グリーンカーテンとは?
特に注目を浴びたきっかけは、2011年の東日本大震災。震災当時、発電所が大きな被害を受け、国民は節電を求められていた 。そんなとき、室内温度の上昇を抑える効果を持つグリーンカーテンは節電対策にぴったりだったのだ。
また、節電や省エネにつながるため、環境省は地球温暖化対策としてグリーンカーテンを推奨している。
グリーンカーテンの4つの効果
1. 直射日光を遮れる
夏に帰宅した際、部屋の暑さが耐え難いと感じたことのある人も多いだろう。グリーンカーテンは、日差しを遮って室内温度の上昇を抑える効果がある。
これによって冷房や扇風機の使用が抑えられ、電気料金の節約にも期待できる。
2. 体感温度が下がる
この現象によって日中の気温が上がり、熱中症をはじめ人体に悪影響を及ぼすことが問題視されているのだ。
植物があると、葉から水分が蒸発するときに周囲の熱を奪ってくれる。そのため、ヒートアイランド現象の対策には、広い範囲を緑で覆えるグリーンカーテンが適しているといえるだろう。
建物にグリーンカーテンを設置しようと取り組む企業や自治体も存在する。
3. 夏場の節電になる
では、家庭にグリーンカーテンがあるとどうだろうか。グリーンカーテンによる直射日光の遮光、葉の蒸発作用によって、グリーンカーテン内側の温度は1〜3度ほど気温が下がる。
さらに、グリーンカーテンで覆われた窓や壁は必要以上の熱を吸収しないため、4〜10度下がることもある。つまりグリーンカーテンによってクーラーの稼働効率が上がり、節電につながるわけだ。
これからの日本の猛暑を乗り切るには、テクノロジーだけでなく自然に頼る必要があるかもしれない。
4. リラックス効果がある
Physiological Anthropology誌(学会誌)に掲載された研究によると、植物に触れる・匂いを嗅ぐなどの行為は、生理学的・心理学的にストレスを軽減すると報告されている。
また、土には「アウトドアフィンズ」と呼ばれる微生物が含まれており、これが抗うつ効果があると考えられているのだ。さらに驚くことに、植物の近くにいるとリラックス効果があり、それによって傷が早く癒されるヒーリング効果もあるという。
このようにグリーンカーテンのリラックス効果は科学的に証明されたものであり、ぜひ取り入れて欲しい。
グリーンカーテンの注意点
賃貸住宅は規約違反の可能性がある
無許可でグリーンカーテンを設置すると、トラブルに発展するおそれがある。さらに、近隣の部屋に植物が入り込んで影響を与えたり、景観を損なったりしないように注意したい。
避難経路を塞ぐかもしれない
緊急時、ベランダは自身だけでなく近隣住民も通る避難経路となるため、通行を妨げるようなものを置いてはならない点に注意しよう。
緊急時の避難経路を確保するためには、グリーンカーテンが育ったあと、どの範囲が覆われるのかの想定が必要だ。
強風で飛んでしまう恐れがある
対策として、ネットを緩めに張るようにしよう。ネットをピンと張ると風に対する抵抗が強くなり、飛びやすくなるからだ。大きめのグリーンカーテンを取り入れる場合は、ネットなどをアンカーでしっかり固定することをおすすめする。
成長し過ぎにより近隣に迷惑をかけることも
自分で設置するグリーンカーテンにはリラックス効果はあるが、隣人のベランダから伸びてくる植物はストレス以外の何者でもない。
近隣トラブルにもつながるため、グリーンカーテンは放置せず、定期的に手入れをして成長しすぎないよう注意してほしい。
グリーンカーテン作りに必要なものを揃えよう
ネット・支柱
作りたいグリーンカーテンの高さによるが、約2~3m程度 のネットが張れるとよい。支柱はネットの高さと同じものを2~3 本そろえよう。
プランター・鉢底石
鉢底石とは、プランターの底に敷きつめる黒曜石や軽石のこと。プランター内の撥水性や通気性をよくするために必要となる。
お好みの苗や種
土・肥料
また、丈夫なグリーンカーテンを作るためには、積極的に肥料を使いたい。 肥料は植え付ける2週間ほど前に土と混ぜておく。
土作りから本格的に取り組みたい人は、家庭の生ごみを堆肥に変えられるこちらのアイテムを検討してみよう。
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スコップ・ハサミなど
この他、つるを引きつけるロープやひも、ネットを張る金具、軍手など手を傷つけないためのアイテムも忘れないでおこう。
初心者向けグリーンカーテンの作り方
1. 設置する場所を決める
2. 支柱やネットを組み立てる
3. プランターに鉢底石・土を入れる
4. 種や苗をプランターに植えこむ
植える間隔が広いと、葉に隙間ができておしゃれな雰囲気に。間隔が狭いと緑が生い茂って目隠しになる。
5. 肥料や水をやる
グリーンカーテンを美しくするコツ
水やりのポイント
種をまいてしばらくは土の表面が乾いたタイミングで水やりをし、葉が出てから頻度を増やそう。
成長後、葉っぱや花が落ちるのを放置すると家の周りが散らかってしまうため、周囲の掃除が欠かせない。排水溝が近くにある場合は、落ち葉や花びらをこまめに取り除こう。
1〜1.5mの高さに成長したらい摘心する
植物の性質は「まっすぐ上に伸びる」だ。これは植物の生存本能であり、できる限り効率よく成長し、高い場所に花や実をつけることで子孫を残している。つまり、植物に「グリーンカーテンになりたい」という気持ちは毛ほどもない。
そこでやるべきが、摘心である。植物が1〜1.5mの高さに成長してきたら、先端から20〜30cmのところを、ハサミで切り取る。摘心によって上に成長できなくなった植物は、横にツルを伸ばしていくのだ。
こうして摘心を行うことで、美しいグリーンカーテンを作る基礎になる。
ツルを誘引して広げ、風通しをよくする
誘引とは、葉が重なりすぎているツル、下に伸びてしまっているツル、あるいは綺麗に広がっていないツルを、手作業で誘導する作業だ。
グリーンカーテン作りでは誘引を行わないと、葉の1枚1枚に日が当たりにくくなる。さらに風通しも悪くなり、生育しづらくなってしまう。細かいメンテナンスだが、誘引を続けて美しいグリーンカーテンを目指そう。
子ヅルを横に広げるよう育てる
ツルの先端を切ると子ヅルに栄養が行きやすくなるため、より美しいグリーンカーテンを作りやすい。「下の方は綺麗に生い茂っているけど上はスカスカ」とならないよう、思い切って伸び切ったツルの先端を切り落として欲しい。
また、植物の実がなった場合はツルや葉に栄養を行き渡らせるため、早めに収穫することをおすすめする。
初心者のグリーンカーテン作りにおすすめの植物
「アサガオ」で鮮やかに彩る
鮮やかなピンクや青の花が、家の周りにいろどりを添えてくれるのが魅力だ。種を収穫しておけば、翌年も収穫した種でアサガオのグリーンカーテンが楽しめる。
「ゴーヤ」で清涼感アップ
また、ゴーヤは病害虫に比較的強い植物のため、手をかけなくても元気に育つ。すぐに草木を枯らしてしまう人や初心者にもおすすめだ。
ゴーヤはビタミンCが豊富で夏バテにもぴったり。エコと健康のために、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。
「アイビー」で年中楽しむ
ただし、アイビーがグリーンカーテンの高さまで育つには時間がかかるため、年単位で成長を楽しめる余裕が必要だ。
また、繁殖力が強く、放置していると家の外壁に根を張ってしまうおそれがあるため、定期的に壁に根付いていないか確認しよう。
グリーンカーテンでベランダをもっと美しく、もっと涼しく
自分の好みに合った植物でグリーンカーテンを作れるのもうれしい。環境について考えるとともに、栽培を趣味としても楽しめるグリーンカーテンをぜひ試してみてはいかがだろうか。