いつの間にかに増えてしまったのではなく、強い意志を持って集めた品々。眺め、触れる度に気持ちを豊かにしてくれるもの。コレクターにとってはその存在すらが愛おしいものが多々あるが、日常必需品はどうだろう。例えば料理をする際に使用するキッチンツールは、デザイン的に美しいのはもちろん、使う度にその良さを実感できるものも数多い。中でも用途に合わせて6種の形状が展開中のオークスのトングは、ひとつを試せば他のすべての種類を集めたくなるプロダクトだ。
厳選したいキッチンツールは、本当に欲しいものを
自分の好きなものを集めたいと思うのは、誰しもの心の奥深くに存在する欲求なのかもしれない。本や音楽、靴やバッグ、あるいはフィギュアなど、ある特定のものに惹かれて収集し出し、それらを聴き、読み、使い、そして眺める。探す時から所有後に至るまでの行程すべてが至福の時に違いない。
では生活に欠かせない道具類はどうだろう。例えば料理をする際になくてはならないキッチンツール。鍋とフライパン、菜箸といったごくシンプルなものからスタートし、時が経つにつれ道具は徐々に増えていく。
しかしキッチンツールの収納場所は限られており、料理の経験が増えるほどに、何が必要で何がいらないか見極めることが出来るようになる。そうすると新たなものを購入することは次第に減り、不必要な道具は淘汰されていく。だがその厳しい選択を潜り抜け、それでも欲するものがある。それがオークスのトングだった。
調理で感じる小さなストレス
そもそものきっかけは、日々感じていた小さな不満からであった。例えば鶏肉を揚げるメニューであれば、肉をカットし、裏、表に塩と胡椒をまぶす。キッチンペーパーで水分をふき取り、小麦粉をまぶして少量の油で揚げる。これに溶き卵にくぐらせたり、パン粉を付けることもあるだろう。
一見単純な調理法だが、そこには食材を切ったりひっくり返したり、小麦粉やパン粉をまぶす度に菜箸や手を使う作業も含まれる。そしてひとつの行程を終える度に手や菜箸を洗わなければならず、その行為がひどく面倒に感じていたのだ。
些細なこととは言え、料理の下ごしらえや調理過程で感じていた不満は消えることはない。どうにかならないものかと思っていた時に巡り合ったのが、オークスの「ゆびさきトング」だった。食材を手の代わりに掴んでくれるプロダクトは自分の指のような感覚で使えると謳っており、それならばと購入し試してみることにした。
使い始めてなるほどと納得。これまで繰り返していた食材を手や箸で掴む度に洗う作業がなくなり、ぐっとストレスフリーとなった。ほんの僅かな不満でも、解消することでこんなにも楽になれるのかと実感し、これまで意識していなかったトングというツールに俄然興味が湧いてきた。
調べてみると、オークスからはシリーズとして様々なトングが展開しているではないか。次は揚げ物専用トングが欲しいと思い、「あげものトング」の購入へ。やはりその良さに感動したことから、次のトングを探し出す。ひとつ購入するごとに、使いやすさと便利さを実感する度に、新たなトングが欲しくなる。どうやら私もトングコレクターの第一歩を踏み出してしまったようだ。
気になるツールが盛りだくさんのオークス
1946年新潟県三条市に創業したオークス株式会社は、キッチンツールからキッチン雑貨、収納家具や住宅、業務用設備まで展開しているブランドだ。ユーザーの立場になって行うものづくりから生み出された製品は、「こんなものが欲しかった」と思わず感嘆の声が漏れるものばかり。
今回紹介するトングのうち、「ゆびさきトング」は2013年ご当地ヒット大賞を受賞、室内物干し「soraieソライエ」が2015年にGOOD DESGIN AWARDを受賞。2020年には燻製器「テーブルトップスモーカー」が同じくGOOD DESGIN AWARDを受賞している。
オークスのキッチンツールは暮らしの中の小さなストレスにフォーカスを当て、使い手にとって役立つアイテムが数多く展開している。簡単に味噌の量が計れ、常に安定した味を出すのに役立つ「計量みそマドラー」や、先端が浮くデザインの「テーブルを汚さないジャムヘラスプーン」、「油ハネを防ぐメッシュカバー」等、どれも名前を聞いただけで「使ってみたい!」と思わせてくれる。デザインはスッキリとシンプルで、一度使えば料理をする際の欠かせない存在になってくれるだろう。
それぞれのトングの特徴を理解して
どれも便利そうなオークスのトングだが、種類が多いと何から購入すればいいのか分からないと悩むこともあるだろう。それぞれの特徴を理解して、どれが必要なのかを見極めてみたい。
ゆびさきトング
「ゆびさきトング」は食材に触れる度に指先や菜箸が汚れるので洗わなくてはならない、あるいは食材の匂いが指に付くのが困る、触れた際にべたべたした食感が気になるというときにぴったりのプロダクトだ。
ごはんのおともトング
食材が小さかったり細かったりで、菜箸ではつかみにくいものがある。そんな時におすすめなのが、「ごはんのおともトング」だ。丸い形状のものも滑り落ちることなく掴め、あるとその便利さを実感できるに違いない。
ゆびさきサーバートング
大きめの食材の形を崩すことなく掴むのにおすすめなのが「ゆびさきサーバートング」。掴む部分が先端に向かってゆるやかにカーブしており、卵など滑りやすいものもしっかりと掴んでくれる。先端がぴったりフィットするので、薄くて千切れやすいものを掴むのにも安心して使えるプロダクトだ。
ソースもすくえるガッシリトング
同じように大きめの食材もしっかり挟め、ソースも一緒にすくえるのが「ソースもすくえるガッシリトング」だ。肉料理や魚料理など、大振りの食材の形を崩さず掴むことができる。片側部分が深みのある形状となっており、大さじ一杯分のソースもすくえる一石二鳥のトングだ。
あげものトング
から揚げや天ぷらなどの小ぶりのものから、トンカツといった大きめのものまでこれ一本でまかなえるのが「あげものトング」。掴み部分に穴が開いており、油をしっかり切ってくれるのも嬉しいポイントだ。
もりつけトング
使い勝手の良い長さで、焼く、煮るなどの調理法でも食材を掴むときに熱くなく、サラダやパスタなどを上手に盛り付けたい時にもぴったりなのが「もりつけトング」だ。料理の下ごしらえから調理、盛り付けまで対応してくれる、万能選手と言えるだろう。
義務ではなく楽しみに。料理のストレスをなくしてくれるアイテムを探して
料理は日々の暮らしの中で、しなくてはならない作業のひとつ。それを義務ではなく喜びと感じられれば、暮らしはもっと楽しくなるに違いない。だからこそ料理をする度に感じる、小さいけれど確固としたストレスは素早く解消していきたい。
オークスのトングは掴むことに焦点を当て、それぞれが用途別に特化している使い手の心をくすぐるプロダクト。この食材ならばどのトングが向いているかと考えることも楽しく、使うほどに他のタイプが欲しくなる。
どちらかと言えばキッチンツールの中でも地味な存在のトングが輝き出し、違う形のトングを見れば食指が動く。トングコレクターとして第一歩を踏み出した今、これからもトング探しの旅は続いて行くに違いない。
オークス トング(オールステンレス)
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。