Vol.338

KOTO

13 MAY 2022

グリーンカーテンの効果とおしゃれな作り方とは?おすすめの植物3選

壁や窓際に沿って、カーテンのように育てられた植物を見たことがある人も多いだろう。それは「グリーンカーテン」や「緑のカーテン」と呼ばれている。グリーンカーテンは自宅で挑戦できる上に、環境保全や自身のリラックス効果が期待される。ここでは、グリーンカーテンのおしゃれな作り方や管理方法、もたらす効果を解説する。グリーンカーテンにおすすめの植物も紹介するので、ぜひ試してみてほしい。まずは、グリーンカーテンを作るために知っておきたい前提知識を見ていこう。

グリーンカーテンとは?|作り方を知るための前提知識

グリーンカーテンにはさまざまな効果がある
ここでは、グリーンカーテンの基本情報や作り方を知るための前提知識、注意点を紹介する。

グリーンカーテンとは

グリーンカーテンとは、窓や壁面に沿って、つる性の植物をカーテンのように育てたもののこと。設置することで、夏の強い日差しを和らげてくれる。

特に注目を浴びたきっかけは、2011年の東日本大震災。震災当時、発電所が大きな被害を受け、国民は節電を求められていた 。そんなとき、室内温度の上昇を抑える効果を持つグリーンカーテンは節電対策にぴったりだったのだ。

また、節電や省エネにつながるため、環境省は地球温暖化対策としてグリーンカーテンを推奨している。

グリーンカーテンのもたらす効果とは

グリーンカーテンは以下の3つの効果をもたらす。

1つ目の効果は、直射日光を遮ること。夏は日差しが強く、窓から差し込む光は室内温度を非常に高くする。夏に帰宅した際、部屋の暑さが耐え難いと感じたことのある人も多いだろう。グリーンカーテンは、日差しを遮って室内温度の上昇を抑える効果がある。これによって冷房や扇風機の使用が抑えられ、電気料金の節約にも期待できる。

2つ目の効果は、ヒートアイランド現象を緩和すること。ヒートアイランド現象とは、アスファルトやコンクリートに覆われた都市の気温が、郊外に比べて高くなることを指す。この現象によって日中の気温が上がり、熱中症をはじめ人体に悪影響を及ぼすことが問題視されているのだ。

植物があると、葉から水分が蒸発するときに周囲の熱を奪ってくれる。そのため、ヒートアイランド現象の対策には、広い範囲を緑で覆えるグリーンカーテンが適しているといえるだろう。建物にグリーンカーテンを設置しようと取り組む企業や自治体も存在する。

3つ目の効果は、グリーンカーテンにする植物によっては、花や実を楽しめること。たとえば、ゴーヤのように実のなる植物は収穫し、食材として利用できる。花が咲く植物は、成長を楽しんだり、自身がリラックスしたりできる。特に都市部で自然を身近に感じられない場合は、緑とふれあう貴重な機会となるだろう。単に環境のためだけにグリーンカーテンを作るのではなく、自分の趣味にもできるのが魅力だ。

グリーンカーテンを設置する前の注意点

マンションやアパートなどの集合住宅にグリーンカーテンを設置する場合は、以下の点に注意したい。

まず注意したいのが周囲の環境について。ベランダで植物を育ててよいか、事前に管理者に確認しよう。無許可でグリーンカーテンを設置すると、トラブルに発展するおそれがある。さらに、近隣の部屋に植物が入り込んで影響を与えたり、景観を損なったりしないように注意したい。

もう1つの注意点は、避難経路を塞がないこと。避難ハッチや通路を塞ぐと、緊急時にすぐに避難できなくなる可能性がある。緊急時、ベランダは自身だけでなく近隣住民も通る避難経路となるため、通行を妨げるようなものを置いてはならない点に注意しよう。緊急時の避難経路を確保するためには、グリーンカーテンが育ったあと、どの範囲が覆われるのかの想定が必要だ。

グリーンカーテンの作り方と管理方法|賃貸のベランダでもOK

必要なモノを用意してグリーンカーテンを楽しもう
グリーンカーテンはつる性の植物で作るため、それに適した栽培の準備が必要だ。ここでは、グリーンカーテンを作るのに必要なモノやおしゃれな作り方、管理方法を紹介する。

グリーンカーテンに必要なモノ

グリーンカーテンを作る際に必要なモノは、以下のとおり。

■植物の苗や種
グリーンカーテンを作るには、つる性の植物が最適だ。おすすめの植物は後述するので、自分好みの種類を選ぼう。苗はグリーンカーテンを作りたい範囲に合わせた数を用意する。

■プランターと鉢底石、土、肥料
植物が根をしっかりと張れるように、大きく深さのあるプランターを用意しよう。プランターが大きい方が、植物が安定してしっかりと育ち、窓の大きさに合ったグリーンカーテンを作れる。

鉢底石とは、プランターの底に敷きつめる黒曜石や軽石のこと。プランター内の撥水性や通気性をよくするために必要だ。土は、ホームセンターで手に入る培養土がよいだろう。育てる植物の種類に応じたブレンドの土が手に入る ため、初心者も安心して植えつけられる。また、丈夫なグリーンカーテンを作るためには、積極的に肥料を使いたい。 肥料は植えつける2週間ほど前に土と混ぜておく。
土作りから本格的に取り組みたい人は、家庭の生ごみを堆肥に変えられるこちらのアイテムを検討してみよう。
■ネットや支柱
伸びていくつるを壁や窓に這わせるため、ネットや支柱が欠かせない。作りたいグリーンカーテンの高さによるが、約2~3m程度 のネットが張れるとよい。支柱はネットの高さと同じものを2~3 本そろえよう。

■その他
・スコップ
・ハサミ
・つるを引きつけるロープやひも
・ネットを張る金具
上記のような最低限の園芸用具やひも、金具を準備しておこう。

グリーンカーテンのおしゃれな作り方

グリーンカーテンはプランターでも作れるのが魅力
ここでは、グリーンカーテンの作り方を紹介する。

1.プランターを準備する。プランターには鉢底石を約3cm敷きつめ、その上に肥料を混ぜた土を入れる。土はプランターのふちから2~3cm下まで入れよう。

2.支柱を組み立て、ネットを張る。支柱はグリーンカーテンを張りたい場所に、倒れないように固定。ネットはプランターの縁から窓の上や天井まで張る。ロープや園芸用のクリップで支柱に固定すると張りやすい。

3.種もしくは苗を植えつける。植えつける間隔は20~30cmくらいが目安。見た目を重視する場合は、この間隔によってグリーンカーテンの雰囲気が変わることを覚えておきたい。植える間隔が広いと、葉に隙間ができておしゃれな雰囲気に。間隔が狭いと緑が生い茂って目隠しになる。

グリーンカーテンの管理方法

グリーンカーテンを管理する上で大切な作業が「水やり」だ。しかし、苗が小さいうちは水をやり過ぎると根が腐ってしまう。種をまいてしばらくは土の表面が乾いたタイミングで水やりをし、葉が出てから頻度を増やそう。

成長後、葉っぱや花が落ちるのを放置すると家の周りが散らかってしまうため、周囲の掃除が欠かせない。排水溝が近くにある場合は、落ち葉や花びらをこまめに取り除こう。

グリーンカーテンにおすすめの植物3選

グリーンカーテンを作るには、つる性植物を選ぶ必要がある。つる性植物には、花が咲くタイプや実がなるタイプ、冬でも葉の緑色を保ってくれるタイプなどさまざまな品種があるため、好みに沿って選ぶのも楽しみのひとつだ。ここではグリーンカーテンに使われる植物を、おすすめの3つに厳選して紹介する。

いろどり豊かな「アサガオ」

アサガオのグリーンカーテンは涼やかな気分になれる
子どものころにアサガオを育てた経験がある人も多いだろう。アサガオはとても育てやすく、日本人にとって馴染み深い一年草だ。アサガオの種類は「日本アサガオ」と「西洋アサガオ」の2種。グリーンカーテンには高さの出る西洋アサガオが適している。鮮やかなピンクや青の花が、家の周りにいろどりを添えてくれるのが魅力だ。種を収穫しておけば、翌年も収穫した種でアサガオのグリーンカーテンが楽しめる。

夏野菜の代表格「ゴーヤ」

明るく涼しげな色合いの葉が魅力のゴーヤ。実を収穫する楽しみもあるのがうれしい
せっかくなら家庭菜園としても楽しみたいという人におすすめなのが、ゴーヤのグリーンカーテンだ。ゴーヤは病害虫に比較的強い植物のため、手をかけなくても元気に育つ。すぐに草木を枯らしてしまう人や初心者にもおすすめだ。ゴーヤはビタミンCが豊富で夏バテにもぴったり。エコと健康のために、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。

グリーンカーテンを通年楽しめる「アイビー」

一年中グリーンカーテンを楽しみたい人にぴったりなアイビー
一年草だと、夏が終わると枯れてしまう。冬を越えられるグリーンカーテンを作りたい人には、アイビーをおすすめしたい。アイビーは常緑の植物のため、冬でもグリーンカーテンを楽しめる。ただし、アイビーがグリーンカーテンの高さまで育つには時間がかかるため、年単位で成長を楽しめる余裕が必要だ。また、繁殖力が強く、放置していると家の外壁に根を張ってしまうおそれがあるため、定期的に壁に根付いていないか確認しよう。

おしゃれな作り方を押さえてグリーンカーテンのある暮らし

エコ・癒し・おしゃれの3つを楽しめるグリーンカーテンを作ろう
グリーンカーテンは、環境の維持やヒートアイランド現象の抑制に加え、緑による自身のリラックス効果などが期待できる。自分の好みに合った植物でグリーンカーテンを作れるのもうれしい。環境について考えるとともに、栽培を趣味としても楽しめるグリーンカーテンをぜひ試してみてはいかがだろうか。