手軽な運動として、ランニングを生活に取り入れたいと考える人が増えている。せっかくランニングをするならば、より健康への効果の高いやり方を知ってから始めたいもの。今回は、朝ランニングの効果や、夜ランニングとの違いを紹介する。新しい運動習慣として朝ランニングを上手に続けるポイントも解説していくので、暮らしの中に心地よい汗を流す時間を取り入れたい人にはぜひ最後まで読んでいただきたい。
カラダと脳にうれしい朝ランニングの効果
運動を習慣化することで体調が整う
朝ランニングの効果の1つは、なんといっても運動習慣づくりになることだ。毎日カラダを動かす機会を持てばおのずと健康意識が芽生え、食事や睡眠にも気をつけてみたくなる。
朝ランニングは日中のスケジュールに左右されないため習慣化しやすく、毎日継続して行えるのがメリットだ。夜は仕事の残業や付き合いなどで、どうしても予定が狂いがち。しかし、朝は余裕をもって起床すれば、予定が狂うことは稀である。日中は忙しくて走れないという人も、朝なら早起きして時間をつくれるだろう。
朝ランニングは決まった時間に起きる必要があるため、生活習慣が正しくなり、体調が整う。運動習慣がない人が朝ランニングでカラダを動かせば、健康促進の第一歩になる。
体内時計がリセットされる
私たちのカラダには体内時計が備わっている。朝になると起き、夜になったら眠るというサイクルができているのだ。しかし、現代の不規則な生活では体内時計が少しずつズレてしまうこともある。そんなときは、朝ランニングで体内時計をリセットしたい。
人間は、起きてから2時間以内に朝日を浴びると体内時計がリセットされるといわれている。さらに、運動して朝のうちにしっかりと目を覚ますのも体内時計のリセットに効果的だ。朝日をカラダいっぱいに浴びてランニングを行うと体内時計が整い、生活リズムの安定や自律神経を整える効果に期待できる。
頭がすっきりして1日の生産性がアップする
朝ランニングをすると、頭もカラダもすっきりする。それはランニングによって血流がよくなり、朝日を浴びたことで交感神経が優位になるからだ。走り出す前は眠くても走り終えれば目が冴えているのは、副交感神経から交感神経に切り替わったことによる効果。出勤前に頭をすっきりさせておけば、朝から集中して仕事に取り掛かれるに違いない。
また、朝ランニングはセロトニンの分泌も促す。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、分泌されることで幸せを感じるためストレスの解消につながる。気持ちよい1日を始めるのに最適ではないだろうか。
朝ランニングが逆効果になることも。正しい準備と対策を
実は、朝ランニングはカラダに悪影響を与えるといわれることもある。ここでは、朝ランニングをする際の注意点と解決方法をお伝えしよう。
朝ランニングがカラダに悪いといわれる理由
人間は寝ている間にも水分やエネルギーを消費するため、朝起きてすぐのカラダはエネルギーが不足しており、場合によっては脱水症状に近い状態だ。そのままのカラダで激しい運動を行うと、低血糖や脱水症状などを引き起こす危険性がある。また、寝起きは筋肉や関節がこわばっていて力が入りにくいため、急に走るとケガをしてしまうおそれもある。
これらが理由で、朝ランニングはカラダに悪いという考えを持つ人も一定数いることは否めない。しかし、いずれも事前に対策を行えば、安全に朝ランニングの効果を引き出すことが可能だ。
リスクを抑えて効果を引き出すためには入念な準備を
朝ランニングのリスクを回避するためには、いくつかの準備を行えばよい。たとえば、走る前にはしっかりと水分補給をし、軽くエネルギーを補給すると安心だろう。ただし、しっかりと朝食をとってしまうと消化器官に負担をかけるため、バナナやシリアルなど軽食が望ましい。ランニング用のプロテインバーも検討してみよう。
また、走る前にはしっかりとした準備運動も必要だ。硬くなっている筋肉や関節をほぐすためにはストレッチが効果的。さらに、少し歩いて体温をあげ、血液のめぐりをよくしておけば酸欠状態を防ぐことにもつながる。ランニングのパフォーマンスを高める効果も期待できるため、ぜひ実践してほしい。
夜ランニングに効果はある?3つのメリット
朝ランニングのメリットがわかっていても、夜のほうが時間をとりやすいという人もいるだろう。就寝直前の運動は交感神経を優位にしてしまい、寝つきを悪くする可能性があるため注意が必要だ。とはいえ夜ランニングには朝ランニングと異なるよい効果があるので、うまく取り入れて時間を有効活用したい。
時間にゆとりがある夜なら、ランニングを継続しやすい
夜ランニングは1日の仕事を終えたあとに行うため、時間の自由が利くのが魅力だ。終了時刻を気にしすぎることなく自分のペースで走れるので、ランニング初心者も取り組みやすいだろう。また、走り終えたあとに食事をとってゆっくりとお風呂に浸かり、リラックスして眠れるのもうれしい。朝ランニングでは朝早く起きることがなにより大変だが、夜ランニングなら早起きが苦手な人でも継続しやすいだろう。
カラダへの負担が少なく筋肉を鍛える効果も
1日の終わりにはカラダがほぐれていることが多いため、夜ランニングは最低限の準備で始められるのもポイントだ。もちろんウォーミングアップは必要だが、寝起きのカラダよりも軽く済ませられるだろう。また夜ランニングでは走り終えたあと、数時間のうちに就寝することが多くなる。就寝中は成長ホルモンの分泌によって副交感神経が活発になり、筋肉がつくられやすくなるため、効率的にカラダを鍛えられるというメリットもある。
日中のストレスをその日のうちにランニングで発散できる
人間はストレスを感じると、身を守ろうとしてコルチゾールというストレスホルモンを分泌する。ストレスを長期的に受けていると、コルチゾールが過剰に分泌され心身に悪影響を及ぼすこともある。しかし、ランニングのような有酸素運動をすると、過剰なコルチゾールが分解されて適切な量が分泌されるようになるという。
夜ランニングを行えば、日中受けたストレスをすぐに解消できるだろう。ストレスホルモンの適切な分泌は睡眠の質の改善にもつながりやすいので、目覚めがすっきりしたり、疲れが残りにくくなったりするなどの効果にも期待できる。
朝ランニングを楽しく続けるコツ
早起きのために早く寝ることが大切
すでにお伝えしたように、起きてすぐに走ることはカラダに悪影響を及ぼす場合もある。そのため、走る前には念入りな準備をしたい。エネルギー補給や準備運動をしたうえで、走る時間やシャワーを浴びる時間を確保するためには、逆算して起きる時間や寝る時間を決めておくことが大切だ。
早起きしなければならないのに夜更かししていては睡眠時間が少なくなってしまい、かえって体調を崩してしまうかもしれない。健康的な朝ランニングをするためには、規則的な早寝早起きを心がけよう。
日中に疲れを残さない時間設定が理想
朝ランニングをする際に、「走る距離」を設定するか「走る時間」を設定するかで迷う人もいるだろう。朝ランニングは1日の始まりに行うため、そこで疲れ切って生活に支障が出るのでは本末転倒だ。そのため、初めのうちは距離ではなく時間を基準にして走ることをおすすめしたい。
代謝の向上やダイエットを目的として効果を出したい場合は、1回30〜60分程度のランニングが目安になる。しかし、確保できる時間は人それぞれなので、30分以下のランニングでも習慣化することのほうが大切だ。まずは継続できる時間から始めるのがよいだろう。
走る時間を固定して習慣化
朝ランニングでは、季節や体調によって早起きが難しくなる日もあるだろう。その場合、早起きにこだわるのではなく、走る時間を固定することが大切だ。朝起きる時間に多少の誤差があったとしても、まずは走ると決めた時間がきたら走り出すようにしてみよう。行動が習慣化されれば継続することが容易になる。毎日安定的に取り組むことで、朝ランニングの効果自体も高められるはずだ。
ランニングは朝・夜どちらも効果あり。ライフスタイルに合わせて取り入れよう
カラダを動かす習慣をつくり、体調を整えるきっかけになるのが朝ランニングの効果の1つだ。朝ランニングを通じて健康的なカラダを手に入れれば、日中の生産性向上も見込めるだろう。また、夜のほうが時間をとりやすいのであれば、夜ランニングに挑戦してみてほしい。大切なのは、自身の生活に取り入れやすいタイミングで運動を習慣化し、継続して行うことなのだ。
運動習慣としてのランニングは、長時間走ることにこだわらなくてもよい。朝・夜お好みの時間帯にランニングを取り入れ、健康なカラダづくりのスタートを切ってみてはいかがだろうか。
CURATION BY
3人を子育て中のフリーライター。趣味はフルート演奏。好きと楽しいを何より大切にしている。