1980年代後半にロンドンのコレクションで注目を集めて以来、常にファッションの第一線で活躍し続けるデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン。2022年3月に待望のビューティーアイテムが発売されたが、ラインナップの中でも香水はどれも魅惑的なものばかり。どの香りを選べば良いのか迷った時におすすめしたいのが「ディスカバリーセット」だ。美しいパッケージに包まれた香りのセットは自分へのご褒美として、あるいは大切な人へ贈る時にもぴったりと言えるだろう。
今の自分に似合う香りを探してみたい
長かった冬が終わり春が訪れると、気分も明るく浮き立ってくるようだ。気持ちを一新して、新たなことを試してみたくなる。髪を短くカットしたり、これまでトライしたことのないカラーの服に目がいったり。
だが香りに関しては保守的になっている自分がいる。香水はフルボトルで購入すると量が多く価格もそれなりにするもの。ショップで幾つもの香りを試し、新たな好みを探すのは難しく、好きではない香りだと使わないまま放置してしまうことがある。そんな理由から、長い間新しいものにトライすることを諦めかけていた。
一方で、そんな冒険心を忘れつつある自分にどこか不満を感じているのも事実。この春は気分も新たに色々な香りにチャレンジしてみたい。そんな願いに応えてくれたのが、ドリスヴァンノッテンのディスカバリーセットだった。
独自の世界観を描き続ける。ドリス・ヴァン・ノッテン
ドリス・ヴァン・ノッテンは1958年、テーラーを営む一家の三代目としてベルギーのアントワープに生まれた。ヨーロッパで最も長い歴史と伝統を誇る、アントワープ王立芸術アカデミーに18歳でファッションデザインコースに入学し、卒業後はフリーのコンサルタントデザイナーとなった。
1986年にメンズウェアのコレクションをスタートさせたドリス・ヴァン・ノッテンは、同学校出身者であるダーク・ビッケンバーグ等6人でロンドンでコレクションに出展し高い評判を得た。彼らはAntwerp Six(アントワープの6人) と呼ばれ、世界的デザイナーへの道を歩み出したのだ。
以来、ドリス・ヴァン・ノッテンは現在に至るまで世界的デザイナーとして、第一線で活躍し続けている。彼のデザインは独創的なプリントや刺繍、鮮やかさとダークさを放つ色彩やオリジナルのファブリックの斬新な組み合わせが特徴と言えるだろう。
「挑発ではなく喚起するような方法で、色や質感、光をジャグリングするのが好きだ」とオフィシャルサイトのインタビューで答えているように、ドリス・ヴァン・ノッテンのデザインにはオリジナリティあふれる美意識が色濃く反映されている。
香りの奥深さを味わう。ドリスヴァンノッテンが創造する香り
2022年3月にドリスヴァンノッテンのビューティーラインがスタートしたが、中でも注目したいのが彼が手がけるフレグランスだ。展開している10種類のオードパルファムはドリス・ヴァン・ノッテンが描く香りの世界を、調香師たちとともに作り上げたものだそう。
ディスカバリーセットは色々な香りを試した後に、お気に入りを探したいという贅沢な希望を叶えてくれる。全10種類、各2mlのサイズとなっており、新たな香りを探す時にぴったりのプロダクトだ。
開封する喜びと眺める喜びを。ディスカバリーセットでともに味わう
今回、ドリスヴァンノッテンのディスカバリーセットはショップではなく、オンラインで注文したのだが、届いた箱を開けパッケージを見た瞬間からその美しさに陶然としてしまった。一番大きなホワイトカラーの包みを開けると、再び広がるのは白一色の世界。ケースや包装紙、ロゴシールまですべてが白で統一されている。
しかしディスカバリーセット本体を包んでいたのは、個性的なカラーのポーチ。これは過去のコレクションで使われたファブリックのアップサイクルなのだそう。繊細な白との強烈な色彩のコントラストが視覚を刺激し、ドリスヴァンノッテンの世界の扉が開き出す。
開封してしまうのがもったいないほどパッケージが美しいというのは、ドリス・ヴァン・ノッテンの美意識の表れなのだろう。包装をじっくりと堪能した後で、いよいよ開封。包みを開けると、そこには色鮮やかなドリスヴァンノッテンの香りと美の世界があった。
1本のボトルの量は2mlで、新たな香りを試す時にちょうど良いサイズ感。時間を追うごとに変化していく香りを体感できるディスカバリーセットであれば、本当に好きなものを見つけられるに違いない。
ディスカバリーセットで10種の香りを愉しむ
ドリスヴァンノッテンのテーマである「意外性のある組み合わせ」はフレグランスにも活かされており、例えばRaving rose(レイヴィング・ローズ)はバラとペッパー(胡椒)の香りを掲げている。
Neon Garden(ネオン・ガーデン)はアイリスの香りをミントがスッキリと引き立てている。爽快感の中に優しさが感じられ、大人の男性におすすめしたい香りのひとつだ。
Fleur Du Mal(フルール・ドゥ・マル)は金木犀とスエードというコンビネーションを謳っており、爽やかさに官能的な印象が加わっている。
かぐわしい香りを幾つものシーンで楽しんで
香りから得られる喜びとは何だろう。ルームフレグランスには香りそのものはもちろん、インテリアに合うものを選ぶ楽しみがある。例えばMAD et LENマドエレンのポプリ ラバロック。溶岩石を使ったシックなポットポプリは住まいに印象的なシーンを作り上げてくれる。
そして身に着ける香水は、出かける前にひと振りすれば気分を高揚させてくれる効果がある。それを踏まえると香りを選ぶ時は自身の好みだけでなく、シチュエーションによって変えるのもまた一興だ。
例えばSANTAL GREEMERY(サンタル・グリーナリー)はイチジクと白檀の香りを謳っており、ほのかな甘さと清涼感が心地良い。天気の良い日のランチタイムに友人と語り合う時に似合いそうだ。
Soie Malaquais(ソワイエ・マラケ)は栗とシルクをイメージしており、バニラと栗の芳香が漂い、スイートな香りに包まれる。ウィンドウショッピングやギャラリーに訪れる、そんな視覚から刺激を受ける日に使ってみたい。
冒険心と探求心とともに、新たな香りを身にまとって
初めて自分のために香水を選んだのは随分と遠い過去になってしまったが、その日の高揚感は今でも鮮明に覚えている。香水コーナーで幾つもの香りを確かめ、何度も確認しながら選んだ初めての香水。
だが年を重ねるごとに冒険心は少なくなり、いつしか他の香りを試してみようという気持ちは徐々に薄れていった。そんな時に出会ったドリスヴァンノッテンのディスカバリーセットが、新たな香りを見つける喜びを思い出させてくれた。
ドリス・ヴァン・ノッテンが描く、異なるものの組み合わせから生まれる美の世界を感じてみたい。「自分には合わないかもしれない」と、いつの間にか植え付けていた固定概念を脇にやり、この春は好奇心を抱いて新しい香りをまとってみよう。
ドリスヴァンノッテン|ディスカバリーセット
CURATION BY
1992年渡英、2011年よりスコットランドで田舎暮らし中。小さな「好き」に囲まれた生活を求めていたら、夏が短く冬が長い、寒い国にたどり着きました。