あらゆる人の「幸せ」のベースに「からだ」がある
「なぜ違和感を感じるのかじっくり考えたら、自分にとって大切なのは、“自分の働きで誰もが幸せになること”だと気づいたんです。その根本に立ち返ってみると、自分がやっていた翻訳や通訳の仕事は、“できること”であって、自分が“心からやりたいこと”ではなかったんです」
一方で、長年趣味として続けていた「からだのケア」の存在が、万力さんが求める“誰もが幸せになること”につながると気づき、翻訳家から整体師に転向することを決意。座学や講習会を通して学び、小さなワークショップを開いて実践しながら、自分らしいスタイルを確立していった。
もともと言葉のプロでもある彼女は、施術中もやさしい言葉を使い、穏やかに語りかけてくれる。説明を聞いたり、会話のやりとりをしているだけでも、不思議なことにほんのりリラックスした気分になってくる。そして、凝っている部分をぐいぐい押してもみほぐすのではなく、なでたりゆらしたりしてからだをゆるめてくれるので、痛みを感じることはほとんどない。まさに「やさしい整体」である。
「整体は、あくまで民間療法です。ひとえに整体といっても色々な流派があって、施術方法もさまざま。まずは自分にあった方法を選ぶことが大切です」という万力さん。「痛いところをもんでほぐす」のではなく、「そもそも痛みの出にくいからだづくり」を目指し、原因を捉えて呼吸や姿勢のあり方、からだの使い方などの対処法を教えてくれる。
現代人が抱えるからだの問題は、浅い呼吸の改善から
「最近はからだの力を抜けない人が多いんです。自分でも力が入っていることに気づかないくらい、常にからだが力んでいて、呼吸も浅くなっている。まずは自分の呼吸について意識してみることが大切です」
たしかに都会で生きていると緊張を強いられる場面も少なくないだろう。張り詰めた気持ちは、そのまま体に強張りを引き起こしている。
心地よいからだづくりに必要なのは、「強さ」ではなく「しなやかさ」。まずは自分自身の意識を変え、体の基本から見直す必要がありそうだ。
「まずはうつ伏せに寝て、左足の付け根を30度、つらい人は無理のない角度に広げ、ひざを軽く曲げます。頭と腕は、好きな位置でOK。その体勢のまま鼻から息を深く吸って、お腹のあたりを空気で膨らませたら、いきむように、お尻に一瞬ぎゅっと力を入れます。そして口からふぅ〜っと息をはいていく」
このステップを3〜4回ほど繰り返そう。ゆるみにくい左側の骨盤底筋をゆるめると、自然と右側もゆるむため、左側だけでOK。
「深い息の吸い方が、いまいちピンとこない」という方は、首の後ろ側に息が抜けるイメージで吸ってみよう。自然とお腹にも息が入っていくのを感じるはず。次第にお腹まわりが温まる、もしくはすっきりした感覚を得られるだろう。
普段の姿勢がからだへの負担に。座り方から見直そう
「座るときは、はじめに椅子の前にまっすぐに立ち、お尻を突き出しながら腰をおろし、そのまま座りましょう。坐骨(ざこつ)部分が椅子に当たるので、その真上か、少し前に重心を置くことで、安定する位置が見つかるはず」
自分のからだに根本から向き合って、痛みを未然に防ごう
微妙なからだの変化を捉えるのは、はじめは難しく感じるかもしれない。しかし、自分自身でからだをケアするセルフボディケアによって、自分という個をより深く見つめ直すことができるはずだ。
もっとからだをゆるめたい、ケアの方法を知りたいという方は、ぜひ万力さんの整体を体験してみてほしい。また、SNSでも低気圧の時の痛みを防ぐ方法など、セルフボディケア情報を発信中。今年もしなやかなからだづくりをしていこう。
万力春乃(まんりき はるの)
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