「ストームグラス」というアイテムをご存知だろうか。ストームグラスは、ガラス容器の中の液体がつくるさまざまな形の結晶を見れば、近い未来の天候が予測できるユニークなアイテム。天気管や気象管とも呼ばれ、ちょっと気になるインテリアとしても人気を集めている。今回はストームグラスの基本的な見方に加え、発祥や仕組み、置き場所をはじめとした取り扱いの注意事項も解説したい。
ミステリアスな魅力がたくさん。ストームグラスの歴史や見方とは
結晶がつくられる様子を見ているだけでうっとりするストームグラス。現代のように気象観測技術が発達していなかった当時は、実用性のある器具として利用されている。ここでは、ストームグラスの歴史や原理を見ていこう。
神秘的なインテリアオブジェ「ストームグラス」
ストームグラスは、少し先の天気を予測するための道具として19世紀に欧州で盛んに利用されていた。船乗りたちが航海する際、この器具によって天気を予測したという。日本には江戸時代に長崎から伝わったとされ、当時の器具が北海道で3本見つかっている。誕生の詳細には諸説があるが、コルチという人物が考案したそう。その後、イタリアからイギリスに持ち込まれ、気象学の開祖であるロバート・フィッツロイ氏も愛用していたと伝えられている。
ストームグラスは一般的に、透明なガラス容器の中に水やエタノール、硝酸カリウム、塩化アンモニウムなどの化学物質、それに加えて樟脳(しょうのう)と呼ばれるクスノキから抽出したエキスが入っている。
天気を予測できるストームグラス。その見方とは?
ストームグラスとは、中の溶液がつくる結晶を見ることで、その日の天気を予測できるもの。およそ6〜12時間後の天気を予測できるといわれている。
ストームグラスの原理は、気圧や気温などが結晶の形に影響しているという説や、大気電気学(惑星の大気の電荷についての研究)が関係しているという説がある。ストームグラスが置かれている場所の気圧や温度の影響で溶液が結晶化。あるいは、磁場や大気イオン、待機放電などの影響を受けて結晶化……。
いずれも決定的な科学的根拠があるわけではなく、詳しくは解明されていない。19世紀に用いられた技術が、現代においても未だに解明されていないとは、なんとロマンのある話だろう。
ストームグラスの見方一覧。結晶が示す今日の天気
ストームグラスの予測精度は現代の気象観測に比べるととても信頼できないが、日々見せてくれるさまざまな結晶の姿は見飽きることがない。ストームグラスは、以下の結晶の状態を組み合わせて天気を予測する。
澄みきった溶液が晴れの空を表す
晴れているときはストームグラス内の結晶が下に沈殿し、浮遊する結晶もない。快晴の空模様のように溶液が澄んで見えるだろう。
雨が降りだす前触れ
結晶が沈殿する量が少しずつ増え、溶液中に小さな星形の結晶が浮かぶと雨が降りだすサインだ。星形の結晶は降る雨の量や強さによっても変化する。次第に強い雨になる場合は結晶のほとんどが下に沈んで、大きな葉っぱのような形になるのが見られるだろう。降る雨の量が一定の場合も沈殿する結晶の量が増え、星形の結晶はゆらゆらと浮かび続ける。かわいらしい星形の結晶が見られるのは雨のときだけなので、まるでゆううつな気分を吹き飛ばすご褒美のようだ。
雪の日はガラスの中も銀世界に
雪の日は、ふわふわとした雪のような結晶が容器の高い位置まで積もる。現実世界と同様に、ストームグラスの中も雪景色のようだ。寒さによってはストームグラス内が真っ白になり、液体が見えなくなることもある。
強い風や嵐が接近するサイン
強い風や嵐の日は、大きな葉っぱの形の結晶が溶液の表面にまで達する。強い風や嵐が接近してくる方角の反対側に結晶が生じることもある。この葉っぱの形の結晶が見え始めるのは、嵐がくる24時間ほど前だ。また、嵐の前には透明な液体が濁り、ヨーグルトが分離しているかのように見える場合もある。
気温の高い日は結晶が見えにくい
気温が高い日は結晶がつくられず、完全に澄みきった溶液になることもある。夏の暑い時期はこの状態になりやすく、ずっと透明な状態が続くことも。結晶が見たくなるかもしれないが、急激な温度変化でガラスが割れるおそれがあるため無理に冷やしてはいけない。特に、冷蔵庫には入れないようにしよう。
気温の低い日は霧がかかったように
気温の低い日は、雪の日の状態のように溶液全体が白く濁って見える。寒さによっては透明部分がまったく見えなくなることも。また、小さな点状の結晶が浮遊することもある。
ストームグラスを飾るときは置き場所に注意したい
ストームグラスの容器はガラス製品。その中には化学物質を使用した液体が入っているため、取り扱いには注意したい。ここでは、ストームグラスの置き場所として適さない場所や、壊れてしまったときの対処法について解説する。
高温の場所では変化がよく見られない
ストームグラス内で結晶が変化するのは、室温が5~30℃の範囲とされている。日本の夏は気温が30℃を超えてしまう日も多いので、環境を整えなければ変化を楽しめない時期もあるだろう。冬場は暖房器具から遠ざけておくことも大切だ。
また、滑らかな曲面を持つガラスと液体は、条件が整うと太陽光を一点に集めることがある。火事の原因になるおそれがあるため、強い直射日光の当たる場所には飾らないようにしよう。
高所や不安定な場所は落下の可能性も
ストームグラスの容器はガラス製品のため、高い場所や不安定な場所に置くのは避けたい。万が一落として割れてしまったときは、すぐに換気を行い、液体がついた箇所を水拭きする。布類は洗濯しよう。念のため、掃除の際はマスクと手袋の着用をおすすめする。また溶液は燃えやすいため、掃除が終わるまでは高温になるものや発火するものを遠ざけておこう。
一般的なストームグラスであれば、溶液を大量に飲み込んだり目に入れたりしない限りそこまで危険ではない。ただし溶液には刺激臭があり、皮膚につくとかぶれることもある。もし体調に影響が出た場合は医師に相談しよう。
通販で購入するならぜひチェックしたい、おすすめのストームグラス
ストームグラスは通販でも気軽に購入できる。ここでは、ストームグラスを取り扱う3つのサイトをおすすめしたい。
TempoDrop Series|100percent
国内メーカーのストームグラスの代表格ともいえるのが、100percentの「テンポドロップシリーズ」。洗練されたデザインがどんな部屋にもなじみやすく、プレゼントにも最適だ。テンポドロップシリーズは、熟練した技を持つ職人によって一つひとつ丁寧に制作されている。無駄のないシンプルな見た目のため、インテリアと調和をとりやすいのがうれしい。一方で、めずらしいアンバー色を選べば、インテリアの主役にすることも可能だ。
Fun Scienceシリーズのストームグラス|茶谷産業
茶谷産業はインテリア雑貨や、Fun Science(ファン・サイエンス)シリーズとしてさまざまなストームグラスを取り扱う。茶谷産業の扱う商品の中で大人気なのが、ガリレオ温度計とストームグラスがセットになったオブジェ。
ガリレオ温度計とは、液体に浮いているガラス球体の動きで温度(気温)を読み取る器具のこと。この商品のガラス球体には温度を示す数字が刻印されているため、すぐに気温を把握できる。ストームグラスとあわせて、気温と天気の両方を予測してみても面白いだろう。木枠がついているデザインは見た目にもおしゃれで、部屋に飾りやすいのが魅力だ。
購入ページ:
https://www.rakuten.ne.jp/gold/lapin-happy-jewel-case/商品:
https://item.rakuten.co.jp/lapin-happy-jewel-case/333-s272/
海福雑貨のストームグラス各種
個性的なデザインのストームグラスがほしいなら、海福雑貨のストームグラスはいかがだろうか。海福雑貨では国内外の「一点もの」雑貨が多数取りそろえられている。通販サイトではすでに売り切れたものも含め、さまざまな形のストームグラスに出会えるだろう。海福雑貨で取り扱われるストームグラスは輸入品が主であるため、異国の情景やロマンを感じられるものも多い。シンプルな見た目の定番品に加え、台座が重厚なつくりになっているアンティーク調のストームグラスも必見だ。
HP:
https://umick.com/ストームグラス一覧:
https://umick.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=2222950&csid=0&sort=n
ストームグラスの見方を知れば日々の天気が楽しみに
ストームグラスは、天気に合わせて豊かな表情を見せてくれる。空模様を予測することはもちろん、置いておくだけでも遊び心のあるインテリアになるだろう。ストームグラスは冬のほうが変化を観測しやすいが、さまざまな形のものが発売されているためインテリアとしては年中楽しめるアイテムだ。日々結晶の形を変化させながら見る者を楽しませてくれるストームグラスを、ぜひ暮らしの中に取り入れてみてはいかがだろうか。
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3人を子育て中のフリーライター。趣味はフルート演奏。好きと楽しいを何より大切にしている。