スパークリングワインとは
造られた白ワインに酵母とショ糖を加え、瓶内の2回目の発酵でアルコールと炭酸ガスを生成させる製法は、伝統的製法と呼ばれている。この瓶内の2度目の発酵で白ワインの味に深みと独自のガスが加わってスパークリングワインとなる。
混同されやすいシャンパンはスパークリングワインの一種。フランス北東部に位置するシャンパーニュ地方で生産された葡萄を使い、法律で定められた製法で造られた発泡性ワインのみがシャンパンと呼ばれている。イタリアのプロセッコ、スペインのカヴァも同様で、発泡性ワインの総称が「スパークリングワイン」なのだ。
なぜ今、英国産が注目されているのか
実は英国のワイン造りの歴史は長く、11世紀頃より主に修道院で製造されてきたが、ヘンリー八世の宗教改革で修道院は解散、土地は没収され、英国の厳しい気候もありワイン造りは一度途絶えることとなる。
商業用の葡萄栽培は1952年、イギリス南岸にあるハンプシャー州のハンブルドン葡萄園から始まった。初期の数十年はセイヴァル・ブラン、ミュラー・トゥルガウやバッカスといった葡萄が作られていた。
葡萄栽培で要となるのは畑の土壌、そして天候であるのは周知の事実だが、1980年代になるとイングランド南部とシャンパーニュの白亜質の土壌の類似点が認められ、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエなどの品種が栽培され始める。
更に地球温暖化のため、英国でも糖分を存分に含んだ葡萄の生産が可能となった。1990年代後期からは権威ある賞を数多く受賞し始め、世界的に英国産スパークリングワインのレべルの高さが知られるようになったのだ。
世界中で注目を集めている英国産スパークリングワインは今、大きな流れの真っ只中であるに違いない。旬の今こそ、このムーヴメントを実感してみてはどうだろうか。
一人で嗜むのならハーフサイズで
おすすめ英国産スパークリングワイン3選
チャペルダウン
チャペルダウンは2016年、イギリス首相官邸であるダウニング街10番地の公式提供社、オフィシャルサプライヤーに精選され、以来政府が開催するイベントで振舞われている。また、オックスフォード、ケンブリッジ両大学のボートクラブがロンドンテムズ川で行う「ザ・ボートレース」の公式スパークリングワインとしても知られている。
他にもイギリス王室が所有するアスコット競馬場やロイヤル・オペラハウス等で提供されており、数多くの場所で英国のアイコンとして親しまれているブランドだ。
飲み口はすっきりと爽やか、清涼感のある味わい。初夏の風が似合う風味で合うメニューも豊富、アペリティフとしてもおすすめだ。
チャペルダウン
https://www.chapeldown.com/
ナイティンバー
1997年にインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)でゴールドメダルを受賞し、英国産スパークリングワインの中でも高く注目を集めているブランドだ。
ナイティンバー
https://nyetimber.com/jp/
ハッティングレイ・ヴァレー
2014年と2016年に英国ワインメーカーオブザイヤー賞を2回受賞した経歴を持つエマ・ライスをワインメーカーに迎え、地質学的にはフランス北部に似て、シャンパーニュ地方を反映する天候のハンプシャー州で葡萄を栽培している。
発酵の際にブルゴーニュのオーク樽を絶妙に使用している事が特徴で、ひと口飲めば果実のフレッシュな芳香と淡く繊細なオークの香りを実感できるはず。大切な人と過ごすひと時に愉しめる逸品だ。
ハッティングレイ・ヴァレー
https://hattingleyvalley.com/
泡沫のひと時を、スパークリングワインとともに
スパークリングワインを嗜むことは、瞬く星のようなきらめきを味わうこと。自宅で一人、あるいは大切な人とじっくり堪能してみよう。英国産スパークリングワインは、その瞬間を美しく彩ってくれるに違いない。