人にはそれぞれ生まれ育った地や、心のよりどころとなる故郷がある。たとえ都市部や海外に移り住んだとしても、故郷の存在を忘れることはないだろう。そんな私たちの中にねむる懐かしく、あたたかい気持ちを呼び起こしてくれるのが、日本全国47都道府県のかたちをモチーフにしたピンバッジやハンカチ、エコバッグなどを展開するブランド「Map Design GALLERY」だ。ふとした瞬間に「地元への想い」や「旅の記憶」を思い出させてくれる。それは、日常の中に“自分の原点”を見つめ直す時間をくれるお守りのような存在だ。
都道府県のかたち・イメージを意識してみる
私たちが暮らすこの日本には、47の都道府県がある。ただ、それぞれの都道府県のかたちを正確に描ける人は多くないだろう。けれど、自分の出身地のかたちだけは、どこか懐かしい記憶とともに心に残っているという人は多いはずだ。地図上のひとつの輪郭に、その土地の風の匂いや街の音、あの日の情景が重なる。それは単なる地図上の線ではなく、私たち一人ひとりの原風景を映す記号のようなものといえる。
「Map Design GALLERY」は、その“都道府県のかたち”に宿る想いを、ピンバッジやハンカチ、エコバッグといった日常のアイテムに映し出す。手のひらの上で故郷を感じるような、静かなぬくもりがそこにある。
「47palette」は、都道府県のかたちを地域ごとに分け、名産品・名所などからイメージした色合いで彩り豊かに表現したシリーズ。
水をイメージした色合いの「富山県」は、北アルプスが育む自然から流れ出る美しい河川の水音、海の潮の香りとそこで遊んだ記憶がよみがえる気がする。ラベンダーをイメージした色合いの「北海道」は、旅行で訪れた富良野の広大なラベンダー畑の感動、現地のお土産屋さんでラベンダーを使ったアイテムを見つけたときのときめきが思い出される。幼い頃に感じた北海道のダイナミックな自然やそこに流れる空気、家族との時間に思いを馳せると、自然と今もその場所を大切に思っていることに気づくはずだ。
特産品であるさくらんぼをカラーモチーフにした「山形県」は、行ったことがないけれど、毎年お歳暮に届いたさくらんぼの箱を開けたときの高揚感と、つやつやとした輝きを思い出す。まずは「この県のこの色は、何から・どこから着想を得たのだろう?」と疑問に感じ、サイトで答え合わせ。次に、「この県には他にどんな魅力的な特産品や名所があるのだろう?」と自然と考えていた。県のかたちを認識すると、その存在がますます気になってきて、行きたくなってくる。
自分のルーツを身につける幸せ
「Map Design GALLERY」のアイテムは、各都道府県に宿る私たちの原風景、その“かたち”を日常に溶け込むデザインとして表現する。ピンバッジやハンカチ、エコバッグに描かれた都道府県のかたちは、遠く離れた土地への想いを静かに呼び覚ます。
手のひらにのるそのデザインは、コンパクトでも確かな存在感を放ち、自分のルーツや記憶をそっと思い出させてくれる。日々の暮らしの中で、そんな“かたち”を身につける幸せが、ここにはある。
名刺交換のとき、あるいは何気ない雑談の中で。持ち物につけた小さな県のピンバッジを見た相手から、「もしかして◯◯県のご出身ですか?」と声をかけられることもあるだろう。そのひと言をきっかけに、懐かしい地名や食べ物の話で盛り上がり、思わぬご縁がつながっていくことも。話すうちに、遠く離れて暮らしていても、心のどこかにいつも“あの土地”が息づいていることに気づかされる。
「東京に来てから地元の人と出会う機会がなかったけれど、このアイテムがきっかけで心の距離が縮まった」そんな温かな瞬間を運んでくれるのも、「Map Design GALLERY」の魅力のひとつだ。
自分のルーツを身につけることは、単に出身地を示すだけではなく、生まれ育った場所への静かな敬意や、そこで過ごした時間への想いを日常の中でそっと灯すことなのかもしれない。小さな輝きが、ふとした瞬間に記憶をやさしく照らし出す。そのぬくもりこそが、都道府県のかたちを身につける幸せなのだと思う。
日々に、わたしらしさを添えて
シンプルなトートバッグに、故郷やお気に入りの旅行先など思い入れのある都道府県のアイテムを身につけて出かける。ただのバッグが、私の“物語”を伝えるアイテムになる。
さりげなくも、意味を持つアイテムは、その人の個性を映し出す。それは、単なる装飾ではなく、自分の歩んできた道や、心に残る風景を潜ませた小さなしるし。バッグにつけたその小さなピースは、日々の暮らしの中で、自分らしさを静かに物語る。
今日はどの都道府県のアイテムを身に着けるか。旅行の行き先やその日会う相手の出身地、友人との思い出の先などで決めてもいい。自分らしさを表現するなら、好きな県や好きなかたちで選んだって構わない。それほどのファッション性・デザイン性も兼ね備える。
複数付けても絵になる少し小さめサイズなので、ゆかりのけんがいくつもある人は重ね付けもおすすめだ。都道府県のアイテムを身につけて、一癖ある、ちょっと気になる存在に。私らしさを表現した1日を彩るアイテムを見つけてみよう。
似たもの同士、同郷の人や同じ地域が好きな人を引き寄せるかもしれない。そんなワクワクした期待感を日常に添えられるのが、都道府県のモチーフが身近にある暮らしだ。
カラーやデザインから小さな知のきらめきを
形と色の掛け合わせで都道府県のイメージを学びに変換できる点も「Map Design GALLERY」に注目したい理由のひとつだ。日本地図を眺めると、ひとつひとつの都道府県が異なるかたちをしているように、土地ごとに気候や文化、名産も少しずつ違っている。「Map Design GALLERY」のアイテムは、そんな多様な土地の個性を色という切り口で表現している。
道頓堀をイメージした大阪府はレッドとブルーを使用し、水の豊かな富山県はブルー系で統一するなど、それぞれの色には地域の風土や産業、自然がさりげなく映し出されている。1辺90cmと大きな「Map Design GALLERY」の「【和まっぷ】風呂敷」を地図のように広げながら、親子で「どうしてこの色なの?」と会話を交わせば、遊びの延長線上に学びが生まれる。
日常の中で使うハンカチやエコバッグに込められた色やかたちを通して、子どもは自分の住む場所や旅先への理解を少しずつ深めていく。大人にとっても、色を目にした瞬間に旅の情景がよみがえり、記憶の地図が鮮やかに広がる。「Map Design GALLERY」のデザインは、知る喜びと感性を刺激する。それは、暮らしの中にそっと置かれた“小さな発見の入り口”としての役割も果たす。
裏面には都道府県名の記載があり、識別にも役立つ。クイズのように、カラーやかたちで都道府県名を当てる楽しみ方もあるだろう。いくつもコレクションしていくうちに、カラフルなひとつひとつのアイテムへの愛着が増していく。ゆかりある地域への想いを深める、それが「Map Design GALLERY」が紡ぐ世界だ。
記憶を呼び起こすお守りを身につけて
地元への誇りを胸に秘め、日々を過ごす人にとっては、自己表現のツールとしての役割を果たすだろう。旅先での思い出を身近に感じたい人にとっては、手のひらの上で記憶を呼び起こす小さなお守りとなる。また、初めての人との会話のきっかけを求める場面では、自然に交流を生むコミュニケーションアイテムとしても機能する。たとえ小さなピンバッジひとつであっても、その存在は日常の一コマを少し特別に変え、見慣れた風景や思い出をそっと心に灯す。
持ち歩くたびに、過去の時間や場所への思いが呼び覚まされ、暮らしに静かな喜びとぬくもりをもたらしてくれる。こうして一つのアイテムが、個人の物語や記憶をつなぐ架け橋となるのだ。
Map Design GALLERY
CURATION BY
東京と富山の2拠点生活をするインタビュアー・取材ライター。ライフワークはおしゃれホテル宿泊で、年間100以上の宿泊施設を利用。ローカルとシティどちらで遊ぶのも好きで得意。グルメはフランス料理とチョコレート、コーヒーが大好物。