コンフォータブルな違和感
YROEHTのブランドの核となるコンセプトである「コンフォータブルな違和感」。それは一体何を指すのだろうか。
「空間に緊張感を走らせる異質性、つまり違和感のあるものを空間に投入すると、逆説的に心地よく浸っていたい(コンフォータブル)空間になると考えています。
そこにあえて"違和感のある"ものを投入することで、かえって今までよりもコンフォータブルな空間ができあがるのではないだろうか。理想のプライベート空間は、単にリラックスできる場所ではなくて、常に心地よい刺激をもたらしてくれる場所であるべきなのではないかと考え、YROEHTを立ち上げました」
職⼈の⼿仕事が光るyrohako
「貼り箱は奥が深く、こんなにも工匠やクラフトマンシップが詰まっているのにもかかわらず、 あくまでも包まれるものや入れるものが主役で、箱は“従”になる前提でしか設計されていません。これは非常にもったいないことだなと感じました。そこで YROEHTの枠組みで収納ケース自体をインテリアオブジェクトに昇華することができたら、プライベート空間に対する新しい提案になるかもしれない。そう考えて開発に取り組むことにしました」と話している。
包装資材としての貼り箱は、質素だったり輪郭がぼやけているものが多く、インテリアとして活用しにくく、さらに日常使いするには強度や耐久性が不足しているという。そこでYROEHTは伝統的な貼り箱の製法をベースとしつつ、制作プロセスや素材を抜本的に見直した。箱の構造上、厚みのある紙材を使いながらシャープな線を作り出すことは難しいが、昔ながらの技巧に立ち返り、新しい発想でモノづくりを見つめ直すことによって、エッジの効いたシェイプを作り出すことに成功した。
日常風景を落とし込んだカラー
カラーは黒、白、黄、といった普遍的な色名ではなく、アスファルト、セメント、ザッソウ、ノバナ、フェンス、アレイネオンといった色名。その理由はアスファルトを敷き詰めた道路、セメントを固めて作った建造物、空に向かい無造作に伸びるザッソウといったように、「いつも当たり前にそこにあるのに忘れさられている景色/どんな街にも存在する風景」から抽出されたカラーを使用しているからである。
「コロナ禍で“外に出かける事”への考え方に変化が生まれ、目的や目的地のない移動が増えたことで、今まで見過ごしていた景観が視界に入るようになりました。同時に “外”という大きなパブリックスペースを構成している美しいマテリアルの存在を再認識し、“見過ごされている風景”をデザインコンセプトにしようという発想が生まれました」と垣下氏は話す。
アスファルトやセメントといったマテリアルを抽象化して色彩として落とし込み、オブジェクトとしての異質感をさらに感じさせ、コンフォータブルな違和感を表現した色を作り上げた。印象的なブランドカラーのイロエットイエローは、リラックスや調和を連想する僅かなグリーンに、新奇性や刺激的なものを連想させるイエローを多めに混ぜて作ったオリジナルカラーで、コンセプトであるコンフォータブルな違和感を体現している。
それぞれのカラーを組み合わせて飾ることで、頭の中にある見過ごされた風景の記憶にアクセスし、その結果これまでの閉じたプライベートではなく、ぼんやりとパブリックな空間と繋がるような感覚になる。
プロダクトとアートの間のオブジェクト
プロダクトという言葉はどこか商業感を感じさせ、機能性が前面に出てしまう。アートという言葉もどこか崇高で排他的な感覚があり、アートのように鑑賞するだけのものではなく、プロダクトとアートの中間にあたるような存在でありながら空間に調和と刺激をもたらすもの、すなわち「オブジェクト」であることを強く意識しつつ、垣下氏はyrohakoを制作しているそうだ。今存在している言葉で一番しっくりくるのがオブジェクトであるそうだが、ジャンルには固執してないという。
「プロダクトが持つ機能的な部分は、相手に解釈の余白を与えないため受け手としては楽ですが、モノと人との関係性が切り離されている感覚がありどこか虚しさを感じてしまいます。機能性が削ぎ落とされ使い勝手が不明瞭なモノは、その余白にその人の個性や価値観、ライフスタイルが流れ込んでいくので、人とモノが分離された関係性になりにくく、そのモノを保持している時の愛情だったり高揚感のレベルが違うと感じています。そこを意識して作っています」と話す。
プロダクトとしてものを入れて保管しても、アートのように鑑賞する気持ちで部屋に飾っても良い。見せる収納として積み上げていくのも良いだろう。使い方は個人に委ねられている。サイズもXS、S、M、Lと4種類あり、好きな色と好きな大きさを選ぶことができ、さまざまな色や大きさを組み合わせたり、同色でサイズを揃えたり、部屋のテイストや大きさに合わせてチョイスすることが可能だ。
Lサイズは大きな本や靴なども収めることも可能。Mサイズは服やガジェットなどを入れたりできる大きさ。Sサイズはティッシュボックスがすっぽり入り、サングラスや時計など身の回りのものを入れておくのにちょうどいい。XSサイズは大事な小物を入れたり、箱の中に小さなフラワーベースを入れて、一輪飾ってみたりなど、そばに置いておきたいサイズ感だ。いずれも収納としてもインテリアでもあり、収納としてもインテリアでもない、不思議な存在感のあるオブジェクトとして空間に佇む。
これからのプライベート空間を作る
今まで作り上げてきた心地の良い空間も、yrohakoを加えてみるとこれまでと違った景色になるだろう。変化の多いこれからの時代を生きるための居住空間を、yrohakoで作り上げてみてはいかがだろうか。
yrohako
XS 1,400円/S 2,100円/M 3,800円/L 4,500円(全て税込)
https://yroeht.jp/yrohako/