TOC閉店の一方で有名ホテル進出も。勢いのある五反田エリア
パーツの海外輸入や自作も。1920年代のアメリカをイメージしたオリジナルデザイン
1階はオリジナル照明を中心にラインナップしているほか、コーヒーとクレープを楽しめる「SUNAO COFFEE」がある。2階はヴィンテージ・アンティークの照明や大型・小型の家具をそろえるスペースになっている。
「将来のヴィンテージとなる素材と作りにこだわっています」とオーナーの杉村聡さん。
「ヴィンテージ家具や照明も初めは全て新品でした。経年変化を楽しめる真鍮無垢の素材をベースに使い、普遍性のあるデザインを心がけています。もちろん、長く楽しんでいただきたいので、修理もできるようにしています」
パーツも、アメリカを中心に海外から独自で輸入し、理想のものがない場合は自作。現代のコードは化学繊維のレーヨンのものが多いが、当時のスタイルどおりツヤ感を抑えたコットンで作るために、 スーツの仕立て工場に依頼して編んでもらっているものもあるのだとか。細部までこだわりがあり、ずっと見ていたくなる楽しさだ。
「1920年代のアメリカのデザインは、すごくかわいいんです。電球の明るさがまだ十分でなかったから、電球をいっぱいつけて街灯にしていたりして。当時のデザインを追求するために、当時のカタログを海外のオークションサイトで探したりしました」
「アメリカやヨーロッパには、物を大切にして、それを受け継いでいく文化があります。100年後、自分達がつくった照明が『アン ティーク』と呼ばれるようになるまで捨てられずに残っているなら、それは本当に、本物だなあと思うんですよね」
異なるデザインを複数使いする
「自宅は新作の照明の調和などを見るための実験として使うことが多く、実際に数ヶ月間使ってみるんです。照明の高さを変えてみたり、光の色合いを変えてみたり。照明って、電球を入れ替えてみるだけでも、家具の見え方が全く変わるのが魅力なんですよね。そういった遊びがあると、暮らしが豊かになると思うんです」
「高さやデザインが対照的なものを取り入れつつ、これらを共存させることで、空間を分ける効果を生み出しています。ただ、素材の組み合わせなどで統一感が出るようにはしています。
高さがある方(写真奥)は男性的なイメージのインダストリアルなデザイン、低い方(写真手前)は女性的なイメージのアールデコ風のデザイン。まったくデザインが違う物を複数使うのもオススメです」
「窓際は植物が育ちやすい場所ですけど、夜はさみしいですよね。光が届かない場所に照明を足して、壁に光を当ててあげることなどで、空間に奥行きが出るんです。ライフスタイルや家具の配置によって、1灯だけでなく、複数組み合わせてみてください」
住人と共に歴史を刻む照明を「育てる」楽しみ
「日本に帰ってきて、高層マンションを眺めると、真っ白な光がやたら多いことに気づいたんです。アメリカでは、白い光はオフィスやお店だけで、民家はオレンジ色の光で生活している。
そもそも、人間は太陽が昇って沈むのにあわせて生活していて、寝る前は穏やかな光に包まれて寝る準備をし、朝は太陽の光で起きるのが自然だと思うんです。光と人間は切っても切れない関係。日本にいると気づかないことですが、自分で”光”の役割を広めていくことができたら、と思ったんです」
人間の暮らしと共にある光。「POINT NO.39」は、そんな人間と光の根源的な結びつきに気づかせてくれる。
部屋は、住んだ年数だけ、その人の味わいが滲み出てくるもの。家具が味わいを増し、照明もいつかヴィンテージに育ったとき、私たちはどんな人になっているだろうか。
POINT NO.39
営業時間12:00-20:00
定休日 水曜
https://clownandsons.co.jp/
https://www.instagram.com/point_no.39/