Vol.288

MONO

19 NOV 2021

アップサイクルで素材に新しい価値を与える「wa/ter」

世界的に資源の有効活用への意識が高まり、持続可能な社会を作るための行動を積み重ねている方は多いだろう。よく耳にするリサイクルやリユースではなく「アップサイクル」という取り組みはご存知だろうか。アップサイクルとは捨てられる廃棄物や不要品に対して新たな付加価値を加え、元の製品や素材よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを指す。単に素材としての再利用を意味するリサイクルとは異なり、次元・価値の高いモノへと生まれ変わるアップサイクルは、リサイクルよりもサステナブルな考え方とも言えるだろう。そんなアップサイクルを意識した美しいプロダクトを紹介したい。

インテリアデザイン vs 大量の廃棄物

「wa/ter(ウォーター)」は廃材をなくすことを意識したプロダクトブランドで、インテリアデザイン事務所である株式会社DRAWERSが立ち上げた。DRAWERSはマテリアルの素材の良さを活かしながらインテリアデザインの設計を行い、美しさを追求することに注力しているが、それがいくら美しいものだとしても裏では大量の廃材を生んでしまっていたり、またそれを破棄するのにも費用が掛かる現状に疑問を感じていたという。そこから一度価値のなくなってしまった廃材に対して、デザインの力でまた新しい価値を与えたいという思いからwa/terは生まれた。

このプロダクトブランドを立ち上げる上で一番大切にしていることは、利益目的にならないことだという。できるだけ多くのゴミを無くし、ゴミは捨てられるためだけにあるのではなく、それぞれ違った価値が残っているということをできるだけ多くの人に知ってもらいたい。そのようにして、実際に数多くの廃棄物を目にしてきた彼らの想いは、洗練性のあるプロダクトとなって昇華されていく。

今回はwa/terが展開する「木材の端材を使ったブロック」「ブラウン管テレビのガラスを使ったオブジェ」「長年倉庫のデッドストックとして眠っていた石材からできたプレート」といった3つのプロダクトを紹介したい。

無機質に見えるが、どこか温かみを感じられるwa/terのプロダクト

BUILDING BLOCK

家具などを製作する過程で捨てられる木の端材を用い、リデザインされたブロックのBUILDING BLOCKはmaple(メープル・カエデ科の落葉広葉樹)とwalnut(ウォールナット・クルミ科の広葉樹)の2種類。塗装やワックスが施されていない無垢の木のままのため、木目や色味の差異やそれぞれが持つ美しさをダイレクトに感じられる。

maple(左)とwalnut(右)
木工家具の職人の手によって一つずつていねいに製作され、ブロックへと生まれ変わった。一つ一つ形が異なるブロックは、既製品の積み木のように積み上げていくのが難しいが、難しいからこそ木を意識しながら触り、木が持つ独特の温かみを感じながら積み上げていく楽しさを味わえるだろう。大量生産の機械では出せない独特の柔らかさがあり、不思議とずっと握っていたくなる形である。

小ぶりながらも存在感があるため、オブジェとしておくことで部屋の雰囲気を変えることもできる。mapleは全体的に白っぽく、絹のような質感でキメが細かくつるつるしており、北欧テイストのやわらかな雰囲気のインテリアやナチュラルなモダンテイストのお部屋とマッチする。walnutは茶色の濃淡のグラデーションが美しく、モノトーンテイストやスタイリッシュなお部屋のアクセントになる。ひとつとして同じカットがないブロックは、積み立てるだけでなく、部屋のさまざまな場所に置くことで、インスタレーションアートのように自由に空間を構成することができる。

それぞれ違うカットの面が作り出す陰影が印象的

HAMON

地上デジタル放送に移行に伴い発売終了となった、ブラウン管テレビディスプレイのガラスから作られたガラスのオブジェHAMON。

太陽光に照らすと煌びやかな影を作り出す
テレビの一部品としてのガラスから不純物を取り除き再度溶かし固めることで、目に留まる美しいオブジェとしてのガラスへと生まれ変わらせた。ブルーグレーの落ち着いた色味は着色されておらず、ブラウン管テレビのガラスの色味をそのまま生かしている。

その名の通り波紋(HAMON)を思わせる涼しげな見た目に癒され、手に取ると心地よいしっとりとした質感を味わえる。こちらも使い方は限定されておらず、アロマオイルをたらしたり、アクセサリーを置いたり、さまざまな用途で使うことができる。もちろんオブジェとしてお気に入りの場所に飾るのもいい。

高度経済成長を支えさまざまな情報を映してきた歴史ある工業製品が、現代的なガラスの塊に生まれ変わることなど誰が想像できただろうか。別の場所で長い歴史を積み重ねてきたHAMONは、自宅で新たにたくさんの時を重ねていくだろう。

画集を広げて、ペーパーウェイトとして使うことも

MARBLE PLATE

使われずに長年石材倉庫のデッドストックとして眠っていた大理石を、一枚ずつ割ったMARBLE PLATE。

カルダモン色の美しい筋が入っている
MARBLE PLATEからは、途方もない年月をかけて地中の温度や圧力の変化によって形成された自然界の造形美を肌で感じることができる。割れた断面の粒子を太陽にあててキラキラと反射させたり、艶のある平らな面と凹凸のある断面のコントラストを触ってみたりと、不思議と魅了されてしまう。

小物置きにしたり、耐熱性もあるためキャンドルを置いたり、コースターとして使用すれば食卓の雰囲気が一気に華やぐ。大理石自体は光をやわらかく反射させるため、空間を明るく見せてくれる効果もある。また、光の当たる角度によって表情が変わるため、広く目につく場所に置いておけば、さまざまな雰囲気を楽しむことができる。

古代ギリシアのパルテノン神殿やローマのコロッセオ、インドのタージマハルなど世界各地で使われてきた大理石。古来の人々も魅了し続けた美しい大理石を眠らせておくのはもったいない。数多く流出している人工大理石と違う、偽りのない艶や壮麗さがありながらもコンテンポラリーなフォルムの大理石のプレートは、嫌味なく部屋を都会的な空間にしてくれるだろう。

時計も余裕で置ける大きさのLサイズ

モノの価値は自ら考え決定する

自宅の一番のお気に入りの場所で飾りたい
アップサイクルという形で新たに生を取り戻したwa/terのプロダクトは、廃棄寸前だったものとは思えないほどすっと生活空間に馴染んでくれる。シンプルな形状でミニマムなデザインのため、使い方は千差万別だが、そのままオブジェとして置いておくだけでも、長い年月の間にできた自然の造形美を感じられたり、あらゆる場所を旅してきた歴史を感じられたり、飽きがくることなく楽しめる。部屋にちょっとした変化をもたらし印象的な空間にしてくれるため、今のインテリアに飽きたという方にもおすすめしたい。

情報が氾濫し、さまざまな価値観に溺れることもあるが、振り回されることなくモノの価値は自分で決めていきたい、そう思わせるプロダクトでもある。どのように使うか、そしてプロダクトの価値を決めるのは、あなた次第である。

wa/ter

https://water-sup.com/

BUILDING BLOCK maple・walnut 6,600円(税込)
HAMON 90φ 9,900円(税込)
MARBLE PLATE (L) 9,900円(税込)