Vol.361

KOTO

02 AUG 2022

スロージョギングのやり方や効果は?体力づくり・リフレッシュのための習慣に

ダイエットや体力づくりのために、ジョギングを始めようとする人が増えている。しかし、これまで運動をしてこなかった人が急にジョギングをすると、かえってカラダに負担をかけてしまうこともあるだろう。そこでおすすめなのが、ジョギングよりもゆっくりと走る「スロージョギング」である。今回は、スロージョギングのメリットや効果的なやり方などについて解説していくため、適度な運動で健康的になりたいと考えている人は、ぜひ参考にしてほしい。

スロージョギングとは?

スロージョギングは、姿勢を意識することが大切
スロージョギングとは、通常のジョギングよりもゆっくり走る運動だ。具体的には歩くのと同じスピード(時速4kmほど)で走る。

もはや「走っている」とは言えないほどのスピードだが、スロージョギングと歩くのとではエネルギー消費量に大きな差がある。

ランニングよりもゆっくり走るジョギング、スロージョギングはそれよりも遅いため、体への負担も軽い。体型の変化や体力の衰えを感じ始めるミドル世代にもおすすめの運動だ。

ファストウォーキングとの違い

スロージョギングとファストウォーキング(早歩き)の違いも解説しておこう。ファストウォーキングの一般的なスピードは時速7kmほどだ。つまりスロージョギングより時速3kmも早い。

ファストウォーキングは比較的軽い運動に思えるが、とんでもない。カロリー消費量が高く、その分心拍数も上がる。軽くランニングしているくらいの疲労は感じることだろう。

それに対し、スロージョギングは心拍数が跳ね上がったりしないため疲労を感じにくい。翌日への影響も少ないので、ミドル世代でも続けやすいのが特徴だ。

スロージョギングで得られる効果

さまざまなルートを走ってみるのも楽しい
スロージョギングにはさまざまなメリットや効果が期待できる。ここではそのうちの4つについて解説する。

歩くよりもエネルギー消費量が多い

スロージョギングとウォーキングは、一見すると同じ行為に見える。しかし、両者を比較すると、前者のほうが効率的にエネルギーを消費できるといわれている。

ある検証で、スロージョギングとウォーキングを共に時速4kmで行ったところ、前者のエネルギー消費量は5.9kcal、後者は3.7kcalという結果が出た。スロージョギングは、ウォーキングの1.6倍ものエネルギーを消費できるのである。

その要因は、持続的な運動をするときに活躍する筋肉、「遅筋」がスロージョギングによって鍛えられることだ。エネルギー消費量が多いということは、それだけダイエットにも効果的といえる。

カラダへの負担が少なく続けやすい

スロージョギングは、ランニングやジョギングなどと比べて足腰への負担が少ない。

そのため、これまで運動をしてこなかった人でも続けやすいだろう。運動を始めても継続できないのは、慣れない運動にカラダがついていかず、モチベーションが下がることが理由の1つ。

また、カラダへの負担が少なければ、ケガのリスクも少なくなる。健康のために始めた運動でケガをするのは本末転倒であるため、まずはスロージョギングで運動できるカラダづくりをするのもおすすめだ。

慣れてきたら、ジョギングも取り入れてはいかがだろうか。

ツラくないから初心者でも続けやすい

張り切ってランニングを始めたものの、数日しか続かなかった経験は誰にでもあるだろう。自分が颯爽と走る姿をイメージするのは楽しいが、楽しいのは本当に想像の中だけだ。だからランニングは続けにくい。

一方のスロージョギングは、「ツラくない」のが何よりの特徴だ。個人的にはエネルギーの消費量よりも、このメリットが非常に大きいと考えている。

物事はなんでも「続けること」が大切であり、小さいことでも継続が大きな熱量を生み出し、変化をもたらす。スロージョギングは「キツい」「ツラい」という感情とは無縁なので初心者でも続けやすく、結果として理想の体型を手に入れられるだろう。

精神的なリフレッシュ効果がある

息切れするほどのハードな運動は人によってはストレスに感じることもあるが、カラダがポカポカする程度の適度な運動は心地よい疲労感を生む。

この心地よい疲労感にはリフレッシュ効果が期待できる。

スロージョギングによって全身の血行がよくなると、脳のさまざまな機能が刺激されて活性化につながる。目が冴えて、シャキッとした気分になるはずだ。

ほかにも、風景を眺めたり、仲間とおしゃべりしたりしながら楽しんで走ることは、ストレス解消につながる。

スロージョギングの正しいやり方

スロージョギングは、正しいやり方で行うことで初めて効果が出る。まずは、スロージョギングの効果を得るために意識すべきポイントを解説する。

1. 背筋を伸ばす

スロージョギングにおいて姿勢は重要だ。背筋をまっすぐ伸ばした姿勢をキープすることで、足を持ち上げやすく、スムーズに走れるようになる。

その際、やや前傾姿勢を取ると、さらに足運びが楽になるので意識しよう。あごは少し上げて遠くを見るような目線にすると、のどが開いて呼吸がしやすくなる。

最初は意識できていても、続けているうちに姿勢は崩れてきやすい。慣れないうちは合間で姿勢を調整するとよいだろう。

2. 歩幅を小さく

ゆっくり走るスロージョギングでは、歩幅を小さくするのがポイントだ。歩幅の目安には個人差もあるが、1歩が10~40cmになる程度とされている。歩幅が小さい分だけ足の回転がはやい。「リズミカルにジャンプしながら進む」とイメージすれば分かりやすいだろう。

歩幅を小さくしてゆっくり進むため、腕を大きく振る必要もない。腕を90度くらいに曲げてカラダの横に添え、足の動きと合わせて自然に振るとよい。

3. 腕の振り・呼吸は自然に

「背筋を伸ばす」「歩幅を小さく」の2つを意識できれば、スロージョギングでその他に意識すべき点はない。腕の振りも呼吸も自然のままに任せよう。

むしろ腕の振りを意識してしまうと、スロージョギングにおいては「腕の振りすぎ」となり、体に余計な負担がかかる恐れがある。

呼吸も同様だ。呼吸を意識するあまり背筋や歩幅が意識できなくなっては、元も子もない。無理に呼吸のリズムを取るのではなく、あくまで自然体で走るのがスロージョギングの鉄則だ。

4. 会話できるスピード

スロージョギングの走るペースの目安は、「隣の人と会話ができるか」だ。一般財団法人スロージョギング協会では、このペースを「ニコニコペース」と表現している。

始めたばかりの人であれば、歩くようなペースで行うとよいだろう。継続することが重要であるため、慣れてからも無理にペースアップする必要はない。息が上がってきたら適宜ペースダウンしよう。

友人や家族と一緒に走る場合は「ニコニコペース」が掴みやすい。1人で走る際は、好きな音楽(スローテンポの曲だとなおよい)を聞きながら行うのがおすすめだ。

5. 1日15〜30分を目安に

初心者は「1日15〜30分」を目安にするといい。理由は「続けやすいから」だ。張り切って初日から1時間走ったりすると、ランニングよろしく、挫折する原因になるだろう。

また、10分/20分や15分/15分など、1日の中で2回に分けてスロージョギングするのもおすすめだ。時間をとりやすく、スロージョギングの効果もしっかりと発揮できる。

「有酸素運動は20分以上やらないと意味がない」という話も聞くが、そんなことはない。「5分以上の有酸素運動でも脂肪燃焼効果が生じる」と報告している研究もある。

スロージョギングを行う注意点

スロージョギングの前は入念なストレッチが欠かせない
メリットの多いスロージョギングだが、以下のようなデメリットや注意点もある。

「フォアフット」は意識せず自然に足を運ぶ

フォアフットとは、かかとではなく前足部から着地する走法だ。衝撃を分散し、反発力を使ってスムーズに走れるスタイルとして、長距離マラソンでも取り入れられている。

スロージョギングについて解説している記事の中にはフォアフットを推奨しているものがあるが、筆者はおすすめしない。なぜならフォアフットは習得難度が高く、初心者は怪我につながるリスクが高いからだ。

また、スロージョギングでフォアフットをやろうとすると、不自然に弾む形になる。これでは足部への衝撃・負担が強くなるだけで、疲れない走法とはほど遠くなってしまう。

怪我のリスクを最小限にとどめるためにも、フォアフットではなく自然な足運びでスロージョギングを楽しもう。

「オーバーワーク」にならないよう注意する

スロージョギングはカラダへの負担が少なく、長時間続けることも可能だ。ただし、少ない負荷でも蓄積していけばケガにつながる可能性もあるため、オーバーワークにならないように注意しよう。

あらかじめ、スロージョギングを行う時間や距離を決めておくとよい。少しでも痛みが出たり、疲労を強く感じたりしたらすぐに休憩しよう。

スロージョギングを継続するコツ

スロージョギングなどの有酸素運動は継続こそ命だ。ここでは、スロージョギングを継続するコツを紹介する。

意気込まずに始める

鼻息を荒げながら始めることよりも、意気込まず始めることの方が長続きし、成功しやすい。筆者の実体験だが、同じような経験をした人も多いだろう。

人はリラックス状態で物事に取り組む方が、ポジティブな気持ちを維持しやすいのだ。

スロージョギングも例外ではない。意気込みすぎて初日から1時間以上も走ると、翌日に強い疲労を感じ、スロージョギングに対して消極的になってしまう。

「たくさん走らねば」「頑張らなきゃ」といった意気込みをまず捨てることが、スロージョギングを継続させる一歩になる。

週1・2回から始める

スロージョギングの頻度は週1・2回がいいだろう。毎日取り入れるのはスロージョギングといえど、さすがにツラい。

運動で疲労状態になると、脳の中の扁桃体(へんとうたい:ストレスに反応する神経細胞の集合体)に変化が起き、苦痛感が強まる。「ツラい」「苦しい」といったストレスを感じるようになるため、スロージョギングが長続きしなくなる。

だからこそ、週1・2回から始め、「スロージョギングは体にとって楽しいこと」と、少しずつ脳に覚えさせるのが正解だ。

ジョギング後のご褒美を用意する

「反則技」と言われるかもしれないが、スロージョギング後にご褒美を用意するといい。ビールでもスイーツでも構わない。とにかく、心も体も喜ぶようなご褒美を用意しておくと、「スロージョギング=楽しい」と考えやすくなる。

「スロージョギングで消費する以上のカロリーを摂取するのはもったいない」と思うかもしれないが、実は違う。

スロージョギングなどの有酸素運動にはアフターバーン効果(運動後もエネルギー消費が続く現象)があり、表面上よりも多くのエネルギーを消費する。

たとえばビール1本のカロリーは約140kcalなので、30分のスロージョギングで十分カバーできる(30分で約150〜200kcalほど消費)。

ビールやスイーツなどの嗜好品を「心置きなく楽しむため」にスロージョギングを取り入れるのも、ストレスを減らし継続しやすくするコツだ。

スロージョギングについてよくある質問

お気に入りのシューズを見つければ、モチベーションアップにもつながる
スロージョギングという耳慣れない言葉に、さまざまな疑問を持つ人もいるだろう。ここでは、3つの疑問にお答えしよう。

室内でもスロージョギングはできる?

基本的にスロージョギングは屋外で行うものだが、工夫すれば室内でも実践可能だ。室内であれば雨の日に行ったり、ちょっとした隙間時間を活用したりできる。

やり方は、1・2畳ほどのスペースで、「6歩進んで3歩でターン」を繰り返すだけ。上から見ると8の字を描くようなかたちだ。

ターンを入れたほうが、直線的に行き来を繰り返すよりも運動としての負荷が大きくなる。音が響く場合は、マットや座布団などを準備しよう。

スロージョギングの適切な頻度は?

スロージョギングはカラダへの負担が少ないため、つい長く続けてしまいがちだ。オーバーワークになるのを防ぐためにも、時間や頻度を決めておく必要がある。

まずは、「1日10分程度」から始めてカラダを慣らすとよい。フォームやスピードに慣れてきたら、「1日30分 週3回」を目安にする。

その目安でしばらく続けてみて、カラダへの負担の有無で時間や頻度を調整しよう。

スロージョギングに適したシューズは?

スロージョギングで使うシューズは、程よいクッション性を備えたシューズがおすすめだ。具体的な製品を挙げると、「on(オン) クラウドフライヤー」が適している。

かかと部分のクッション性が利きすぎると、初心者は横ブレが生じて足首やヒザに負担がかかりやすい。「on(オン) クラウドフライヤー」のようなシューズなら適度なクッション性に幅広のフォルムで、横ぶれを防止できる。

自分でシューズを選ぶのが難しい場合は、ショップ(スポーツ用品店)の店員に相談しよう。

スロージョギングで“あの頃の体型”を取り戻そう

スロージョギングで新しい健康習慣を
スロージョギングのやり方を押さえれば、ジョギングよりもカラダへの負担が少なく、ウォーキングよりも大きなエネルギー消費量を期待できる。

そのため、これまで運動をしなかった人でも続けやすく、ダイエット効果もあるだろう。

しかし、正しいやり方で行わなければせっかくの効果も半減してしまう。健康なカラダを手に入れるためにも、効果的なフォームや注意点を意識して、自分のペースで挑戦してみてはいかがだろうか。