Vol.22

FOOD

10 APR 2019

流しのビリヤニ師に聞く “簡易版ビリヤニ=プラオ”の作り方

今やすっかりカレーブーム。ルーを使ったお家カレーに限らず、複数のスパイスを組み合わせた本場仕込みのカレーや、独自の解釈が加えられた創作カレーを気軽に味わえる時代となった。大手アパレルショップがカレー屋をオープンしたり、音楽とカレーをメインに据えたイベントが各地で開催されたり...etc. その盛り上がりを示す例を挙げ連ねればキリがない。料理ジャンルという枠組みを超え、ポップなストリートカルチャーとしての側面すら持ち始めている。気が付けば、多種多様なスパイスから生まれる奥深い風味の虜に…という方もいるだろう。ここだけの話、筆者は完全にそのクチである。そんな我々を魅了するスパイス料理はカレーだけにとどまらず、「ビリヤニ」というマニアックな料理もブームの兆しを見せている。そこで今回は、注目のビリヤニの作り方を、“流しのビリヤニ師”に聞いた。

ビリヤニってなに??という方へ

バスマティライス(インドやパキスタンで栽培されている米。香り米としても知られる)特有のパラパラとした食感に加え、玉ねぎや肉などの食材と各種スパイスが織りなす旨み&風味がたまらないビリヤニ。パキスタンやインドなどの国々で食べられている、“スパイス炊き込みご飯”ともいえる存在だ。
カレーとの大きな違いとして挙げられるのが、一般家庭での調理が難しいかもしれないということ。「数時間水に浸したバスマティライスを茹でたら、米の層を作って蒸して…」などといった工程が必要と知れば、ハードルの高さがお分かりいただけるはず。より本格的に作るなら、専用のビリヤニ鍋も必要になる。よほどのスパイス&料理好きでなければ、この条件をクリアするのは難しい。となると、専門店に足を運んで食べるのが自然だろう。
…でも、ビリヤニを自作できるようになったら、いつでも手軽に味わえるし「なんだかカッコいいのでは?」なんていう下心も捨てきれない。

イベント会場や店舗を行き来する流しのビリヤニ師

そこで今回お声がけしたのが、普段は会社員として建築企画を手掛けながら“流しのビリヤニ”と名乗り活動中の奈良 岳(なら たかし)さん。

音楽イベントを中心に、ビリヤニ師としての活躍の場を広げる奈良さん。
数々の音楽イベントや店舗で手製のビリヤニを振る舞い、人気ファッション&カルチャー誌でもその活躍が紹介された。“ビリヤニ界の新星”ともいうべき存在である。

奈良さんが作る、専用鍋を使った本格ビリヤニ。
奈良さんがビリヤニの存在を知ったのは、幼少期に叔母がパキスタン人と結婚したことがきっかけだったという。親戚となったパキスタン人手製の本格的なビリヤニを食べた奈良さんは、たちまちビリヤニの虜に。その味が忘れられず、自分で再現するために叔母から料理を学ぶことでビリヤニ作りの腕を磨き、巷の料理教室にも参加するうちに、周囲からも達人と言われる域にまで到達した。
奈良さんいわく、オーセンティックなビリヤニは、やはり一般家庭では難易度が高いようだ。そこで今回はフライパンでも作れる“ビリヤニの亜種=プラオ”の作り方をレクチャーしていただいた。

プラオの作り方を徹底解説!

奈良さんいわく、バスマティライスを生のままを炊き上げ、素材の旨みを凝縮させることがおいしいプラオ作りのカギ。調理行程は、リゾットやパエリアにも似ているそうだ。
【材料】(4人分)
バスマティライス…2合
皮を取り除いた鶏肉…350g
玉ねぎ…1個
カットトマト缶…半量(200g程度)
サラダ油…大さじ4
チリパウダー…小さじ1/2
塩…適量

※バスマティライスはAmazonなどで購入できる。

ホールスパイスを挽いて作ると香りが一層引き立つが、市販のパウダースパイスを使用してもOK。
<ガラムマサラ>
クミンパウダー…大さじ1
カルダモンパウダー…小さじ1
コリアンダーパウダー…大さじ2
クローブパウダー…小さじ1弱
※あらかじめ混ぜ合わせておく。

【作り方 1】ボウルなどにバスマティライスを移し、1時間ほど水に浸す。

「米に水分を吸わせることが目的なので、たっぷりと水を入れてください」(奈良)

【作り方 2】5mmほどの厚さに切った玉ねぎとサラダ油をフライパンに入れ、強火にかける。

「火が通りやすいよう、玉ねぎは繊維の方向に沿って5mmほどの間隔で切りましょう。火加減は、チャーハンを作るときのように強火でOKです。炒めるときのポイントは、極力玉ねぎをいじらないこと。焦げ目がついてきたらひっくり返す行程を繰り返して、全体を焦がしましょう」

【作り方 3】一度火を止め、カットトマト/チリパウダー/塩を入れる。その後、強火にかけて水分がなくなるまで炒める。

「このとき、チリパウダーの“辛み”を“旨み”に変えることが、おいしいプラオ作りの肝となります。まだ模索中なんですが、バランスよく強い熱を加えるのがコツなのかも。叔母は旨みを出すのが上手なんですけどね(笑)。材料がペースト状になったら、次の行程に移ってください」

【作り方 4】半カップ(100ml)程度の水を入れ、鶏肉を中火で蒸し煮する。

「肉を入れる場合は、水が入らないと中まで味が浸み込みません。煮物と同じ要領ですね。蓋をして、鶏肉にしっかりと火が通るまで待ちましょう」

【作り方 5】4カップ(800ml)程度の水を入れて沸騰させ、ガラムマサラとひとつまみの塩を入れる。

チリとガラムマサラの香りが部屋いっぱいに広がり、早くも食欲をそそられる。
「チリペッパーが多いときは、塩も気持ち多めに入れるのがオススメです。トウガラシの辛みと旨みが、より一層引き立ちますよ」

【作り方 6】 バスマティライスをフライパンに入れ、5分程度強火にかける。

「プラオやビリヤニに使うバスマティライスは、細長くてデリケートなお米です。フライ返しなどで優しく返しつつ、お米を削らないように注意する必要があります」

【作り方 7】米粒が膨らんでかさが増していたら、試食して芯が残っていないか確かめる。

フライパンに入れると、水分を吸い込んで見る見るうちにバスマティライスが膨らんでいく。
「芯が残るようなら、少量の水を加えてもう少し火にかけましょう。水がなくなったらもう一度試食。芯がなくなるまで、これを繰り返してください」

【作り方 8】キッチンペーパーを水で濡らし、ご飯に密着させて落とし蓋に。その上に蓋をした状態で、10分程度蒸らす。

「10分経ってから蓋を取ると、スパイスの香りがふわりと広がります。これで完成ですが、注意点が1つだけ。炊き上げたバスマティライスは形が崩れやすいので、しゃもじであまり切らないようにしましょう」

ついにプラオが完成!

文字通り立ち上がるバスマティライスの米粒。おいしいプラオが完成した証だ。
調理にかかった時間は、およそ1時間。食材のほとんどはスーパーマーケットで調達できるし、家庭でも気軽に再現できそうだ。
完成したプラオの味は、言わずもがな絶品。パラパラ&フワフワに炊き上がったバスマティライスは、軽~い食感で際限なく食べられそう。チリペッパーの辛みとともに、鶏肉や玉ねぎ由来のうま味が口いっぱいに広がる。エキゾチックなスパイスの風味も、素晴らしいアクセントに。申し訳なく思う気持ちがありつつも、ついつい「おかわりしていいですか?」と聞いている自分がいた。
普段は4時間ほどでビリヤニを調理しているという奈良さん。専用鍋を担ぎ、自転車で会場まで移動する“流しのビリヤニ”というのがユニークだ。筆者も出店イベントに何度か足を運んだが、毎回のようにビリヤニを待つ長蛇の列ができる人気ぶり。
三軒茶屋のカフェバー「space orbit」で4月29日(月・祝)に開催される「Biryani Party vol.2」と、都内某所で4月30日(火・祝)に開催される「平成エモーショナル」で平成最後の流しをすることが決定している。ネクストブレイク必至のスパイス料理が気になる方は、ぜひ会場でご賞味あれ。詳細は下記リンク先よりInstagramをチェック。

流しのビリヤニ

平日は建築企画系の会社員として働く、奈良 岳によるビリヤニ炊き出し活動。これまでに、「SHAKE HANDS」「SUNDAY DISCO SESSION」などの音楽イベントや新宿ゴールデン街の「The OPEN BOOK」といった催事や店舗を中心に出店。世間のスパイスマニアを虜にするその腕前は、まさに職人の域。ビリヤニを提供する場所は、Instagramで随時告知している。