デジタルデトックスとは
デジタル機器から離れることで、現実でのコミュニケーションや自然環境とのふれあいなど、デジタル以外の物事に目を向けさせるのが目的である。
デトックスは「解毒」を意味する言葉であり、ダイエットやカラダづくりなどで耳にしたことがある人も多いだろう。デジタル機器に対する中毒から心身を解放する行為であるとして、デトックスという言葉が使われているのだ。
なぜ、デジタルデトックスが必要なのか
デジタル依存がもたらす悪影響の例として、以下のようなことが挙げられる。
・ネガティブな情報に触れることによるストレス
・SNSやメールなどを夜中まで続けることによる睡眠不足
・長時間デジタル機器を操作したことによる肩こりや眼精疲労
このような身体的・精神的疲労を訴える人が年々増え、問題となっている。さらに、リモートワークの普及によって仕事とプライベートの切り替えが難しくなり、心身が休まらないと感じる人も増えている。
デジタルデトックスがもたらす効果
ストレスや疲労が軽減される
デジタル機器から離れて目にする情報量を減らせば、ネガティブなニュースのせいでうつ状態になったり、SNSの通知によるストレスを感じたりするのを抑えられる。同時に、同じ姿勢でデジタル機器を操作し続けることによる、肩こりや眼精疲労といった身体的不調も和らぐはずだ。
睡眠の質がよくなる
デジタル機器のなかでも、スマートフォンは手元ですばやく情報にアクセスできてしまうため、夜遅くまで触っている人が多い。画面から出ているブルーライトを夜に浴びると、睡眠を促すホルモンの分泌が抑制されて睡眠の質が悪くなるのだ。
そのため、夜にデジタルデトックスを行えば、正常にホルモンが分泌されて良質な眠りを得られる。
睡眠の質をよくするには、こちらもチェックしたい
自由に使える時間が増える
普段は意識していなくとも、現代人は1日のなかでかなりの時間をデジタル機器に奪われている。少しだけのつもりでSNSを開いても、気がつくと何時間も経っていたという経験は誰にでもあるだろう。
デジタルデトックスを行ってネットにかける時間を減らせば、浮いた時間を趣味や休息などに充てられる。そうすれば、デジタル以外の楽しみを見つけたり、心身をより回復させたりすることも可能になるはずだ。
【レベル別】デジタルデトックスのやり方
【初級編】1日のなかでデジタル機器に触れない時間をつくる
まず、1日のなかで自分がどれだけデジタル機器を使っているかを書き出し、可視化する。それをもとに、どれくらいまで使う時間を抑えるかを決めよう。
どのタイミングでデジタルデトックスを行うかは、自分の生活にあわせて決めればよい。いきなり長時間触れないようにするのはかえってストレスになるため、最初は30分程度の短い時間からスタートし、慣れてきたら時間をのばしていこう。
【中級編】強制的にデジタル機器を使えないようにする
初級編のやり方は、自分の意思の力によるところが大きい。そのため、「30分はデジタル機器に触れない」と決めていても、つい誘惑に負けて使ってしまうこともあるだろう。
そういう場合でも、決めた時間が経つまでスマホやパソコンを使えない状態にしておけば、強制的にデジタルデトックスを実行できるのだ。具体的には、iPhoneの「スクリーンタイム」「集中モード」、Androidの「フォーカスモード」を利用して、アプリの使用時間やコンテンツの利用を制限する。パソコンであれば、「機内モード」にしてネット接続できないようにすればよい。
【上級編】デジタル機器を持たずに外出する
最初は散歩や買い物程度の外出からスタートし、だんだん時間や距離をのばしていくとよい。可能であれば、デジタル機器を持たずに旅やキャンプに出かけてみるのもおすすめだ。
いきなり外出するのが難しい場合は、家族にスマホやパソコンを預け、自宅で過ごすところから始めてみよう。
デジタル機器を自分の身から離す際は1つ注意点がある。今まで頻繁にやり取りしていた人からの連絡が急に途絶えると、周囲の人は心配するはずだ。そのため、「今日は◯時まで連絡が取れない」などと事前に伝えておこう。
デジタルデトックスに役立つツールやサービス
スマホ依存対策用のアプリ
また、スマホの使用時間を自動で計測したり、ゲーム感覚でデジタルデトックスができたりするアプリもあるため、自分の状態や適性に合わせて選べるのもメリットだ。
デジタルデトックスはある程度の期間で続けなければ効果が出ないため、「これなら続けられそう」と思えるアプリを、しっかりと吟味して選ぼう。
宿泊施設のデジタルデトックスプラン
デジタル依存が深刻化している世情を受け、宿泊施設のなかには「デジタルデトックス」をテーマにしたサービスプランを打ち出しているところがある。チェックインのときにスマホやパソコンをフロントで預ける、というのが基本的な流れだ。
デジタルデトックスを行いながら、宿泊先の部屋や料理、周辺の自然などをじっくり味わえるので、有意義な時間が過ごせるだろう。
デジタルデトックスとは何かを知って、上手にデジタル機器と付き合おう
まずは、1日にどれだけの時間、デジタル機器を使っているかを確認しよう。自分の依存度を把握したら、レベルに合ったデジタルデトックスを行って心身を休ませる。自分だけで行うのが難しい場合は、ツールやサービスを活用するのも手だ。
ただ、デジタル機器そのものが悪いわけではない。完全に切り離すのではなく、適度な距離感を持って利用するのが重要なのだ。