Vol.406

MONO

06 JAN 2023

ラグジュアリーで実用的なライカQ2とともに、満足度の高いカメラライフを。

スマートフォンで綺麗な写真を撮影し、SNSなどで共有するまでをワンパッケージで楽しむことができる今、デジタルカメラを所有する理由として注目されているのが「付加価値」。スマートフォンで正確な時間が分かるのに高級腕時計を身に付けるように、高級カメラの代名詞「ライカ」への関心が年々高まっている。ライカのカメラは高級なだけでなく使い方に知識が必要だったが、今回紹介する「ライカQ2」は、中身は一般的なデジタルカメラでありながら、ライカらしいラグジュアリー感も兼ね備えた機種。だれでもライカが楽しめる時代がやってきた。ライカQ2で、スマホカメラでは得られないカメラライフを楽しんでみるのはいかがだろう。

ライカとは?

往年の名機であるバルナックライカとライカQ2
言わずと知れた世界に誇るドイツのカメラメーカーライカ。その歴史は古く、創業は1849年まで遡る。1911年に入社したオスカー・バルナックが生み出した小型カメラによって、カメラ事情が一変。それまでは大判のフィルムと大きな機材で撮影するのが普通だったが、オスカー・バルナックのカメラは、映画用フィルムを転用した24×36mmのフィルムを装填した、気軽に持ち出せるものであった。

これを機に、ライカは本格的にカメラブランドとしてスタートすることとなる。24×36mmのフィルムは35mmフィルムの原型となり「ライカ判」とも呼ばれ、デジタルカメラ時代となった現代でも、センサーサイズの「フルサイズ」といったらこのライカ判のサイズが基準となっている。つまり、今では当たり前となっているカメラの基準を作ったのがライカであり、ライカの技術に追いつき追い越せと、世界中のメーカーが切磋琢磨した結果が、今のデジタルカメラまでの発展といっても過言ではない。

ライカのカメラが高価な理由

1940年製のライカIIIb。およそ70年経った今でも写真を撮ることが可能なのは造りの良い証拠。ちなみに当時は家が建つほどの値段をしていたとか
国内メーカーの最上位機種がおよそ50万〜70万円という価格帯のところ、ライカのカメラはおよそ100万円。レンズも、高額なものとなると100万円するものがあったりするので、ライカで写真を撮るためには大体200万円というお金が必要になってくる。

他のカメラとここまで価格差があるのは、大量生産ではなく、一部手作業も行って仕上げられている造りの良さにある。それを必要とする複雑な機構や高い精度も要因。昔のカメラのように、真鍮やアルミといった金属素材をふんだんに使っており、レンズに使われているガラスにも最高級品を使用している。こうしたカメラは、今ではライカ以外には存在しておらず、ライカでしか得られない使い心地や描写性能も、大きな付加価値といえるだろう。

M型とQシリーズ

M型の初代にして頂点である、ライカM3。1954年製造。基本的な構造はこのM3からほとんど変わっていない
ライカといえば、M型と呼ばれるレンジファインダー式カメラが主流であり王道だ。レンジファインダーとは、2つのレンズから映し出される像をファインダー上で重ねてピントを合わせるというもの。一眼レフカメラが登場するまではこのレンジファインダー式が主流で、その時代に頂点に君臨していたのがライカだったため、今でもその伝統としてライカといえばレンジファインダー式のM型を推す人がほとんどである。

ただし、M型はレンジファインダーという構造上、当たり前の機能であるオートフォーカスは一切使うことができない。また遠景撮影が苦手、近距離撮影も苦手ととにかく使い勝手が悪いのもポイントだ。この不便さを楽しむのもライカの醍醐味ではあるものの、カメラ初心者ではなかなか許容できないところではある。

Qシリーズの第2弾ライカQ2。およそ70万円と高額だが、M型がレンズ無しで100万円であることを考えると、レンズ付きのライカQ2はリーズナブルにも思えてくる
その点、ライカQ2をはじめとするQシリーズは、見た目こそM型のような雰囲気はあるが、フルデジタル仕様なので、オートフォーカスや追尾AFなどの当たり前の機能は全て備わっており、近接性能も高い。レンズは28mm単焦点レンズが搭載されており、これはスマートフォン搭載のカメラとほぼ同じ画角。スマホ撮影が主だった人でも違和感なく撮影できるはずだ。スマホのようにクロップ機能で擬似ズームすることも可能。5040万画素のフルサイズセンサーを搭載しているので、目立った画質の劣化も起こらない。

かつて、ライカと銘打った現代的なデジタルカメラは、協業関係にあるパナソニックが手掛けており、パナソニックテイストの強い仕様に生粋のライカファンは拒否反応を起こしていたものだが、ライカQ2は純粋なライカ製。ライカらしいシンプルなデザインと、金属素材で構成された密度感のある造りを肌で感じることができる。

無駄のないレイアウト。操作性は直感的で使いやすい

基本的にはデジタル制御だが、手動でピント合わせも可能。操作感は上質

底面の銀のつまみを動かすと、バッテリーが少しだけ飛び出るだけで引き抜けない。それを少しだけ押せばロックが外れて取り出すことができる。ライカらしい落下防止のための芸コマな仕事

ライカQ2一台で万能なカメラワーク

トラディショナルな外観に反する現代的な性能を有したライカQ2であれば、さまざまな撮影が楽しめる。そのバリエーションをご覧いただこう。

スマホでの撮影のように、目にした景色を即座に切り取ることが可能。アスペクト比を16:9にすればより広々とした写真になる

遠景のビルもしっかり映し出す解像力

ある程度、建築物を近くで撮影して迫力のある絵作りもできる画角

モノクロ表現に定評あり。モノクロしか撮れない尖った仕様のQ2も存在する

ライカQ2だからこそ出会えた光景

撮影範囲を28mm→75mmまで狭めて、擬似的な望遠で撮影。解像度が落ちている雰囲気は言われないとわからない

ライカQ2であれば、スマホでは荒れがちな夕方の景色をスマホ感覚で高画質な写真を撮ることができる

雨の滴を接写しつつ、イルミネーションを強くボカしてみた。防塵防滴性能が備わっているので、多少の雨が降っていても安心

接写機能のおかげでこんな不思議な絵作りも楽しめる

テーブルフォトもバッチリ

スマホで撮ったものよりも質感を感じる写真となっているのがお分かりだろう

新たな写真の楽しみ方に出会える、唯一無二のカメラ

以前はスマートフォンとの連動に難があったデジタルカメラ事情も、カメラメーカー各社が専用アプリをリリースすることで大きく改善している。特に、ライカがリリースしている「Leica FOTOS」という専用アプリは、カメラ本体との接続も良好で、比較的スムーズにスマホを介した共有を可能とした優良ソフトとなっている。

ライカが推奨している編集ソフトAdobe Lightroomとの連動もしっかりしており、スマホ内で細かい画像編集して、クオリティを底上げした写真を即座に発信することができる。ちなみにスマホアプリ版のLightroomは無料なので、気兼ねなく画像編集を突き詰めることができる。

スマホからSNSへ。プリントサービスでモノとして楽しむなど共有方法はさまざま
ライカQ2は決して安いカメラではない。ただ、ライカQ2のようにあらゆるニーズに高いレベルで答えているカメラは他には存在しないことに気づいてほしい。ライカのブランド力に気圧されることなくライカQ2に触れてみれば、写真を楽しむための新たな一面にきっと出会えることができるはずだ。

LEICA Q2