる目的はさまざま
現代人の食事は脂質が多く、ビタミンやミネラルが不足しがちだ。完全食は単純なカロリー制限や食事の時間短縮だけではなく、栄養摂取に悩む人が手軽にバランスのよい食事を得られる食品としても注目されている。
わたしたちが生きるために必要なエネルギーとは
厚生労働省が定めた日本人の食事摂取基準
参照
生きるために必要な食事とは
食事には生命維持のためだけではなく、生きる楽しみや喜びを実感するという目的もあるはずだ。おいしいと感じること。見た目で楽しむこと。誰かと食事の時間を共有すること。そういった楽しみを含めた食事もまた、「バランスのよい」食事と呼べるのではないだろうか。
完全食だけではない、バランスのよい食生活の考え方
これまでの健康食品やサプリメントは味気ない商品が多く、空腹を満たせないため、継続して摂取するにはやや苦痛を伴うものだった。しかし最近の完全食はおいしくてお腹も満たされるため継続しやすい。毎日のパンやパスタなどの炭水化物を完全食に置き換えるだけで手軽に栄養素を取り入れることができるだろう。ここでは完全食の上手な取り入れ方を紹介する。
食事の補助として取り入れる
また、完全食は1食あたりのカロリーを400kcal以下におさえた商品が多い。つまり、完全食だけを1日3食摂取しても1,200kcal程度しかエネルギーを摂取できないのだ。たとえば一般的な成人男性(18歳から49歳で活動量が少ない人)に必要なカロリーは2,300kcalなので、完全食だけでは圧倒的にエネルギーが不足してしまう。女性の場合でも18歳から29歳で1,750kcal、30歳から49歳で1,700kcalが必要だ。さらに、活動的な仕事をしている人にはもっと多くのエネルギーが必要になる。完全食だけでは生活のための活力が不足してしまうだろう。
完全食は、メインの食事の補助として、または食事の一部と置き換えるかたちで取り入れることをおすすめする。朝食だけ、忙しいときだけにするのも有効な活用方法だ。
現代人の栄養不足を手軽に補う
パンを中心とした献立で栄養バランスをととのえようとすると、サラダとスープを合わせ、たんぱく質としてチキンやソーセージを添えて……と、意外に手間がかかるもの。完全食のパンがメインであれば、あとはコーヒーを添えるだけでも朝食として成り立つだろう。お好みのジャムやチーズで味の変化を楽しむこともおすすめしたい。
パスタも同様に、通常のパスタにパスタソースをかけるレシピでつくったものであれば、脂質が多く栄養バランスが偏りがちだ。そのうえ家でつくるパスタには副菜を添えないことも多く、バランスの悪い食事になってしまう可能性もある。その点、完全食のパスタにはあらかじめ栄養素が含有されているため、ワンプレートで栄養バランスのととのったパスタを楽しめるのが魅力だ。付け合わせの野菜やたんぱく質などを気にしなくてよいので、調理がぐっと楽になるだろう。
食べることによる楽しみや機能を損なわないようにする
また、ドリンクタイプの完全食を取り入れる場合は、咀嚼力の低下に注意しよう。咀嚼には胃腸のはたらきをととのえたり、脳のはたらきを活発にしたりする効果が期待できる。また、しっかりと咀嚼して食事をとることで、満腹感や食事の満足感を得やすくなるという研究結果もあるという。1日1回は固形物の食事を取り入れたり、ドリンクタイプの完全食と一緒に軽食をとったりするとよいだろう。
完全食をうまく取り入れて、栄養だけにこだわらない豊かな食生活を
しかし、手軽に栄養バランスをととのえられる完全食は、忙しい現代人の強い味方となってくれる。完全食を活用した生活に興味がある人は、まずは朝食の代用としてうまく取り入れて、楽しい食生活のサポート役にしてみてはいかがだろうか。