Vol.109

03 MAR 2020

〔ZOOM in 日本橋浜町〕プロダクトブランド「PAPIER TIGRE」

小学生のとき、あたらしいノートを買うと次の日学校に行くのが楽しみになった。お気に入りのペンといっしょに並べて眺めたりしたものだ。1ページ目を使うときの高揚感と緊張感は今でも覚えている。そんな気持ちをあらためて感じさせてくれるノートに出会った。ステーショナリーを中心にしたプロダクトブランド「PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)」。2012年にパリで生まれたこちらのブランドは、大人も一目で心奪われるグラフィカルなアイテムを次々に発売し、注目を集めている。今回は、そんなパピエ ティグルの魅力に触れてみたい。

昔ながらの街に馴染む、モダンなステーショナリーカフェ。

たまたま仕事の用事で、日本橋の水天宮前駅で降りる機会があった。

仕事終わりに何気なく、カフェを探してグーグルマップを見ていると、カフェを併設した「パピエ ティグル」という、何やら気になるお店があったので寄ってから帰ることにした。

浜町のレトロな街並みにも溶け込む、モダンな店構え。トラのロゴマークが、おだやかに出迎えてくれる
店構えはとてもモダンだが、街並みから浮くことなく、自然に目を惹かれるような佇まいでそこにある。

ここはパリのパピエ ティグルというブランドショップに併設されたカフェ。お店の方に伺うと、フランス人のブランド創設者が大の日本好きで、パリの本店以外にはここにしか店舗を持っていないそうだ。創設者がここ日本橋浜町を訪れ、街の魅力に触れて出店を決めたとのこと。内装も本店と雰囲気は異なるが、何度も足を運んで店舗の設計に携わったゆえのことだという。
パリ発のブランドであるにもかかわらず、不思議と街並みから浮かない風情を持っているのも、日本を愛するオーナーの想いが詰まっているからに違いない。

気がついたら使い切っていた。”夢中” をくれるノートブック。

色とりどりなグラフィックアートがディスプレイされているかのよう
カフェスペースで一息つくと、店内に目を引くアイテムが沢山あることに気がついた。中でも一面に並んでいるノートブックは鮮やかなグラフィックが特徴的だ。

手に取ってページをパラパラとめくってみると、途中でフォーマットが変わっていく。

波打った罫線、方眼、点つなぎでトラのロゴが浮かび上がるページなど、途中でフォーマットが変化していく
「使う人が飽きないように楽しんでもらう」ということを目的に、様々な工夫がされているパピエ ティグルのノートブックは、紙の色も1冊の中でブラウン・ホワイト・グレーに変化したりと、使う途中で視覚的に刺激が尽きない。


私のように、1冊のノートを使い切る前に、別の新しいノートに目移りし、結局使い切らないまま終わってしまうことが多い飽き性な人でも、これなら楽しく1冊を使い切ることができそうだ。

”YOUR NOTEBOOK IS HALF FULL” 半分を使い切ったことを知らせるメッセージ
また、パリ発のブランドらしい視覚の美しさはもちろん、このノートブックには表紙を含むすべてに再生紙が使用されている。環境への意識が高いフランスの”当たり前”が感じられるポイントだ。

クリエイティブなプロダクトを楽しむ

パピエ ティグルは、“紙の虎”という意味。紙は一見すると弱いものだが、自分たちのデザインを載せると強いものに変わる。そこで強さの象徴である虎をモチーフにした名前とロゴを作ったという。しかし、設立者であるジュリアン クレスペルとマキシム ブレノンの2人はもともと文具の専門家ではない。「クリエイティブなチームで革新的なことをはじめたい」という気持ちから、彼らは活動をスタートさせた。そんなクリエイティブへのこだわりもあり、ノートブックはシーズンごとのテーマに合わせて、それぞれに名前が付いている。

同じ柄の追加生産はせず、シーズンが終われば2度と同じものを買うことはできない。出会いの限定性も、ワクワク感を高めてくれる要因のひとつだ。

今回のテーマは「SPACESHIP = 宇宙」。パピエティグルが「人類初の月面着陸50周年を勝手にお祝い」というユニークな発想からデザインが生まれた
店内を眺めていると、ステーショナリーでありながらまるでアート作品を買うときのような高揚感を味わうことができる。

シンプルな服の中に、遊び心を持って小物で色や柄を差すパリのスタイルには、パピエ ティグルの鮮やかなグラフィックのノートブックがよく映えるだろう。オフィスからさくっとランチやカフェに行くとき、つい片手に持って行きたくなる。ステーショナリーとしてだけではなく、ファッションの一部としても活躍してくれそうだ。

グラフィカルに、自分だけの組み合わせを楽しむ。

ノートブックだけが、パピエ ティグルの魅力ではない。他のアイテムと組み合わせて、自分だけの”オリジナルセット”をつくることができるのも、魅力のひとつ。

お気に入りのノートを見つけたら、グラフィックに合わせてメッシュのポーチを選んだり、自分の持ち物を入れるのを想像してみたりするのも楽しい。大切な人や、お世話になった人のイメージに合わせて選んでも発見がありそうだ。

まずはノートブックから、プレゼントしたい人のイメージに合うグラフィックを選んで、ペンやポーチなど、予算に合わせてプラスの小物を選ぶこともできる。

もちろん、大切な人と一緒に選ぶのも魅力的な時間だ。いいお店があるから一緒に行こうと、つい誘いたくなってしまう。私が次にくるときはきっと、気のあう友人と、お互いのイメージで組み合わせを考えたりしているに違いない。

トラベルブランドとのコラボによる、化学反応。

トラベルブランド「MILESTO(ミレスト)」とのコラボレーション
2020年にコラボレーションが実現したのは、トラベルブランドの「MILESTO(ミレスト)」。”毎日を旅するように暮らす”大人のためのブランドがコンセプト。ミレストの実用性と、パピエ ティグルの遊び心あるグラフィックが、心地よいバランスで掛け合わされている。

とあるパリの展示会で出会った2つのブランドは、どちらも日々を彩る工夫にあふれていて、何気ない日々を特別にしてくれる力を持っている。

トートバッグやパッキング用のオーガナイザーなど、6種類のアイテムが発売された
旅先で偶然の出会いがあるように、パピエ ティグルに足を運べば、きっとそのときにしか味わうことのできない心奪われる体験が待っているはず。

パピエ ティグルでの出会いは、ただ単に“ステーショナリーとの出会い”ではない。例えば、そのノートブックを使っている、明日の自分との出会い。組み合わせを楽しむという行為との出会い。ステーショナリーを起点に広がっていく無限の可能性を、ぜひ感じにきてほしい。

PAPIER TIGRE


東京都中央区日本橋浜町3-10-4
電話番号:03-6875-0431
営業時間:平日 11:30-18:30 L.O.17:30  休日 12:00-18:00 L.O.17:00
月曜定休(祝日営業)

https://papiertigre.jp/

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