Vol.254

MONO

23 JUL 2021

DRAW A LINEで、自由なインテリアを考える

暮らし方や働き方が多様化されたことで部屋の役割もまた変わってきた。朝から夜まで過ごすことも増えたし、これまで部屋に必要のなかったものを新たに設えた人も多いだろう。特に、急増する在宅ワークを選択した人は、ワークスペースの確保に頭を悩ませたかもしれない。一人暮らしのワンルームでテトリスをするように、インテリアの配置を試してみたけれど、突然訪れた生活の変化に順応するのは簡単ではないようだ。新しい生活に対するソリューションが次々に生まれているが、問題を解決する鍵のひとつは、インテリアの多様化に潜んでいるのかもしれないと思わされるプロダクトに出会った。
それが、突っ張り棒インテリアの「DRAW A LINE(ドローアライン)」。伸縮自在な細い棒という利点を活かした、インテリアの新しいカタチだ。この記事では、商品を使ったインテリアの実例や、使い心地を紹介する。

突っ張り棒で、部屋の中に一本の線を描く「DRAW A LINE」

暮らしを大切に考える人ほど、インテリアにも相応のこだわりを持っていることが多いだろう。こだわりが強いほど、思い通りのデザイン・サイズのインテリアを見つけるのは、時間もお金もかかる。インターネットでいくらでも検索できる時代でも、スムーズにいかないのはなぜだろうか。それはこれまでの決められたカタチ、決められた使い方だけでは、ニーズに対応できなくなってきているからではないだろうか。

より自由度が高く、誰にでも受け入れられるデザインのインテリアが求められているのだ。

今時点でそのニーズを抱える人々におすすめしたいプロダクトが「DRAW A LINE」だ。

突っ張り棒を垂直水平に立て、棚板やパーツを自由な位置に取り付けられるというもの。突っ張り棒元来のイメージとかけ離れるかもしれないが、かなり高級感のある仕上がりだ。

垂直方向、水平方向への取り付けに加え、移動式のタイプも登場
製造販売は1952年創業の老舗突っ張り棒メーカーの平安伸銅工業によるもの。このような製品の開発にいたったきっかけを平安伸銅工業の製品を使ってライフスタイルの提案を行うエバンジェリストとして活躍する萬(よろず)さんに伺った。

「突っ張り棒は定番アイテムとして長く愛用される一方で、どこでも手に入る商品となりました。そんな中、突っ張り棒を日本に普及したメーカーとして今の暮らしに合った形で再提案したいと考えました」

昔の様にヒット商品を出したい。そのためにどうしたらいいか?模索が始まった。それを叶えるべく手を組んだのが、クリエイティブユニットのTENTだった。

「当社代表の竹内は、突っ張り棒はすでに飽和状態だと当初は考えていたようですが、TENTさんからのご提案はブランドが培ってきた技術を十分に活かせる内容でした。こうして暮らしの裏方で使われ縁の下の力持ちとして認識されていた突っ張り棒が、暮らしの表方としてインテリア性を高めた状態で再び脚光を浴びることとなったのです」

プロダクトデザインの枠を超えた新しいコンセプトの創造に着手し、空間の中に1本の線を描いたかのような、これまでにない新しい概念の突っ張り棒を公案したそう。

[DRAW A LINE] Teaser Movie

DRAW A LINEのティザームービー

新しいワークスタイルと、一本の線

都市部などでミニマルな部屋に暮らす人は特に、省スペースで自由なレイアウトが可能なコンセプトに心を打たれたかもしれない。自身も小さなワンルームで生活する筆者が実際に取り付けた様子をご覧いただきたい。

まずは、「DRAW A LINE」のラインナップの中でも縦方向設置専用のTension Rodを使ってワークスペースの整理に臨んだ。

本体はTension Rod C White 200~275cm 縦取付 D-C-WH(¥6,270)。パーツは別売り
プロダクトの画像を見ただけで、この一本の棒が私たちの暮らしに与えてくれる変化が次々に浮かんだが、真っ先に解決したいのがワークスペース周りの配置だった。

オフィスに通わない生活が続き、ちょっとしたデスクを用意したり、PCモニターやセカンドディスプレイとしてのiPadを購入した人も多いだろう。しかしそれらを、生活スペースを侵さない程度に配置し、仕事のできる環境としても適切な状態を保つのにはかなりの計算が必要だった。実際、ワークスペースとリビングスペースの境界が曖昧になりがちだった節がある。

細かい位置調整は後からでも可能だ
取り付けはとても簡単だった。取り付けたいパーツは突っ張り棒を立てる前にあらかじめ装着しておく。ポールに輪っかを通すようにパーツを装着し、真鍮のボルトをネジ回しすることで固定される。非常にシンプルで簡単だ。

通常の突っ張り棒と同様、アジャスターを回転させることで突っ張りの強度を調整させることができる
実際に触れて感じた、ひんやりした金属の質感はとても心地の良いものだった。落ち着いた高級感を放つマットな塗装に対し、真鍮製の留め具は控えめに光を放つ。バランスの取れたデザインだと感じた。

iPadを拡張ディスプレイとして活用する際の置き場として最適なテーブル
開封してから5分で部屋の中に突如現れた一本の線。取り付けた部品は、テンションロッド、アンプアームとシェードのセット、電球、J字のフック、ミニテーブル2つだ。

⇨Tension Rod C Black 200~275cm 縦取付 D-C-BK
⇨Lamp Arm S Black 縦取付 D-BLS-BK
⇨Hook A Black 縦取付 D-HOA-BK
⇨Table A Black 縦取付 D-TA-BK

もともと使っていたデスクを隣に並べて置くと、あっという間にワークスペースの完成。
テーブルにはMacBookと接続したiPadを置いた。これによって作業机の上をすっきりさせたまま、モニターを増やすことができた。Tension Rodの上部に取り付けたフックにはドライフラワーを吊るし、部屋の雰囲気に順応するスタイリングに。部屋にたった一本の線を追加するだけでこんなに完成度の高い空間づくりができることに驚くとともに、ワークスペースが整頓されたことで仕事へのモチベーションも急上昇した。

インテリアの課題の一つに、玄関とワンルームを仕切る扉の存在があった。扉の開け閉めを考えると、ここに棚は置けないし、机を端まで寄せることもできない。諦めざるを得ないデッドスペースだった。しかし突っ張り棒なら最小限のスペースで棚を設置できる。これまで使うことのできなかったスペースを活用することで、部屋全体を広く使うことができるようになったのだ。

食生活に合わせたキッチンと収納

本体はMove Rod Black D-MR-BK(7,480円)。パーツは別売り
続いて取り組んだのはキッチン収納の整理。趣味である料理研究に使用する、たくさんのスパイスやハーブをMove Rodで収納してみた。

組み立ては全て工具不要。ねじ回し等の簡単な作業で完成する

どんなキッチンにもなじむシンプルなデザイン
取り付けたのはトレイ2つ。スパイスの用途や使用頻度別にカテゴライズしたトレイにすっきり収納させることができた。

⇨Move Rod 縦取付 D-MR-BK
⇨Tray Black 縦取付 D-T-BK

Move Rodを取り入れる前は、必要なスパイスを逐一段ボール箱から取り出し、キッチンに並べ、一つ一つ移動させなくてはならなかった。しかしこれなら、ガスコンロの近くで使いたい時も、広い作業台で使いたい時も、自由に移動させることができる。一本の線を、部屋の中で自在に動かせるということの便利さを実感した。


心地よい部屋をカスタマイズする

生活が変われば、毎日使う部屋のカタチも変わっていくのは自然なこと。昨今のようにワークスタイルの変化という大きなトピックがあれば尚更だ。「DRAW A LINE」は、一度決めたパーツの位置を細かに変えることができる。いくつかのパターンを試してみることで、自分が本当に必要とするインテリアを探るための実験にもなりうるだろう。

ここでいくつかの使用例を紹介する。

玄関の限られたスペースを使って、帽子やシューズの収納ラックに

Tension Rodを横取り付けにすることで、クローゼットの棚下に収納スペースが生まれる

子どもの成長に合わせてフックの高さを変えることもできる
少ない空間に、一本の線を引くことでそこに新しいスペースが生まれる。また、細かな調整が効くため長きにわたってライフスタイルによりそうインテリアとしての役割を果たせる。

シンプルで自由度が高く、アイデア次第でいくらでも広がる活用法に、ワクワクしてしまう。
筆者は部屋に導入してから数日たったが、かつてデスクを置いていた窓際があいたので、自由に使えるスペースとなった。新しいインテリアを増やしたのに、部屋を広く使えるようになるのは不思議な気分だ。

そこにお気に入りのベンチを置き、Move Rodをサイドテーブルとして使ってみた。コーヒーを読みながら読書やアニメ鑑賞をする、いい時間が流れる。

今度、Tension Rodのライトの位置をもう少し手元に近い場所に変えてみようと思う。それから、洗濯機周りの収納も整理したい。既製品なのに自由度が高いから、こんなふうにやりたいことが次々に浮かんでくる。

今のインテリアにしっくりこない人や、部屋をより広く使いたいと考える人が、テコ入れをする手段としてとっておきのアイテムだ。
画像提供:平安伸銅⼯業株式会社

DRAW A LINE