「まごわやさしい」という言葉を聞いたことはないだろうか。和食で使われる食材の頭文字の語呂合わせで、この7種類の食材を意識的に摂り入れることで健康的な食生活が送れると注目されている。本記事では「まごわやさしい」の各食材はもちろん、日々の献立に活用するポイントや簡単レシピを管理栄養士が分かりやすく紹介する。いつもの食事に取り入れて、ぜひ健康に近づいてほしい。
「まごわやさしい」とは。なぜ食事に取り入れるとよい?
「まごわやさしい」があらわす食材は、以下の通り。
ま:豆
ご:ごま(種実類)
わ:わかめ(海藻類)
や:野菜
さ:魚
し:しいたけ(きのこ類)
い:いも類
この7種類の食材をまんべんなく献立に取り入れると、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素をバランスよく摂取できる。
これらの栄養素は単体では働かず互いに作用しあっているため、さまざまな食材から複数の栄養素を摂ることが重要。「まごわやさしい」の7種の食材で、必要な栄養素がクリアできるというわけだ。
また、野菜などの食物繊維や豆の発酵食品は腸内環境を整えるため、いわゆる腸活にも効果がある。腸は、第二の脳と呼ばれるほど心身の健康に密接している器官だ。腸内環境を整えることで、免疫力アップや美肌効果、さらには日々を明るく過ごすための心の健康にもつながる。
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「まごわやさしい」があらわす食材
「まごわやさしい」の全体像が見えてきたところで、各食材の特徴についても解説していこう。
ま:豆
豆は豆腐や納豆といった大豆製品、小豆、黒豆などを指す。植物性たんぱく質の代表で、さらに代謝に関わるビタミンB群も一緒に摂ることができる。また動物性たんぱく質とは異なり、脂質が抑えられることも特徴。
ご:ごま(種実類)
「ご」はごまの頭文字を取っているが、アーモンドやくるみなども含んだ種実類全般を意味している。種実類は不飽和脂肪酸が多く、中性脂肪やコレステロールの改善に効果があるとされている。さらに、種実の種類ごとにも特徴があり、たとえばアーモンドは抗酸化力が強いビタミンEが豊富。ただし脂質が多いため目安は1日20gまで。食べすぎには注意したい。
わ:わかめ(海藻類)
「わ」はわかめのほか、ひじきやもずく、昆布など海藻類全般を指している。海藻類はマグネシウムをはじめとしたミネラル、食物繊維が豊富なことが特徴。食物繊維は水溶性と不溶性の2種類がバランスよく含まれているため、腸内環境の改善にもってこいの食材だ。
や:野菜
野菜は、にんじんやほうれん草などの中心まで色が濃い緑黄色野菜と、はくさいやきゅうりなどの中心が白い淡色野菜に分かれる。緑黄色野菜はカロテンやビタミンCが多く、抗酸化作用という体内の活性酸素を減らす働きが強いことが特徴。淡色野菜は食物繊維を豊富に含んでいるため、腸の活動を促してくれる。
厚生労働省が定める野菜の摂取量目安は、1日あたり350g 。緑黄色野菜と淡色野菜の比率は1:2が目安だ。
さ:魚
魚は大事なたんぱく源の1つ。同じたんぱく源である肉類との違いは、カラダで作ることができない必須脂肪酸DHA・EPAを含むこと。DHA・EPAはコレステロール値を下げて血液をサラサラにする効果がある。特にサバやイワシ、サンマなど青魚に多い。
し:しいたけ(きのこ類)
「し」はしいたけに限らず、きのこ類全般を指す。きのこ類は食物繊維が特に豊富な食材で、主に水溶性食物繊維を含む。水に溶ける食物繊維は腸内の善玉菌を増やしたり、排便をスムーズにしたりする働きがある。また、うま味成分がたっぷり入っているため料理の香りがよくなることも特徴。
い:いも
いも類はじゃがいもやさつまいも、長芋などの種類がある。いも類に含まれる栄養素で、意外と知られていないのがビタミンCだ。たとえば、さつまいもにはみかんと変わらない量のビタミンCが含まれる。ビタミンCは本来であれば熱に弱いが、いも類のビタミンCはでんぷん質に守られているため加熱しても壊れにくいという特徴がある。
ただし、いも類は野菜ではなく炭水化物に分類されるほど糖質が多いため、献立にいも類を取り入れる際にはご飯の量を減らすなど、献立全体で糖質の量を調整できるとよい。
「まごわやさしい」を上手に献立に取り入れるには
朝・昼・夜で分ける
一度に7種の食材を全部摂ろうとすると難しいため、1日を通して3食に分けてクリアできないか考えてみよう。1食に付き2~3種類の食材を取り入れると、1日で「まごわやさしい」を全て摂ることができる。
2~3種類ごとに組み合わせる
献立に迷ったときは「まごわやさしい」から2~3種類の食材をピックアップして組み合わせると、バランスのよい献立になる。
たとえば“わかめと豆腐としいたけの味噌汁”にすれば「わかめ」「豆」「しいたけ」の3種類、“鮭ときのこのホイル焼き”にすれば「魚」「しいたけ」の2種類をクリアすることができる。1つのおかずに複数の食材を使うこと、相乗効果でより強いうま味を感じられることもポイント。特に植物性と動物性の組み合わせがおすすめ。
トッピングとして取り入れる
サラダに蒸し大豆や砕いたナッツを乗せるなど、「豆」や「ごま」はトッピングとしてプラスしてもOK。また、「魚」に含まれる乾燥小エビやしらすもトッピングとして取り入れると、日本人が不足しがちなカルシウムも補給できる。
「まごわやさしい」を簡単に取り入れられるおすすめレシピ
「まごわやさしい」を揃えたくても、品数を用意するのが難しい人も多いはず。そんな人におすすめしたいのが味噌汁だ。味噌汁は切った具材と味噌をお鍋に入れるだけなので簡単。さらに「まごわやさしい」を詰め込めば、具沢山でボリューム満点の一品に。
今回はだしパック、サバの水煮缶を活用して手間を減らしながらもうま味たっぷりの味噌汁のレシピをご紹介。今回は簡単にうま味を引き出せるだしパックを使ったが、顆粒だしでも構わない。
2人前の具材は 、サバの水煮缶(1缶)、にんじん(1/3本)、ねぎ(1/3本)、しいたけ(2個)、じゃがいも (1個)、乾燥わかめ(ティースプーン1杯分)、豆腐(1/4丁)、だしパック(1個)、味噌(大さじ1)、水(300ml)、すりごま(適量)。
サバの水煮缶は水気を半分切り、食材はひとくち大に切る。鍋に水を入れ、だしパックとじゃがいも、にんじん、しいたけ、サバの水煮缶入れて中火で温める。
煮立ったら弱火にしてアクを取り、根菜類に箸が通るまで加熱。
具材に火が通ったら火を消してだしパックを取り出し、味噌を溶かす。最後にすりごまをトッピングしてできあがり。
「まごわやさしい」を取り入れてバランスよい食生活にしよう
「まごわやさしい」の各食材や特徴、献立に取り入れるポイントやレシピを紹介した。和食の基本食材である「まごわやさしい」を意識すれば、栄養バランスを整えることができ健康的な毎日につながる。カラダは日々口にしたものでできており、健康は日々の積み重ねだ。7種の食材を献立に取り入れて、ヘルシーで楽しい日々を送っていこう。
CURATION BY
北国の管理栄養士。これまで1000人以上のダイエットをサポートしながら、栄養の大切さを伝えている。