Vol.512

12 JAN 2024

〔ZOOM in 吉祥寺EAST〕愛されて33年。世界中のカードが集まる店「Billboard」

渋谷や新宿といった都心部からは少し離れた場所にありながら、連日多くの人で賑わう吉祥寺。憩いの場、住宅街、デートスポット、飲み屋街…など様々な顔を持ち、どんな人でも自分なりの居場所を見つけることができる。毎日大勢の人が行き交うこの街で、33年もの間変わらず愛されている店がある。それが、今回ご紹介したい輸入カードショップ「Billboard」。SNSやメールでのコミュニケーションが主流になった現代でも、不動の人気を集めるのはなぜなのだろうか。その答えを探しに、吉祥寺を訪れた。

何時間でも、何歩でも。散歩がはかどる街・吉祥寺

都立井の頭恩寵公園。池を取り囲むように雄大な自然が広がる
「Billboard」があるのは、吉祥寺駅北口から徒歩7分ほどの場所。まっすぐ目的地を目指そうと思ったが、いざ吉祥寺に着くとついあちこち歩き回りたくなってしまう。まずは南口側の改札を抜けて、井の頭公園を目指した。

井の頭公園(正式名称:都立井の頭恩寵公園)は、大正6年に日本初の郊外公園として開園し、以来100年以上市民の憩いの場となっている。一周するのに約1時間かかる広大な敷地に、多種多様な草木が自生している自然豊かな公園だ。ベンチに座り静かに池を眺めると、都会の喧騒を忘れてしまいそうだ。

吉祥寺駅北口のシンボル的存在でもあるサンロードの看板
リフレッシュできたところで、次は目的地のある北口側へ。雰囲気のある喫茶店、古着屋、古本屋、雑貨店…と、挙げたらキリがないほど立ち寄りたくなる店が多い。サンロード商店街やダイヤ街、中道通り、昭和通り、大正通りなどそれぞれの通りごとに少しずつ表情が違うのも、面白いポイントだ。吉祥寺に来たら、思う存分散歩を楽しんでいただきたい。

小さな路地にも、気になる雑貨店やアパレルショップが並ぶ

圧倒される品数!7,000以上のアイテムが所狭しと並ぶ

輸入カードショップ Billboard。扉を開けると膨大な数のカードが目に飛び込んでくる
東急百貨店の手前にある昭和通りを5分ほど進むと、見えてくるのが「Billboard」。店内に足を踏み入れた瞬間、まずはその品数に圧倒される。壁や什器一面にずらりと並ぶのは、色とりどりのポストカードやグリーティングカード(2つ折りになっているカード)。小さな店内に7,000以上のアイテムが揃っている。

天井から床近くまで、所狭しとカードが並ぶ
この店には家族連れや学生、吉祥寺に長く住むご高齢の方など、老若男女さまざまな人がカードを求めてやって来る。中には「この店に来たかった」と、海外から訪れるお客さんもいるそうだ。

ドイツ製のカードゾーン。絵柄を一つひとつ見ていると、あっという間に時間が過ぎる
「Billboard」が誕生したのは今から33年前のこと。オーナーがニューヨークに渡った際、市街地で偶然とあるカードショップを見つけたことが店を始めるきっかけになったと言う。アメリカには、誕生日やクリスマス、バレンタイン、何かを感謝したいときなど、折に触れてカードを贈り合う文化がある。コンビニやドラッグストアでもカードが販売されているほど、生活に身近な存在なのだ。カード専門店も点在しており、皆が気軽に立ち寄っている。「Billboard」は、そんなアメリカの文化を肌で感じられる日本でも稀な店だ。

本のような形の、バースデー用グリーティングカード

映画『アメリ』に登場する絵のポストカードや雑貨も。

スタッフおすすめの1枚。インコグニートのポストカード「ひまわり泥棒」
店内には、ゴッホやピカソ、クリムトといった画家作品のカード、イギリス製のクラシックなカード、中身が飛び出すカード、誕生日祝いにぴったりな数字のカード、引っ張ると絵が変わるカード…など非常に多様なカードが取り揃えられている。中でも「Billboard」を代表する、2種類のカードをご紹介したい。

インコグニート

根強い人気を誇るのがドイツ発「インコグニート」のカード。フランス映画『アメリ』に登場した絵も、ポストカードとなってインコグニートより発売されている。主人公・アメリの部屋に飾られている2つの絵を描いたのは、画家・イラストレーターのミヒャエル・ゾーヴァ。ユーモアがありながら、どこか不穏な空気も感じさせるゾーヴァの絵には、どれだけ見つめても見飽きない不思議な魅力がある。

映画『アメリ』に出てくる2枚。ミヒャエル・ゾーヴァ作

脇毛部分が綿になっている、チャーミングな「脇毛シリーズ」。こちらもミヒャエル・ゾーヴァ作

店内にはカードだけでなく雑貨も多く並ぶ。こちらは『アメリ』に出てくるブタのランプ

カルテダート

「Billboard」はフランス製のカードも豊富。特に「カルテダート」製のものは、表面がキラキラ光るカードやスクエアのカード、モコモコの綿がついたカードなど、可愛さと個性が兼ね備わったカードが多く手に入る。カルテダート製のカードは「Bon anniversaire(お誕生日おめでとう)」「Merci(ありがとう)」といったメッセージが書かれたカードも多いため、誰かに贈るカードを探している方にピッタリ。

キラキラと輝く特殊印刷と、丸角の形が可愛いカルテダートのポストカード

カルテダートは、メッセージ付きのカードも多数

ハート部分が綿になっている「モコモコグリーティングカード」

スタッフの遊び心が垣間見える店内

タイトル「トマト好き思考」。贈っても、飾ってもよし
「Billboard」は、世界中からお洒落で可愛いカードが集まっているが、いわゆる“ハイソで洗練された店”といった雰囲気はない。どこか懐かしく、温もりのある空気が漂っているように感じる。その理由は、スタッフ達がハンドメイドで店舗を作り上げているからだ。たとえば店内の至るところにあるPOPは、すべてスタッフのお手製。商品の包装紙にもスタッフが作ったハンコが押されている。店舗に訪れた際は、そんなスタッフの遊び心にも注目してみてほしい。

スタッフお手製のPOPが点在する店内
また先ほどご紹介した「インコグニート」のカードにはそれぞれタイトルがあり、そのタイトルもスタッフが翻訳してご紹介している。例えば下のカードのタイトルは「飼い主に似る」。タイトルを踏まえてからカードを見てみると、よりユーモアを感じられるはずだ。

タイトル「飼い主に似る」

こちらのタイトルは「王子の一人旅」

あなたが選ぶ、お気に入りの1枚は?

鳥の羽根のような柄が美しいグリーティングカード
チャットやメールでクイックに人と繋がることができる現代。「いつの間にか年賀状も送らなくなった」という方も多いかもしれない。だからこそ相手を思ってカードを選び、ペンを走らせる時間は、何より贅沢な贈り物となる。

引っ張ると…

絵が変わるカード
もちろん、誰かではなく自分のためにカードを選ぶのもいい。「Billboard」には、33年の歴史の中で集められた1万枚を超えるカードがある。店内をじっくりとまわると、“これは”と思える掘り出し物も見つかるはず。あなたにフィットする、とっておきの1枚を見つけてみてほしい。

Billboard SHOP

東京都武蔵野市吉祥寺本町2-33-11
0422-22-8119
営業時間:10:30~19:00 (20:00までオープンしていることも)
定休日:火曜日

https://www.billboard-kj.com/