スロージョギングとは?
もはや「走っている」とは言えないほどのスピードだが、スロージョギングと歩くのとではエネルギー消費量に大きな差がある。
ランニングよりもゆっくり走るジョギング、スロージョギングはそれよりも遅いため、体への負担も軽い。体型の変化や体力の衰えを感じ始めるミドル世代にもおすすめの運動だ。
ファストウォーキングとの違い
ファストウォーキングは比較的軽い運動に思えるが、とんでもない。カロリー消費量が高く、その分心拍数も上がる。軽くランニングしているくらいの疲労は感じることだろう。
それに対し、スロージョギングは心拍数が跳ね上がったりしないため疲労を感じにくい。翌日への影響も少ないので、ミドル世代でも続けやすいのが特徴だ。
スロージョギングで得られる効果
歩くよりもエネルギー消費量が多い
ある検証で、スロージョギングとウォーキングを共に時速4kmで行ったところ、前者のエネルギー消費量は5.9kcal、後者は3.7kcalという結果が出た。スロージョギングは、ウォーキングの1.6倍ものエネルギーを消費できるのである。
その要因は、持続的な運動をするときに活躍する筋肉、「遅筋」がスロージョギングによって鍛えられることだ。エネルギー消費量が多いということは、それだけダイエットにも効果的といえる。
カラダへの負担が少なく続けやすい
そのため、これまで運動をしてこなかった人でも続けやすいだろう。運動を始めても継続できないのは、慣れない運動にカラダがついていかず、モチベーションが下がることが理由の1つ。
また、カラダへの負担が少なければ、ケガのリスクも少なくなる。健康のために始めた運動でケガをするのは本末転倒であるため、まずはスロージョギングで運動できるカラダづくりをするのもおすすめだ。
慣れてきたら、ジョギングも取り入れてはいかがだろうか。
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ツラくないから初心者でも続けやすい
一方のスロージョギングは、「ツラくない」のが何よりの特徴だ。個人的にはエネルギーの消費量よりも、このメリットが非常に大きいと考えている。
物事はなんでも「続けること」が大切であり、小さいことでも継続が大きな熱量を生み出し、変化をもたらす。スロージョギングは「キツい」「ツラい」という感情とは無縁なので初心者でも続けやすく、結果として理想の体型を手に入れられるだろう。
精神的なリフレッシュ効果がある
この心地よい疲労感にはリフレッシュ効果が期待できる。
スロージョギングによって全身の血行がよくなると、脳のさまざまな機能が刺激されて活性化につながる。目が冴えて、シャキッとした気分になるはずだ。
ほかにも、風景を眺めたり、仲間とおしゃべりしたりしながら楽しんで走ることは、ストレス解消につながる。
スロージョギングの正しいやり方
1. 背筋を伸ばす
その際、やや前傾姿勢を取ると、さらに足運びが楽になるので意識しよう。あごは少し上げて遠くを見るような目線にすると、のどが開いて呼吸がしやすくなる。
最初は意識できていても、続けているうちに姿勢は崩れてきやすい。慣れないうちは合間で姿勢を調整するとよいだろう。
2. 歩幅を小さく
歩幅を小さくしてゆっくり進むため、腕を大きく振る必要もない。腕を90度くらいに曲げてカラダの横に添え、足の動きと合わせて自然に振るとよい。
3. 腕の振り・呼吸は自然に
むしろ腕の振りを意識してしまうと、スロージョギングにおいては「腕の振りすぎ」となり、体に余計な負担がかかる恐れがある。
呼吸も同様だ。呼吸を意識するあまり背筋や歩幅が意識できなくなっては、元も子もない。無理に呼吸のリズムを取るのではなく、あくまで自然体で走るのがスロージョギングの鉄則だ。
4. 会話できるスピード
始めたばかりの人であれば、歩くようなペースで行うとよいだろう。継続することが重要であるため、慣れてからも無理にペースアップする必要はない。息が上がってきたら適宜ペースダウンしよう。
友人や家族と一緒に走る場合は「ニコニコペース」が掴みやすい。1人で走る際は、好きな音楽(スローテンポの曲だとなおよい)を聞きながら行うのがおすすめだ。
5. 1日15〜30分を目安に
また、10分/20分や15分/15分など、1日の中で2回に分けてスロージョギングするのもおすすめだ。時間をとりやすく、スロージョギングの効果もしっかりと発揮できる。
「有酸素運動は20分以上やらないと意味がない」という話も聞くが、そんなことはない。「5分以上の有酸素運動でも脂肪燃焼効果が生じる」と報告している研究もある。
スロージョギングを行う注意点
「フォアフット」は意識せず自然に足を運ぶ
スロージョギングについて解説している記事の中にはフォアフットを推奨しているものがあるが、筆者はおすすめしない。なぜならフォアフットは習得難度が高く、初心者は怪我につながるリスクが高いからだ。
また、スロージョギングでフォアフットをやろうとすると、不自然に弾む形になる。これでは足部への衝撃・負担が強くなるだけで、疲れない走法とはほど遠くなってしまう。
怪我のリスクを最小限にとどめるためにも、フォアフットではなく自然な足運びでスロージョギングを楽しもう。
「オーバーワーク」にならないよう注意する
あらかじめ、スロージョギングを行う時間や距離を決めておくとよい。少しでも痛みが出たり、疲労を強く感じたりしたらすぐに休憩しよう。
スロージョギングを継続するコツ
意気込まずに始める
人はリラックス状態で物事に取り組む方が、ポジティブな気持ちを維持しやすいのだ。
スロージョギングも例外ではない。意気込みすぎて初日から1時間以上も走ると、翌日に強い疲労を感じ、スロージョギングに対して消極的になってしまう。
「たくさん走らねば」「頑張らなきゃ」といった意気込みをまず捨てることが、スロージョギングを継続させる一歩になる。
週1・2回から始める
運動で疲労状態になると、脳の中の扁桃体(へんとうたい:ストレスに反応する神経細胞の集合体)に変化が起き、苦痛感が強まる。「ツラい」「苦しい」といったストレスを感じるようになるため、スロージョギングが長続きしなくなる。
だからこそ、週1・2回から始め、「スロージョギングは体にとって楽しいこと」と、少しずつ脳に覚えさせるのが正解だ。
ジョギング後のご褒美を用意する
「スロージョギングで消費する以上のカロリーを摂取するのはもったいない」と思うかもしれないが、実は違う。
スロージョギングなどの有酸素運動にはアフターバーン効果(運動後もエネルギー消費が続く現象)があり、表面上よりも多くのエネルギーを消費する。
たとえばビール1本のカロリーは約140kcalなので、30分のスロージョギングで十分カバーできる(30分で約150〜200kcalほど消費)。
ビールやスイーツなどの嗜好品を「心置きなく楽しむため」にスロージョギングを取り入れるのも、ストレスを減らし継続しやすくするコツだ。
スロージョギングについてよくある質問
室内でもスロージョギングはできる?
やり方は、1・2畳ほどのスペースで、「6歩進んで3歩でターン」を繰り返すだけ。上から見ると8の字を描くようなかたちだ。
ターンを入れたほうが、直線的に行き来を繰り返すよりも運動としての負荷が大きくなる。音が響く場合は、マットや座布団などを準備しよう。
スロージョギングの適切な頻度は?
まずは、「1日10分程度」から始めてカラダを慣らすとよい。フォームやスピードに慣れてきたら、「1日30分 週3回」を目安にする。
その目安でしばらく続けてみて、カラダへの負担の有無で時間や頻度を調整しよう。
スロージョギングに適したシューズは?
かかと部分のクッション性が利きすぎると、初心者は横ブレが生じて足首やヒザに負担がかかりやすい。「on(オン) クラウドフライヤー」のようなシューズなら適度なクッション性に幅広のフォルムで、横ぶれを防止できる。
自分でシューズを選ぶのが難しい場合は、ショップ(スポーツ用品店)の店員に相談しよう。
スロージョギングで“あの頃の体型”を取り戻そう
そのため、これまで運動をしなかった人でも続けやすく、ダイエット効果もあるだろう。
しかし、正しいやり方で行わなければせっかくの効果も半減してしまう。健康なカラダを手に入れるためにも、効果的なフォームや注意点を意識して、自分のペースで挑戦してみてはいかがだろうか。