「部屋に緑を飾りたいけれど、枯らしてしまうのが怖くて踏み出せない」。そんな悩みを抱える人におすすめしたいのが、日本の伝統美を自分の手で作り上げる「ネジッテBONSAIキット」だ。ビーズを通したワイヤーをねじり、自らの指先で松や桜などの季節を表現する一本の樹木を構築していく手仕事は、育てるのとは異なるアプローチで自然と向き合う体験を届けてくれる。完成した愛らしい盆栽とともに、日常の風景をより豊かに描いてみたい。
巡る季節を暮らしの中へ取り入れて
ふと気づけば季節は巡り、肌をじりじりと焦がすような暑い夏は過ぎ去って、秋の深まりを感じる頃になった。だが慌ただしい毎日を送っていると、季節の変化に疎くなり、今どんな草花が旬を迎えているのかさえ分からなくなってしまう。
そんな暮らしの中でも、四季折々の自然の美しさを感じるのに手軽にできることのひとつが、植物を住まいに取り入れることかもしれない。草木や花の瑞々しさは暮らしに潤いを与え、安らぎと癒しをもたらしてくれる。
しかしいざ観葉植物を購入しようとすると「世話の手間」が大きな壁として立ちはだかる。毎日の水やりや日照時間の考慮、土の処理の面倒さ、せっかく迎え入れた植物を枯らしてしまうのではないかという不安などの理由から、二の足を踏んでしまう人も多いのではないだろうか。
植物を取り入れることに躊躇してしまうけれど、季節が移ろうたびに自然が与えてくれる恩恵を、暮らしの中で味わいたい。そう願う人におすすめしたいのが、日本の伝統美を手仕事で表現する「ネジッテBONSAIキット」 だ。枯らすリスクに怯えることなく、自然の魅力や季節の情趣をより身近に手繰り寄せるための、新しい選択肢となってくれるに違いない。
きらめくビーズとともに作る、自分だけの小さな季節
住まいで植物を育てるのとはまた異なる楽しみを教えてくれる「ネジッテBONSAIキット」を生み出したのは、1935年に広島県福山市で創業し、高品質な「MIYUKIビーズ」を世界へ送り出してきた老舗メーカー、株式会社MIYUKIが展開するブランド「MIYUKI FACTORY」だ。
創業以来日本のビーズ産業を牽引し、世界50ヵ国以上にビーズを輸出してきたMIYUKI。その技術はこの小さなキットにも息づいており、ビーズを扱うのが初めてという人も楽しめる手軽さと、ものづくりの喜びを教えてくれるプロダクトだ。
「ネジッテBONSAIキット」はシリーズ(01・02)あわせて全12種類の樹種が展開されており、好みのものを選ぶのも楽しいに違いない。コンパクトなキットの中に必要なものがすべて詰まっており、用意するのはハサミと定規だけ、という手軽さも嬉しい。
作り方はビーズをワイヤーに通してねじるだけというシンプルさで、これなら手作りが苦手な人も気軽に取り掛かれるはずだ。盆栽という日本ならではの美意識が詰まったクラフトキットは、自らの手を動かして作る喜びを知るきっかけとなってくれるだろう。
自分だけの盆栽を、指先から紡ぎだして
それではさっそく「ネジッテBONSAIキット」で、盆栽を作ってみよう。作り方はシンプルな基本動作の繰り返しとなっており、ビーズやワイヤーを扱うのが初めてという人も、ものづくりに苦手意識がある人も安心して始められるはず。
作業は大きく分けて「ワイヤーのカット」「パーツ作り」「樹形の構築」「鉢への仕立て」というステップになる。まず材料のビーズを豆皿などに入れ、こぼれないようにセッティングしておこう。次に付属のワイヤーを規定の長さに切り揃えておく。
準備が整ったら、カットしたワイヤーに色鮮やかなビーズを通し、指先でキュッとねじり合わせていく。松であれば針葉の束、桜であれば可憐な花びら、紅葉や銀杏であれば鮮やかな葉のモチーフが、このねじる作業によって一つひとつ形作られていく。
続いてできあがったパーツを何本か束ね、ワイヤー同士をさらにねじり合わせていく。次第に枝から幹へと厚みが増していく過程や、枝をどの角度に曲げるか、どの位置に花や葉を配置するかによって表情が変わる面白さは、本物の樹木を仕立てるような楽しさを味わえるだろう。
最後に鉢へと固定し、足元に粘土の土や装飾用の小石をあしらえば、世界にひとつだけの盆栽が完成だ。始めは幹の具合や枝の造作が上手くできるか不安があったが、眺めてみればちゃんと桜のようにできあがっていると自画自賛したくなる。
完成したものを飾ってみれば、手のひらに収まる小さな盆栽を作り上げた心地よい達成感とともに、住まいの中にふわっと季節の潤いが宿るのを感じられるはずだ。
住まいに溶け込み、新たな風景を描き出す
初めて作った自分だけの小さな盆栽には、本物の植物とは異なる自由さがあると言えるだろう。水やりは不要で土も使わず、日照時間を考慮する必要もないからこそ、暮らしの様々なシーンに溶け込んで、四季折々の風景を住まいに描いてくれる。
たとえばデスク周りなど、室内のパーソナルスペースに置いてみる。普段はPCモニターの前に座り、作業や仕事に没頭する空間だが、ふと手を休めた瞬間、そこに佇む小さな盆栽を眺めれば、静かな安らぎをもたらしてくれる。
また、玄関やキャビネットの中など、植物が置けない日の差さない場所でもその輝きを発揮してくれる。「盆栽」と聞くと和のイメージを強く感じがちだが、華やかなビーズとその小ぶりなサイズ感によって、置く場所やインテリアのテイストを選ばないところも魅力のひとつだ。
この愛らしい盆栽はテーブルコーディネートに変化をもたせたい時にもおすすめで、たとえば友人を招いて自宅でお茶をするひととき。季節に合わせた盆栽を飾り、それに合わせてカップやお皿、茶菓子を用意する。あるいは自分ひとりで過ごすティータイムの傍らに置くのも良いだろう。
土や花粉など衛生面を気にすることなく、愛らしい自然に触れられて、「ああ、もうすぐ紅葉の季節がやって来る」と実感したり、ゲストとともに眺めれば「これ、自分で作ったの?」と会話が弾んだり。ブレイクタイムに温かな雰囲気を演出してくれるだろう。
ものづくりが教えてくれる、身の回りにあふれる自然
これまで季節が巡るごとに、街中や公園、旅先で色づく樹々を眺めてはいたが、目に映っていたのは美しく咲き誇る桜の花や紅葉の色鮮やかな葉であり、それらは樹々が持つほんの一部分であったと気づく。花や葉が散った後の樹の存在は目に留まることはなく、それが何の樹であるかさえ意識することはなかったのだ。
だが「ネジッテBONSAIキット」を作る際、幹の流れはどうなっているのだろうと画像で調べたり、指先でワイヤーをねじりながら幹の曲線を作り上げていくうちに、 「これはもいつもの散歩道にあるものと同じかもしれない」と気づく。ものづくりを通じて、自分の周囲で生き生きと息づく樹々の存在を再発見させてくれたのだ。
「育てる」こととはまた異なるアプローチで、自然が作り出す美の構造や情趣に思いを馳せる。手のひらサイズの小さな盆栽を作り上げた体験は、日常の風景をこれまでとは異なる豊かな解像度で描き出し、毎日の暮らしに深みと愛おしさをもたらしてくれるに違いない。
ネジッテBONSAIキット
CURATION BY
31年間暮らした英国から日本へ。海と山と川に囲まれた、小さな村での暮らしが始まりました。