Vol.639

MONO

01 APR 2025

日常の所作に美意識を。縫い目がない一枚革レザーウォレット

近年、キャッシュレス化で財布を持たない人がいるようだが、キャッシュをまったく持たないのはまだ不便だというのが実情ではないだろうか。「ミニ財布にしてみたけれど、イマイチしっくりこない」「結局長財布に戻した」なんて声もチラホラ耳にする。今回ご紹介するのは、国内製で高品質、秀逸なデザインで話題のレザーウォレットだ。モノとしての美しさだけでなく、縫い目を一切排除した独自の構造で多くのファンを魅了する。使う人の日常に美意識を宿らせ、財布の新たな価値を提供している製品だ。

日本の伝統と美意識を革製品に

「No,No,Yes!」が展開する革製品のカタログ
2006年に創業した「No,No,Yes!(ノーノーイエス)」は、日本の革素材最大産地・兵庫県姫路市にアトリエ拠点を設けるレザーアパレル企業。レディメイド(既製品)販売のほか、オーダーメイドのレザーテーラーもあり、一人ひとりが長くレザー製品を愛用できるブランドを手がけている。その中から、今回ご紹介するのが、レザーウォレットのレーベル「所作(しょさ)」。

日本の美意識を形にした「所作」

所作のブランドコンセプト
「所作」という名前は、贈り物を手渡す際の細やかな気配りや、日々の生活の中でふと垣間見える美しい動作に由来する。

ブランドコンセプトは”お金を包む”動作自体を所作としてデザインすること。お祝い事でなじみ深い「袱紗(ふくさ)」をモチーフに、財布やカードケースなどの革小物やバッグを展開している。

縫い目がない所作のレザーウォレットとコインケース
「所作」のレザーアイテムは、そのユニークな構造によって、他のブランドに類を見ない魅力を放っている。最大の特徴は、縫い目を一切排除し、1箇所だけボルトとナットで革を固定するという、シンプルながらも堅牢な構造だ。贅沢に一枚革を使い、それを折り重ねることで生まれる美しいフォルムは、折り紙の技法を彷彿とさせる。縫い目を排除することで、革本来の美しさとミニマルなデザインが際立つ上に、ほつれたり、縫製部分が弱くなるといった心配も無用だ。

また、使い込むほどに色艶が増し、手に馴染む革製品の経年変化を楽しむこと。それは、物を長く大切に使うという美意識にも繋がっていく。

姫路レザーへのこだわり

一枚の革から独自デザインの型を切り取る
「所作」の財布のほとんどは、歴史のある革産地、兵庫県姫路の天然皮革を使用しており、その植物タンニンなめしは世界的にも珍しい製法だ。そのままでは腐敗したり、硬くなってしまう皮のコラーゲンになめし剤を結合させ、安定させる技術のことを「鞣し(なめし)」というが、「所作」に使われるのは、一般的に流通する海外のヌメ革に比べ、より長い時間をかけて作られている。ゆっくりと時間をかけているため、自然の風合いが残り、繊維が硬く引き締まるのだという。また、これは自然界の素材のみを用い“土に還るエコな製法でもある。

血筋も唯一無二の個性
革へのこだわりは、その個性の活かし方にも垣間見える。上の写真は「血筋」といわれる牛の血管痕。多くの製品は表面加工や厚いカラーコーティングをしているものが多いため、それらに隠されて表面に見えないことの方が多いが、本来どんな革にも必ず入っているもので、「所作」ではそれを革の個性として活かされている。人間の体がそうであるように、この血筋の形や出方は一つひとつ違うため、個性として積極的に楽しもうという人が増えているのだそう。

多様なニーズに応えるデザインバリエーション

スタンダードな長財布から名刺サイズのコンパクトなものまで
「所作」の製品ラインナップは、ロングウォレット、CP 2.5/3.5、ショートウォレット2.0/1.0、コインケース、カードケース、バッグなど多岐にわたる。スタンダードな長財布が主流の人気ラインだが、その他のなかではキャッシュレス時代に対応した「CP」シリーズが注目されている。

キャッシュレス時代の新たなスタンダード

cpシリーズ ペイズリー柄
一枚の革から日々の動作を心地よくすることを目指した革新的なデザインが特徴の「CP」シリーズ。コンセプトは、「コインぱかっ(cp)、カードぴっ(cp)」。必要最低限を持ち歩ける、使う人・見る人にとって気持ち良い、かつ「所作」らしいキャッシュレス時代のコンパクトウォレットだという。財布を開き、そして閉じる。ただそれだけの動作に心地よさが感じられる工夫の詰まったシリーズだ。

CP3.5の収納力
片手で開けるコイン部分は、このサイズ感にして見やすさと小銭の取りやすさに優れているのがポイント。コンパクトすぎるかと思いきや「CP3.5」なら小銭は20枚ほど、カードは最大10枚、札は最大推奨が15枚という優れた収納力を発揮する。

多彩なカラーバリエーション

ペイズリーの中はシルバー&ゴールド
「所作」の財布は豊富なカラーバリエーションも魅力の一つだ。定番の黒や茶はもちろん、赤や青といったカラーレザーもあれば、革にペイントやスプレー箔などを施した、大胆な柄装飾の展開が多数ある。水墨画や和紙など日本の文化からインスピレーションを受けているものや、幻想的なシャボンや刺繍柄、ゴールドの雲母などキラキラと光るインパクトのある加工も人気だ。また、これらの柄は財布の外側ではなく、内側だけに施されたデザインもある。バリエーションの豊富さに迷いながらも、洋服のような感覚で自分に似合う財布を選ぶのは楽しい作業でもある。

箔加工が施されている場所もさまざま

表側はマットブラックの和紙仕立て。中はレッド

使うときに個性が光るデザイン

ペイントには手作業の風合いが感じられる
革の加工にも様々なバリエーションがあり、マットな質感、光沢のある質感、そしてエイジングを楽しめる素材など、好みに合わせた選択肢がある。限定カラーや特別な染色技法を施したアイテムも度々発表されるため、いくつも手に入れたくなるほど。

アフターケア万全で安心。カスタマイズも可能

銀座にあるフラッグシップショップ
「所作」はオンラインショップでも購入できるが、近くに店舗があれば、ぜひ覗いてみてほしい。「所作」のフラッグシップショップは、東京だと銀座、吉祥寺の2店舗。また「所作」を運営する「No,No,Yes!東京本店」でも「所作」の一部は購入可能だ。実際に商品を手に取ることで、一つとして同じものはないことがよくわかるはず。

ショップではメンテナンスなどのサービスも受けられる
店舗では、購入後のアフターケアも受けることができる。クリーニングなどの通常メンテナンスサービスのほか、姫路ではその他の加工や張り直しなどのメンテナンス対応も相談可能だ。

革製品は、使い込むほどに味わいを増すが、適切なメンテナンスを施すことで、その美しさを長く保つことができる。店舗ではエイジングケアのアドバイスも受けられ、革を育てる楽しさを広げる手伝いをしてくれる。

英数・大文字・小文字から組み合わせる
その他に、より愛着が持てるようなカスタマイズオプションも。「所作」のカバー内側のブランド刻印と同じ方法による刻印ができるサービスだ。最大10文字の刻印が可能なため、名前等の固有名詞を入れるほか、記念日のような日(yyyy,mm,dd)を刻印するのもおすすめ。

文字はゴールド、シルバー、ブラックから選択できる
専用の刻印機で凸の文字を一点一点セット。上から熱と圧によって手作業で刻印してもらうことができる。パーソナライズされたアイテムは、ギフトとしても最適。

革のコースターとリボンがあしらわれたギフトボックス

日常の所作に美意識をもたらす革小物

何気ない立ち振る舞いを美しく見せるアイテム
上の写真は筆者が購入した吉祥寺限定カラーのロングウォレット。表面は落ち着いたブラックだが、開いたときに個性的なペイントが見えるため、近くにいる人から「それはどこの財布?」と聞かれることが多くなった。包んでいるものを開いて、また包み直すという動作は、ほんのり背筋が伸びるような気持ちにも。こういった日本の伝統的な感性を日々の生活に取り入れるデザインは、何気ない日常に美意識を宿らせてくれるように感じられる。

革の風合いは時間とともに変化し、持ち主とともに味わいを深めていく。使う毎に動作を美しくしてくれる財布。ぜひ多くの人に体験してほしい。

所作

所作 銀座店


東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座B1F
営業時間 11:00~21:00
03-6263-8854

nonoyes.co.jp/ginza-shop
ginza@nonoyes.co.jp

所作 吉祥寺店



東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺PARCO1F
営業時間 : 10:00~20:00
0422-27-2335

https://www.nonoyes.co.jp/kichijoji/
kichijoji@nonoyes.co.jp

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