自分のごきげんを取る香りの選び方を、私たちはどれくらい意識しているだろうか。気分を上げたいときの香り、効能を求める香り、流行の香り。理由があれば、どれを選んでもいい。けれどそれが、豊かな土壌と澄んだ空気、清らかな水に育まれたものだとしたら、きっと香りはもう一段深く、自分に寄り添ってくれるはずだ。富山の自然が育んだ、自然由来のアロマアイテム「Taroma(タロマ)」は、薬都・富山で皮膚専門の製薬会社で培われてきた研究開発力と、補完代替医療の考え方を掛け合わせて生まれたブランドだ。“整う”ことがキーワードになりつつある現代で、心身に寄り添い穏やかに整えてくれる存在として、「Taroma」のある暮らしを提案したい。
健康である時間を、より心地よく幸せに過ごす
ふわりと広がる香りは、心をやわらげ、ときに身体まで軽くしてくれるように感じる。
富山の風土から生まれたアロマブランド「Taroma」。手がけるのは、富山の株式会社MAEだ。皮膚薬専門の製薬会社として医薬品の研究開発・製造を行ってきた同社が、2019年にローンチした。
ブランドのはじまりは、10年前に就任した3代目社長の原体験にある。心身ともに疲弊していた時期、ある朝どうしても起き上がれなくなった。医療機関で検査を受け、薬も試したが、思うような回復には至らなかったという。そんななかで出会ったのが、ラベンダーのエッセンシャルオイルの香りだった。さらに、それを使ったマッサージによって身体がゆるんでいく感覚を知り、少しずつ自分を取り戻していった。
驚くほど回復していったその体験が、ブランド誕生の原点となった。薬や医療に頼る前の、すでに健康である時間をいかに心地よく、幸せに過ごせるか。その価値に目を向けたいと考えた。自身を支えてくれたラベンダーのように、植物の力は人をそっと整える。そうした自然素材の力を健康や美容に生かし、富山の豊かな恵みを通して届けたいとの思いから立ち上がったのが「Taroma」である。
スタートから約7年。ボディマッサージオイルから始まった商品は、いまや約30種に広がる。ラベンダー、ゆず、ヒノキの3種を軸に、製品ごとにハーブを組み合わせながら、穏やかに寄り添う香りの商品を展開。
私のお気に入りは、爽やかなラベンダーがふわっと駆け抜けるハンドクリーム。日常にいちばん取り入れやすいアイテムだ。
リカバリージェルは、3つのローラー付きで、マッサージしながらセルフケアができる。
「Taroma」の魅力は、香りの質のよさにある。ふわりと広がりながらも、主張しすぎず、心身にすっと寄り添う。そのバランスが、ささやかな高揚感と静かな癒しを同時に連れてきてくれる。
「Taroma」の香りをまとっていて、誰かに強く印象づけることは、そう多くない。それほどにさりげない。けれど、自分のまわりにやわらかな香りのヴェールをまとわせて、ごきげんをそっと保ってくれる。そんなお守りのような存在感がある。
“育てる”から始まるアロマを、手に取る幸せ
ブランドの背景には、2020年に立山町にオープンしたウェルネス・リトリート施設「Healthian-wood®」がある。清らかな水と豊かな自然に囲まれたこの場所には、蒸留所を兼ねたアロマ工房「The Workshop」をはじめ、ラベンダー畑を望むスパ施設「The Spa by Taroma」、アロマ工房で抽出された蒸留水でセルフロウリュができるサウナ施設「The Hive」などが併設されている。
立山連峰の麓に広がる、のびやかなフィールド。ハーブやアロマが人の心身を支える存在であることを、より多くの人に体感してほしいという思いから生まれた場所だ。
アロマ工房の隣の「The Garden」には、1年を通してさまざまな種類のハーブが実る。中でも、ブランドのはじまりとなった植物であるラベンダーは、季節ごとに、さらに個体ごとに異なる表情を見せる。ラベンダーの寿命はおよそ5年。若い株は青々と力強く、豊かな香りを放ち、年を重ねた株は穏やかでやわらかな香りを育んでいく。
その変化を見守り、手入れし、摘み取り、蒸留する。抽出された香りはMAEの富山工場へ運ばれ、製品へと姿を変え、再びこの地へと戻ってくる。
育まれた場所の隣で、その香りを手に取れるという循環がある。植物の息吹を感じながら、香りを暮らしへ持ち帰る体験がここにはある。
自信をもって届けられるのは、皮膚薬専門の製薬会社として50年以上積み重ねてきたものづくりの姿勢だ。GMP(※2)に基づく製薬思想のもと、エッセンシャルオイルの抽出からスキンケア製品の製造、販売後の保証体制までを一貫して管理している。自然の恵みを扱うからこそ、安全性にも丁寧に向き合う。その誠実さは、香りのやわらかさの奥に静かに息づいている。
育てるところから製造、販売までを自らの手で担う。その透明性と一貫性が、手に取るときの安心感につながる。背景が見えるものを選ぶことは、穏やかな幸福につながっていく。ここで生まれた香りには、そうした静かな豊かさが宿っている。
香りの原風景で、スイッチをオン
「Taroma」の香りは、富山の原風景を思わせるラインナップだ。自社農園で育てるラベンダー、立山町で実るゆず、山から間伐したヒノキ。そこにローズマリーなどのハーブを重ね、奥行きのある香りへと仕立てている。
富山に息づく香りの記憶をまといながら、やさしく、静かに心をゆるめる。Taromaが提案するのは、「役立つ」と「香り立つ」を掛け合わせた“マリアージュ・アロマ”。日々のケアに寄り添いながら、健やかな心地よさへ導く。
香りの心地よさはもちろん、その背景にある品質にも目を向けたい。この地で育ったラベンダーを手摘みし、朝採れの清水で抽出する。主成分であるリナロールや、穏やかな気持ちへと導くとされる酢酸リナリルが、やさしくケアする。
ラベンダーのエッセンシャルオイルを配合したハンド&ネイルクリームは、塗るたびにやさしい香りがふわりと広がる。しっとりとした使い心地とともに、気持ちまで穏やかに整える。
一方、リフレッシュルームスプレー〈ヒノキ〉は、まるで森林浴のような清々しさ。富山で育ったヒノキを丁寧に抽出したオイルが、静かな森のイメージを呼び起こす。清らかさの中にほのかな落ち着きを感じさせる香りをまとうことで、気持ちがふっと軽くなる。表情までやわらぐような感覚。それは、日常の中で自分をやさしくトーンアップしてくれる。
「Taroma」のハンドクリームやソープ類、ルームスプレーを使えば、自分の中の気分転換のスイッチをオン。PC作業や家事の合間に手元をケアする時間が、自然と深呼吸したくなる瞬間へと変わる。“塗って終わり”ではない。香りが、静かに一日の流れを切り替えてくれる。
ごきげんにしてくれる香りは、目の前にある
香りを知ったあとに残るのは、どう選ぶかということ。ラベンダー、ゆず、ヒノキ。それぞれを試すなかで、私の表情がふっとやわらいだのはヒノキの香りだった。
まずは、自分の気分が上がる香りを選んでみる。「好き」と素直に思えるものから始めればいい。アロマとの付き合い方は、そんな気軽な一歩でいいのだと教えてくれたのは、「The Workshop」の責任者でありセラピストの富田和美さんだ。
「ハーブ園で育った植物を蒸留して、その工程も皆さんに見ていただいています。畑で育ったハーブが香りになり、その香りが日常のなかで人を癒していく。その循環をまるごと感じてほしいんです」と富田さんは話す。
自分の好きな香りを見つけると、あの人に似合いそうな香りや、こんな時間にまといたい香りなど、自然と想像が広がっていく。
「美容は健康の延長にあるものだと考えています。私たちは美容も大切にしながら、その土台となる健康をより重視しています。そのためのケアアイテムとして提案しているのがTaromaです」と続ける。
もしかすると、富山県立山町を訪れるのがいちばん早いのかもしれない。「Taroma」と香り、そして自分自身について、この場所では不思議と素直に向き合える気がする。
もちろん、東京でのポップアップやオンラインショップ、富山の街なかでも手に取ることができる。ふと出合ったときには、自分のごきげんにそっと寄り添う香りを迎えてみてほしい。取り入れ方は難しくなくていい。日常のなかに、ほんの少しの香りを。
香りが運ぶ日常の豊かさに気づくことから
富山の自然と皮膚科学を礎に生まれた「Taroma」。香りを通して心身を整える、新しい日常ケアのかたちだ。豊かな富山の自然を生かしながら、製薬会社として積み重ねてきた研究開発の知見と、安全性へのまなざしを大切にする。確かな基盤のうえで、香りの力を暮らしへと丁寧に届けている。
ラベンダー、ゆず、ヒノキといった香りは、忙しい日常のなかで自分を切り替える小さなスイッチになる。特別な日のためではなく、毎日のために選ぶこと。自分のごきげんを整える定番として、静かに暮らしに根づいていくこと。その積み重ねが、日常をほんの少しやわらかく、豊かな時間へと変えていく。「Taroma」は、そんなささやかな贅沢をそっと差し出してくれる。
Taroma®
CURATION BY
東京と富山の2拠点生活をするインタビュアー・取材ライター。ライフワークはおしゃれホテル宿泊で、年間100以上の宿泊施設を利用。ローカルとシティどちらで遊ぶのも好きで得意。グルメはフランス料理とチョコレート、コーヒーが大好物。