赤提灯が立ち並び、昼飲みの玄人たちで賑わう北千住に「運命の一杯に出会える」と謳うクラフトビール専門店がある。1,000種類という圧倒的な取扱い数を誇り、ビアギークたちのソーシャルハブとしても機能する「びあマ北千住店」だ。フレッシュなタップを楽しむのもよし。洒落たデザイン缶のクラフトビールをテイクアウトして家で楽しむのもよし。クラフトビール初心者からビアギークまで、幅広い層のファンに支持されている。
かつての宿場町の活気を残す「北千住」
北千住といえば、駅周辺に多くの商店街や飲食店があるのが特徴だ。東京を代表する老舗酒場も多く、せんべろの聖地としても知られている。昭和感、下町感と言ってしまうとやや安直だろうか。おじいちゃんおばあちゃんも、謎ジャンルのギラギラファッションに身を包んだマダムたちも、当たり前のように堂々と昼ビールを嗜まれている。そんな、フリーダムでチルい街である。
1,000種類のビールが揃う「びあマ北千住」
赤提灯が並ぶディープな雰囲気のエリアに、ひときわポップでフレッシュなエントランス。こちらが今回紹介するクラフトビール専門店「びあマ北千住」だ。客層は若い人から50代くらいまでと幅広い年代に支持されている。せんべろのおじいちゃん達は、スタンディングがキツいためか、あまりいらっしゃらないとのこと(笑)。
店内奥には冷ケースが置かれ、1,000種類を超えるクラフトビールが揃う。手前の角打ちBARスペースでは、常時10種類のタップも楽しめる。モルタルの壁には世界中のブリュワー達のサインが書かれ、カウンター下には各国ビールのラベル。まるでライブハウスのような、楽しい雰囲気だ。
アレックス清水流。ビールの選び方
ビールだけで1,000種類。はじめは品数の多さにワクワクするが、いざ選ぼうとすると、迷って決められない人もいるはず。店長のアレックス清水氏は、どのようにゲストの好みを探っていくのか聞かせてもらった。
「その方の雰囲気も見ますが、前提としてクラフトビールは苦味が強いものが多いので、苦いのがお好きかどうかで分かれます。苦味に抵抗がなければIPAと言われるインディアンペールエールがおすすめ。その次は、それほど苦味が強くなく、フルーティーでコクがあるHazy IPAもいいと思います。フルーティーな味わいが好きだったり、ビールがやや苦手な方にはフルーツビールやシードルを。あとは気になったものをジャケ買いするのもクラフトビールの楽しさのひとつです」(清水氏)
「その方の雰囲気も見ますが、前提としてクラフトビールは苦味が強いものが多いので、苦いのがお好きかどうかで分かれます。苦味に抵抗がなければIPAと言われるインディアンペールエールがおすすめ。その次は、それほど苦味が強くなく、フルーティーでコクがあるHazy IPAもいいと思います。フルーティーな味わいが好きだったり、ビールがやや苦手な方にはフルーツビールやシードルを。あとは気になったものをジャケ買いするのもクラフトビールの楽しさのひとつです」(清水氏)
この日いただいたタップは、右からダークフルーツフレーバーを感じる穏やかなポーター「DE MOLEN Hamer & Sikkel Porter(オランダ)」、大阪府の北部、箕面市で作られる南ドイツスタイル、バナナやクローブを思わせるフルーティーな香りの「箕面ビール ヴァイツェン」、仙台・宮城観光PRキャラクターのむすび丸とのコラボ、ジューシー でトロピカルな味わいのDoubleIPA「 BLACK TIDE Hyper Musubi Maru」。
味わいはもちろん、色や香りもさまざまで、飲み比べすることでクラフトビールの奥深さを堪能した。
味わいはもちろん、色や香りもさまざまで、飲み比べすることでクラフトビールの奥深さを堪能した。
その時々で変わるタップは、1〜5番がIPAとHazy。6〜9番がその他。10番は箕面ヴァイツェンを常設している。なお、IPAはインディアンペールエールの略称で、苦味が強いタイプのビール。18世紀末にインドに滞在するイギリス人に送るために造られたが、防腐剤の役割を持つホップを大量に投入したため、香りと苦みが非常に強いのだそう。
こういったビールに関する豆知識を教えてもらえるのも、専門店の角打ちならではの楽しさである。
こういったビールに関する豆知識を教えてもらえるのも、専門店の角打ちならではの楽しさである。
ジャケ買いしたくなる。缶&瓶のクラフトビール
1,000種類のクラフトビール。ぐるっと見て回ると、ユニークなラベルデザインのものが多く、非常に興味深い。上の写真は世田谷発パンクロック・クラフトビールメーカーのRiot Beerとコラボした周年ビール。パンク好きなら左のイラストの元ネタがわかるかも……?
その他にも、ジャケ買いでおすすめな商品を清水氏にピックアップしてもらった。
その他にも、ジャケ買いでおすすめな商品を清水氏にピックアップしてもらった。
これを飲まずに語れない!定番IPA
左から
Stone Stone IPA
IPAがまだ流行する前にホップを全面に出した苦味を持つIPAブームの先駆けとなった歴史的なビール。レモンの皮、柑橘、松を感じさせるホップの香りと、モルトの味わいとのバランスが良い。
Pizza Port Swami's IPA
王道のアメリカンIPA。1992年にピッツァポートが醸造設備を導入して以来人気を博している看板ビール。スウォミーとは賢者や学者という意味。
BREAKSIDE Wanderlust IPA
こちらもアメリカンIPAの王道。強烈なグレープフルーツとダンクの香りと爽やかな後味が特徴で、2014年グレートアメリカンビアフェスティバルでブロンズメダルを受賞。
無濾過のニゴリがお好みならHazy
左から
Sierra Nevada Hazy Little Thing
HazyIPAを代表する定番人気商品。果汁感たっぷりのトロピカルフルーツ、ピーチ、柑橘のような味わい。
Knee Deep Whitney Juiceton
ホイットニージューストン!? NZ産Wai-iti、Nelson Sauvin、Rakauといった南半球系ホップを大量に効かせたトロピカルなHazy double IPA。
それ混ぜるか!? 謎ジャンルビール
左から
Belching Beaver Peanut Butter Milk Stout
ピーナッツバターを使った傑作ミルクスタウト。アメリカ人の大好物であるピーナッツバターと、Milk Stoutをかけ合わせた商品。ピーナッツバターの風味、チョコレートの甘さ、ローストコーヒーの香ばしさが追いかける。
Imprint Beer Co. Schmoojee Peach Mango
スムージーのようなサワーエール。超大量の桃とマンゴーが入っており、デザートのように楽しめる一本。
香りでリラックス。フルーツビール
南砺市 城端(じょうはな)にあるクラフトビール醸造所「城端麦酒(JOHANA BEER)」は、バラエティー豊かなフレーバーラインナップが特徴。左から ブラッドオレンジ、ラフランス、アールグレイ。
気仙沼から世界へ
気仙沼の復旧・復興の一助になればという想いから立ち上がった「BLACK TIDE BREWING」。日本で多く飲まれているラガービールとは異なり、ホップを多用したアメリカンスタイルのクラフトビールが主力。これまで開発したビールは約200種類以上。
海と人とクラフトビール Black Tide Brewing(ブラックタイドブリューイング)で誇りある気仙沼への想いと出会う|ZOOM LIFE
クラフトビール好きの方におすすめのビールを尋ねると、よく名前に挙がるのがBlack Tide Brewing(ブラックタイドブリューイング、以下BTB)だ。「Brewed with pride in Kesennuma(気仙沼の誇りが込められた醸造)」をミッションに掲げ、地域と共にあり続けるBTBの魅力を肌で感じたくなり、気仙沼へ向かった。
ワインかと思いきや!
マグナムサイズのビール。ワインよりもレア感があり、ホームパーティへの手土産などにしたら、びっくりされることうけあい。
左から
Firestone Walker Frieky Bones 3,000ml
World Beer Cupで4度、Great American Beer Festivalでも4度チャンピオンを獲得した全米最高峰ブリュワリー。サワーチェリー、オーク、バニラ、パイ生地を思わせる複雑な味わい。
OUDE GEUZE BRETT-ELLE 1,500m
青リンゴのようなジューシーな甘酸っぱさが特徴で、ミネラル感もやや強め。後口はドライで、穏やかな渋みがある。
レコード屋感覚でクラフトビール角打ち
「とりあえず、生」
ビールといえば、ひとまず喉を潤そうというときのスターター的な位置付けだが、クラフトビールは「とりあえず」とはまったく別ものである。
「びあマ」で飲むのはレコード屋であそぶのに似ている。好きな国やジャンルを追いかける人もいれば、新しい刺激を求めて新作チェックに余念がない人、ジャケットで選ぶ人も。角打ちで視聴して、それぞれのストーリーにじっくり耳を傾ける。タップのライブ感を楽しみながら、気の合う仲間とああでもこうでもと語り合う。店長はジーパンにドクターマーチンのパンク好き。
とはいえ、ワインやウイスキーよりもカジュアルに、知識なしで楽しめるのも魅力のひとつ。なぜなら、クラフトビールはどんなマニアでも飲み尽くすことができないほどのスピードで新商品が生まれているからだ。
まずは1,000本の中から運命のビールを探してみよう。
赤提灯のちょっとした背徳感もいいし、びあマで爽やかにチルするのもいい。酒好き、人好きには北千住はきっと楽しい場所だ。
ビールといえば、ひとまず喉を潤そうというときのスターター的な位置付けだが、クラフトビールは「とりあえず」とはまったく別ものである。
「びあマ」で飲むのはレコード屋であそぶのに似ている。好きな国やジャンルを追いかける人もいれば、新しい刺激を求めて新作チェックに余念がない人、ジャケットで選ぶ人も。角打ちで視聴して、それぞれのストーリーにじっくり耳を傾ける。タップのライブ感を楽しみながら、気の合う仲間とああでもこうでもと語り合う。店長はジーパンにドクターマーチンのパンク好き。
とはいえ、ワインやウイスキーよりもカジュアルに、知識なしで楽しめるのも魅力のひとつ。なぜなら、クラフトビールはどんなマニアでも飲み尽くすことができないほどのスピードで新商品が生まれているからだ。
まずは1,000本の中から運命のビールを探してみよう。
赤提灯のちょっとした背徳感もいいし、びあマで爽やかにチルするのもいい。酒好き、人好きには北千住はきっと楽しい場所だ。
ビアま北千住
時代を超えて愛される住まい。マンションブランド「ZOOM」の秘密に迫る|ZOOM LIFE
自宅という場所にこれまで以上の価値を見出す人が増えてきた。その流れを受け、独自のこだわりを表現し、洗練されたデザインとコンセプトが支持される賃貸マンションブランド「ZOOM」に注目してみる。
CURATION BY
料理とアートが好きなコラムニスト&写真家。
毎日、都内をぐるぐる歩き回っていますが、本当はインドア派。
映画を観ながら、作品に合わせた外国の料理を楽しむことにハマっています。