Vol.540

MONO

19 APR 2024

製品から日用品へ。ずっと大事に使いたい「SAITO WOOD」 

木材の素材感を十分に生かし、どんなお部屋にでも合わせられるシンプルで美しいデザインの日用品を手がける「SAITO WOOD(サイトーウッド)」。使っていくうちに製品から日用品へと変化する、50年以上愛されるSAITO WOODのプロダクトを紹介したい。

SAITO WOODの歴史

たおやかな曲線が特徴のBasket
SAITO WOODは50年以上にわたり、成型合板の技術で木工製品をつくり続けている。成型合板とは、材木を厚さ0.2~1ミリ程度に薄くした単板(タンパン)と呼ばれる材料を糊付けし、縦目、横目の順に数枚重ねあわせ、型にセットし、圧力と熱を加えてその型に沿った形を作る木工技術の一つだ。多くは凹型に材料をセットし、上から凸型を降ろしてプレス成型する。その特徴は薄く軽量ながらも十分な強度を持ち、合板時に形成される曲線が代名詞である美しい木工製品が完成する。SAITO WOODの歴史や誕生秘話について、サイトーウッド社の斉藤氏にお話を伺った。

シンプルながらも素材の美しさが際立つ
「創業者、齊藤勇が戦時中に高山の軍需工場で働いており、当時は飛行機の燃料タンク(円筒形)を成型合板で作る研究をしていたそうです。それは実用化されることなく終戦を迎えましたが、戦後新たな事業を始めるにあたって円筒成型合板の技術を使った製品を考案しました。当初は丸い小物入れを製造していましたが、1950年代後半アメリカ人バイヤーの勧めでアイスペールの製造、輸出を始めたことがきっかけで会社が成長することになります。アメリカ向け製品を開発する中で、現在も続く901型、903型のゴミ箱も生まれました」と教えてくれた。

フラップ蓋つきのBASKET flap lid
SAITO WOODが日本国内で本格的に知られるようになったのは、海外で成功を収めた後、日本国内への販売は1ドル360円の固定相場が崩れ始め、輸出にかげりが見え始めた1960年代後半から本格的に開始されたという。当初は旅館、ホテルへゴミ箱を卸し始め、徐々に国内での認知度が高まっていき、現在もなお高い人気で、国内外でSAITO WOODのプロダクトが販売されている。

SAITO WOODのこだわりがつまったBasket

成型合板を想起させるSAITO WOODのロゴ
斉藤氏は「丸太をスライスした薄い板を重ね、型に入れてプレスするのが特徴で、成型合板製品の特徴は薄くて軽くて丈夫、そして滑らかな曲線です。そういった特徴を活かした製品づくりをしています」と話している。

前述した通り、円筒成型合板の技術は、ドラム缶ほどの大きさの円筒まで製造する研究が行われていたようだが、結局それらは戦争で利用されることなく終戦を迎えた。その技術が今現在、家庭用品という平和なジャンルで活用されている。今回紹介するSAITO WOODの代表作でもある「901型 BASKET teak grain」は、円筒成型合板の特徴を最大限に活かしたデザインだと斉藤氏は話している。

円筒成型合板の特徴を活かしたミラーも展開している
「サイズ感、60年以上前のサイズのままですのでなんとも言えませんが、現在でも使えるということは普遍的なサイズということかもしれません。表面材はアユースいうアフリカで計画栽培している樹種をチーク色に染色したものを使っています。30年ほど前まで天然チークを使っていましたが、現在は数量が減り、価格も高騰しましたので変更しました。置く場所を選ばない、様々な場所に馴染みやすい色です」と教えてくれた。

他にもスタンダードな3種の展開があり、white oak grainはteak grainと同様に亜ユース剤をホワイトオーク柄に染色した突版を使い、blackはアユース材を黒色に塗装している。walnutはクルミ科の木材を使用し、経年劣化により茶褐色に変化させている。他にも限定カラーのgrayが登場したりと、さまざまな色・素材展開をしており、継ぎ目のないシンプルで無駄のないデザインは、軽量で耐久性にも優れておりどんな空間にもあう優れたバスケットである。

接合部分がわからないほどきれいな円筒に成型されている
他にもハンドル付きのバスケットや蓋付きのバスケットもあり、好みによって選択できる。繊細な優美な曲線と木目は一度見たら忘れられず、円形に成形されたダストボックスは内側と外側、どの角度から見ても妥協のない曲線を描いている。木製品でありながらも軽量で丈夫、さらに経年劣化で色味も変化し、一生もののアイテムとして、自宅に置いておきたくなるバスケットである。

好きな物を載せられるTray

Tray Sは38cm×D27cmの大きさ
SAITO WOODはゴミ箱のみならず、トレーなども制作している。「トレーも50年ほど前から販売しており、サイズも変わらず、普遍的なサイズで使いやすいと思います。blackは他の色と比べるとあまり売れませんが、いつの時代も黒をご希望するお客様が必ずいらっしゃるので続けています」と斉藤氏は話す。

成型合板だからこそ出来る滑らかな曲線のフォルムと軽くて丈夫という扱いやすさは、トレーにも現れている。普段使いのみならず来客をもてなす際にも出番のあるトレー。汚れても塗れた布巾でさっと拭くことができるのでお手入れも簡単で、和食器にも洋食器にもぴったりとマッチするため、食器を運ぶものはもちろん、ランチョンマットのようにそのまま食器を並べて使う方法も。汎用性の高いトレーは、キッチンやダイニングから離れて、仕事場でも。メモ帳や名刺、時計など普段使うアイテムを置いておいたり、コレクションアイテムを置いて飾ったり、インテリア用品としても美しく機能する。

作業デスクをすっきりとまとめてくれる

生活の一部として、共に歩む

Basketは衣類やタオルの保管にも
空間に溶け込みながらも静かな存在感を演出するSAITO WOODのプロダクト。バスケットやトレーの他、ティッシュボックス、ミラー、マガジンラック、ワインラックなど成型合板の特徴を活かした、さまざまなデザインを制作している。控えめながらも、部屋にあるとうれしくなる、インテリアにしっくり馴染むプロダクトばかりだ。どんな生活にも馴染む優雅で普遍的なデザインのアイテムは、手持ちのインテリアを邪魔せず、空間を美しく消化させてくれる。

時を経ても共に生活したい、オーセンティックな佇まい
常に視界に入ってしまう日用品。しかしSAITO WOODのプロダクトは生活感を出しすぎず、かといって無くしすぎず、いい塩梅の佇まいだ。機能性と審美性の両方のバランスがとても良い、生活に根付いたSAITO WOODのプロダクトは、年を重ねると共に一緒に歩んでいきたいと思わせてくれる。毎日を気持ちよく過ごすためになくてはならない日用品の一部として、ずっと長く愛せるデザインだ。

製品から日用品へ

軽くて丈夫なため、ゴミの処理や部屋移動も簡単に
斉藤氏はSAITO WOODのプロダクトについてこう話している。「薄くて軽くて丈夫、それは使いやすさに直結し、使い続けるうちに『製品』から日常的に使う『日用品』になります。そしていつの間にか生活に溶け込んでいき、気づけば長年の愛用品になっていく、そんな製品を作り続けていきたいと思っています」

熟練の職人が心を込めてひとつひとつ手で仕上げたSAITO WOODのプロダクト。生活やライフスタイルの変化を重ねても、暮らしに寄り添い、ずっと生活を共にしたいプロダクトである。

SAITO WOOD

BASKET /teak grain [L] ¥9,900(税込)
BASKET /teak grain [S] ¥7,150(税込)
BASKET flap lid /whiteoak grain [M] ¥ 10,450 (税込)
Mirror [teak grain] /¥8,250 (税込)
Mirror [walnut] /¥8,250 (税込)
TRAY black [S] / ¥4,620(税込)
BASKET donut lid / walnut [M]  ¥9,900(税込)

https://www.saito-wood.com/