日本でも大人気のフレグランスブランド「Diptyque(ディプティック)」。モノクロでまとめられた洗練された見た目や、独自の着眼点で作られたフレグランスやキャンドルなどの香りの芸術は、世界中で多くのファンを魅了している。そんなDiptyqueは、実はホームケアアイテムも揃えているのだ。その中の一つが、レザー用のローション。本革のアイテムは買って終わりでなく、むしろ買ってからが本番だ。どれだけ丁寧にお手入れしたかが、数年後のレザーの輝きに現れる。とはいえ、持ち主の心に余裕がなければきっと革のお手入れもおざなりになってしまう。そこで、香りに定評のDiptyqueのレザーローションを使って、お手入れを癒しの時間にしてはいかがだろうか。
Diptyqueの「ラ・ドログリー コレクション」
Diptyqueの創業は1961年。フランスのパリにて、Desmond Knox-Leet(デスモンド・ノックス=リット)、Christiane Montadre-Gautrot(クリスチャンヌ・モンタドル=ゴトロ)、Yves Coueslant(イヴ・クエロン)の3人によって立ち上げられた。当初はパリの5区にて、3人が集めたオブジェやアンティークの品々を揃えていたが、1963年にフレグラスキャンドルという新しい分野を考案。それまで実用目的だったキャンドルに装飾的な見た目とアロマを加え、暮らす人の感性を満たすものに変えたのである。さらに5年後にはオード・トワレの発売を開始し、これも人気を博した。
そんなDiptyqueが2022年よりに販売を開始したのが、ホームケア用品を揃えた「La Droguerie Collection(ラ・ドログリー コレクション)」だ。毎日使うホームケア用品にも環境への配慮をしたいと考えて作られたこのコレクションは、Diptyqueならではの香りの美学を生かしながら、食器用の洗剤やキッチンからバスルームまで使用できるマルチサーフェスクリーナーなどを揃えている。
99%自然由来の成分。ミツロウを使ったレザーケア
いくつもの魅力的なアイテムを揃えている「La Droguerie Collection」の中から、私が今回使ってみたのは、レザー&ウッドケアローションだ。このローションは、ソファやバッグなどのレザー製品や木製の家具などの油分を保ち、保湿するためのもの。材料は植物油やミツロウで、環境はもちろん使う人にも安全な材料のみが使用されている。
他のフレグランスが特徴的なブランドでも、洗剤やキャンドル、ルームフレグランスは見かけることが多々あるが、レザーケアの製品を見るのはこれが初めて。そのため思わず興味を引かれた。
ホームケアアイテムということで、本来はレザーのソファやデスク用チェアなど、家具に使う目的で作られているとは思うが、今回私は財布や鞄などの革小物に使用してみたので、その様子をお届けしたい。
香りに癒されながら、革のお手入れ
Diptyqueならではの個性が光っているのが、やはり香り。シダーウッドやハーブのパチュリが香り、お手入れの時間をただの作業ではなく、癒しの時間に変えてくれる。実際に革に塗っていると、どこか駄菓子のように甘さとウッディな香りがふわりと漂ってきて、良い気分に浸りながらお手入れすることができた。
また、塗り終わった後にも楽しみが。まるで革製品が香水をまとったように良い香りになるのである。日頃持ち歩く財布や名刺入れ、鞄からステキな香りが漂えば、外出中もふとした瞬間に気持ちが上向きそうだ。
愛用品を美しく。革のお手入れ方法
化学製品は便利だが、どうしても劣化してしまうのが難点。けれどレザーアイテムはお手入れさえしっかりしていれば、時間の経過とともに自分だけの個性や艶が生まれてゆく。お気に入りのものを育てる喜びを感じられるのは、レザーアイテムだからこそだ。艶々と美しい輝きをまといだした数年物のレザーアイテムからは、新品では味わえない魅力と、なによりも「愛着」が感じられる。
ここからは、レザー&ウッドケアローションを使用して、革の基本のお手入れ方法をご紹介したい。
用意するもの
・ブラシ
・レザークリーナー(汚れがある場合のみ)
・レザー&ウッドケアローション(他のブランドのレザー用のクリームでも代用可)
・タオル
まずは表面のチリや埃を落とすところから。傷がつかないように優しくブラシで表面をブラッシングする。特にステッチの部分は汚れが溜まりやすいため、念入りにブラッシングを行う。
気になる汚れがある場合は、革専用のクリーナーをタオルなどの布に取り、拭いて汚れを落とす。
最後の仕上げに使うのが、レザー&ウッドケアローションだ。タオルに少量取ったら、ムラにならないようにクルクルと回すように手を動かして、まんべんなくローションを広げてゆく。油分が多すぎると逆にシミになってしまうこともあるため、乾燥の具合を確かめながら少しずつ量を足してゆくと失敗が少ない。
人の肌同様に、レザーは油分がないと、乾燥によりひび割れを起こしたり、革の繊維が固くなったりして傷が付きやすくなってしまう。そのため定期的な保湿が必要だ。頻度は月1回くらいが目安だが、革の状態は気候や季節にも左右されるので、自分の肌を労わるように、定期的に表面がカサカサしていないか確認し、乾燥しそうだったら保湿をすることを心がけたい。
「暮らしの芸術」という考えに根ざした、見た目の美しさ
今まで私はレザーケアアイテムを箱にしまって使うときに取り出していたのだが、Diptyqueのものはさすがと言うべきか、実用だけではなく、思わず飾っておきたくなる見た目の美しさも兼ね備えている。
フランスには「l'art de vivre」という考えが根ざしており、この言葉は日本語だと「暮らしの美学」「暮らしの芸術」などと訳されることが多い。Diptyqueもまたこの考え方を大切にしていて、生活の中で役に立つかはもちろん、さらに感性や情緒を豊かにしてくれるものづくりをしているのだ。
Diptyqueのキャンドルやフレグランスはモノトーンで格好よくまとめられているが、「La Droguerie Collection」は茶色の瓶に入っていて、インテリアに温かみを足してくれるデザイン。Diptyqueらしいシンボリックなオーバル型のマークはそのままに、中央に描かれたハタキのイラストがどこかチャーミングだ。
まるで植物を育てるように時間の経過とともに味わいが育ち、自分だけの個性が生まれるレザーアイテム。忙しない日々を送っているとつい「お手入れ」を面倒に感じてしまうけれど、レザー&ウッドケアローションは良い香りで楽しみに変えてくれる。
私はアロマの入ったハンドクリームやボディオイルが好きなのだが、同じような要領で、棚に飾ったレザー&ウッドケアローションを手に取り、レザーに塗るのであれば、定期的なお手入れも無理なく続けられると思った。
見た目、香り、実用から「暮らしの芸術」を味わえるレザー&ウッドケアローションを、みなさんもぜひ暮らしに取り入れてみてはいかがだろうか。
diptyque
CURATION BY
東京都出身。フリーの編集・ライター。フランスと日本を行ったり来たりの生活をしている。