この数年、場所を問わず働ける企業や人が増え、コロナ禍をきっかけに生活の場を仕事場として活用する人も増えた。仕事と生活の境目が曖昧になり、溶け合いつつある中で、使う道具も機能性と美しさを兼ね備えたアイテムの導入を、検討している方も多いのではないだろうか。そんな生活と仕事の双方に刺激や発見をもたらすような、文具や事務用品、家具、雑貨、ファッションなどを提案する店がある。神宮前にある「THINK OF THINGS(シンク オブ シングス)」だ。併設するカフェでコーヒーを飲みながら、暮らしにも仕事にもフィットするユニークなアイテムを探してみよう。
原宿から少し奥に入れば、落ち着いた街並みに個性的なお店。神宮前エリア
若者たちで賑わう竹下通りもあれば、高級ブランド店が立ち並び、閑寂な明治神宮へと向かう表参道もあり、多様なカルチャーが共存する神宮前エリア。戦後しばらくは、神宮前交差点付近に在留アメリカ軍の居住地が作られ、「リトルアメリカ」と呼ばれた。その後、70年代半ばには竹下通りが生まれ、カルチャーの発信地となっていった街だ。
神宮前エリアは、メインの通りから一歩奥に入れば、落ち着きのある街並みに変わる。周辺には住宅やクリエイティブ系のオフィスやスタジオも多く、個性的でセンスの良いカフェやレストラン、ショップも並ぶ。常に最先端のトレンドに触れられるとともに、自然豊かなスポットも多く、ゆったりと散策しながらショッピングするのにぴったりな街だ。
暮らしにも仕事にも寄り添えるアイテムを探しに、「THINK OF THINGS」へ
今回向かったのは、ライフスタイルショップ&カフェ・THINK OF THINGSだ。JR原宿駅の竹下口を出て、千駄ヶ谷方面に向かい徒歩数分。駅からほど近い場所に店はあった。
2017年にオープンしたTHINK OF THINGSは、創業から116年の歴史を誇る老舗企業・コクヨが運営する、店舗兼スタジオだ。これまで文具とオフィス家具を中心に、人々の「働く」と「学ぶ」をサポートしてきたコクヨ。現代の働き方の多様化を踏まえ、「暮らす」という観点を加えることで、「ワークとライフの境界を超える」アイテムを新たに提案。私たち消費者とコクヨが、直接的な接点を持てる場となっている。
店の空間やアイテムをデザインするのは、コクヨのデザインチームYOHAK DESIGN STUDIO(ヨハクデザインスタジオ)のメンバーだ。既存の概念の周囲にある“余白”を意識し、今あるものの良さを活かしながら少し視点をずらすことで、新しい領域や生活の変化を生み出す。THINK OF THINGSのオリジナルアイテムは全て彼らが企画し、長年事務用品や文具、オフィス家具を作っていた会社の強みを活かしながら、デザインで未来のスタンダードをプロトタイピングする、挑戦の場となっている。
文具やオフィス家具のイメージを覆す。THINK OF THINGSのオリジナルデザイン
THINK OF THINGSで取り扱われているアイテムは、YOHAK DESIGN STUDIOが企画するオリジナルアイテムと、今も愛され続ける昔ながらのコクヨのアイテム、そしてコクヨのアイテムと掛け合わせることで、よりライフ・ワークスタイルの幅が広がるセレクトアイテムの3タイプある。
早速、いくつかのオリジナルアイテムを見てみよう。
こちらのスタイリッシュなアイテム、「LIFE FILE」は、ファッションブランドONFAddとのコラボレーションにより誕生したものだ。「生活をファイリングする」をコンセプトに、新しいモビリティスタイルを提案している。
「ANY BOX」はスタンダードな紙製のファイルボックスを基に、バラ売りされている様々なパーツをカスタムすることで、色々な用途に使うことができるアイテムだ。金属や革のハンドルをつけると引き出しになり、金属のフレームにファイルボックスをセットすることで、トランクやトロリーにもなる。色や素材にバリエーションがあるので、自分好みのテイストに仕上げることもできる。
こちらの「PAPIER BOARD パピエボード」は、紙の専門商社・竹尾のファインペーパーにセロハン加工した、パルプ100%のホワイトボードだ。自宅には取り入れづらいホワイトボードも、紙なら手軽な価格で手に入れられ、場所も取らないのが嬉しい。紙なので、好きな形にカットして使うこともできてしまう。
ホワイトボードとしての機能も申し分ない。カラーバリエーションも豊富なので、インテリアのアクセントにもなるはずだ。このように、オリジナルアイテムは、働く場のみの使用でなく、生活や遊びにも自由に発展させていけるものばかり。取り入れることで、暮らしがより楽しく豊かになることを想像させてくれる。
懐かしくも新しい。見え方が変われば新鮮な魅力に
コクヨのロングセラーの文具や事務用品も見逃せない。用途に対して、“使いやすさ”が確かなものだからこそ、愛着を持って使い続けたくなるものだ。
コクヨのロングセラーのひとつである「測量野帳」は、屋外で働く測量士のために生まれたものだ。ポケットに入るほどスリムで、表紙が硬いので立ったまま記入することができる。THINK OF THINGSでは、様々なカラーの測量野帳が手に入るだけでなく、箔押しサービス(500円~)や表紙にバインダークリップをつけるサービス(500円)も行っているそうだ。
こちらの「EX-」シリーズは、長年親しまれているコクヨ商品の“事務用品的な”グラフィック要素を取り除いたもの。お会計票だったものも、左上にパンチ穴が空いている無地のメモ帳になれば、全く異なる用途で使用する余地が生まれる。ちょっとした引き算がアイテムの可能性を広げるという、ユニークなアイデアだ。
THINK OF THINGSでは、懐かしい図工用椅子も販売している。無塗装品なので、そのままの素朴さを楽しむこともできれば、自分好みにペイントして生まれ変わらせることもできる。これもまた、想像力を広げさせてくれるアイテムだ。
視点を変えれば、暮らしも変わる
店内をじっくり見て回った後は、手軽に食べられるワンハンドスタイルのフードと共にコーヒーブレイク。イートインコーナーにも、さりげなくTHINK OF THINGSの家具が使われている。
これまでオフィスで当たり前のように使っていたけれど、暮らしに取り入れようと思うことがなかった事務用品や家具も、ここにいれば暮らしに溶け込んだ姿が想像できるはず。THINK OF THINGSで生活と仕事が融合した新しい暮らしのあり方を考えながら、フィットするアイテムを見つけてみよう。
THINK OF THINGS
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-1
最寄:JR原宿駅竹下口から徒歩3分
営業時間:10:00-20:00
定休日:第2・第4水曜日
*緊急事態宣言により営業時間が変更になることがあります。
https://think-of-things.com/
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【交通】東京メトロ副都心線 北参道駅徒歩 7分、中央・総武線各停 千駄ヶ谷駅徒歩 9分、都営大江戸線 国立競技場駅徒歩 9分
【間取り】1K〜2LDK(27.01㎡〜68.71㎡)
CURATION BY
フリーライター・エディター。専門はコミュニケーションデザインとサウンドアート。ものづくりとその周辺で起こる出来事に興味あり。ピンときたらまずは体験。そのための旅が好き。