Vol.525

MONO

27 FEB 2024

あの「突っ張り棒」がスタイリッシュな棚に。賃貸物件にも使える「AIR SHELF(エアシェルフ)」

賃貸物件に住む中で、インテリアの制限に不自由を感じる人は少なくない。たとえば、棚やフックを設置したい場所があったとしても、壁や床、天井などの現状回復を考え、置き型の家具で妥協している人もいるだろう。そこで今回ご紹介するのは、賃貸物件を傷つけることなく場所も高さも自由に設定でき、なおかつスタイリッシュなデザインが魅力の「AIR SHELF」という新しい製品。インテリアに悩みがある方に、ぜひ読んでみてほしい。

第三のシェルフ「AIR SHELF」とは?

スタイリッシュな棚。AIR SHELF
「AIR SHELF」は、突っ張り棒のトップシェアメーカーである平安伸銅工業と、デザイン・イノベーション・ファームTakram(タクラム)のコラボレーションブランド。壁を傷つけず好きな高さに美しい棚を設置できるシェルフシステムであり、なおかつハイブランドの壁付けシェルフのようにすっきりとしたデザインと、実用性も兼ね備えた製品を目指し、開発された商品だ。

以前、ZOOM LIFEでご紹介したことのあるDRAW A LINE(ドローアライン)も、同じく平安伸銅工業のプロダクト。DRAW A LINEはインテリア・雑貨という立ち位置にあったが、今回の「AIR SHELF」は家具としてのラインナップで、置き型家具でも壁にビス打ちが必要な家具でもない、第三のシェルフとして発表された。

場所を選ばない自由度が魅力

狭い場所にも設置可能
「AIR SHELF」の長所は、どこにでも、好きな場所に棚がつけられること(注1)。上の写真は、奥行きや幅がなく、部屋のデッドスペースになりがちな場所に取り付けた例だ。置き型家具の場合は、設置場所に十分な幅・奥行きが必要で、部屋に圧迫感を与えがちだが「AIR SHELF」は上下の設置面を最小限にすることが可能で、設置場所を選ばず、部屋全体の印象をすっきりと見せてくれる。

注1:テンションがかかりづらいため、畳や絨毯の上では使用いただけません。

突っ張り機構のため、設置面が少ない
突っ張り棒の特性上、取り付け、取り外しが簡単で、移動したいときも気構えることなく実行できる。重たいアクセサリーも少なく、工具は付属しており、六角レンチとスパナだけで取り付け可能なシンプル設計。力の弱い方でも簡単に組み立てることができそうだ。

広さが限られる玄関周りでも大活躍

用途・場所ともに制限なく、自由に活用しやすい
「AIR SHELF」は、単なる飾り棚ではなく、しっかりとした家具としての立ち位置を明確にしている。アルミの押出成形と独自開発した柱との固定方法により、13.5mmの薄さでも重さに耐えうる頑丈さと美しい佇まいを実現。耐荷重はアクセサリーを含め全体で30kg、棚単体では10kgと、重さがあるものも載せられる。用途や場所の制限を受けず、あらゆるシーンで活用できそうだ。

棚としての機能面を兼ね備えながら、これほどシンプルでスタイリッシュな製品はなかなか見ることはなく、賃貸物件住まいのインテリア好きにとって、非常に嬉しいプロダクトであることは間違いない。

空間ノイズを減らすための創意工夫

Takram プロダクトデザイナー/サービスデザイナー岩松直明氏
今回、デザインを担当したTakramのプロダクトデザイナー・岩松氏に話を伺った。

一見シンプルで単純な仕組みにも見える「AIR SHELF」も製造上の課題が多かったという。「アクセサリーの型をつくる際に、樹脂を型に入れ、固めた後に型から抜ける形にするということが難しかった」と岩松氏。

展示会場には設計アイデアを記したノートやたくさんの細かいアクセサリーが置かれていた。このシンプルなデザインは、試行錯誤しながらつくりあげた一つひとつの細かいアクセサリーの結晶だ。

本をすっきり見せる「Bookend(ブックエンド)」
アクセサリーそれぞれや、置いたものたちが部屋のノイズにならないような工夫が凝らされていることが伺える。「AIR SHELF」には、ジャケットやバッグといった小物をかけるのにも役立つ「Hook(フック)」や、上の写真の「Bookend(ブックエンド)」、電源タップを隠せる「Cover(カバー)」や、配線を目立たなくできる「Cable Guide(ケーブルガイド)」といったアクセサリーがあるが、どのアクセサリーも非常にシンプル。

コード類は専用アクセサリーで溝に固定

電源コードも隠せるアクセサリーも
現代において、部屋のノイズになりやすいのが電気製品がコード類。この悩みも「AIR SHELF」によって解決できる。柱となる「Pillar(ピラー)」には、コードが隠れる程度の溝がある。溝に沿わせながら、アクセサリーで固定することでしっかりとコードが隠れる仕組みだ。電源コンセントも別のアクセサリーの中に格納できる。

「AIR SHELF」は、そのもの自体のデザイン性だけでなく、設置空間全体の美観まで配慮されている。見せたいものは引き立たせ、隠したいところはしっかり隠すことができる優れたUIデザインだ。

実際の使い心地は?

アクセサリー毎に箱に入って届く
実際の使い心地を検証すべく、早速取り寄せてみた。各アクセサリーごとに箱詰めされている。箱のデザインもシンプルで高級感が感じられる。

小さな箱に入ったオプションアクセサリー
安価な家具だと備品は一袋に梱包されていることが多いが「AIR SHELF」は小さなアクセサリーも個包装で、しっかりと緩衝されている。

付属の六角レンチとジャッキで組み立てが可能

垂直に立て、六角レンチで固定していく
全ての工程が付属の六角レンチとスパナのみで組み立てられ、柱が立つまでにさほど時間はかからなかった。ただし、ご覧の通り筆者の自宅は襖戸や長押が残る古い家。この真っ白なシェルフが馴染んでくれるか内心不安なまま作業を進めていった。

棚板は好きな高さで固定
一般的なシェルフの多くは高さが決まっていたり、一度決定すると変更が困難だったりする商品が多い。「AIR SHELF」の場合、棚板は好きな高さで固定することができ、調整しながら何度でも変更することができる。この点は、とても扱いやすく感じた。

Pillarを並べて棚板で連結することも可能
ものをたくさん置きたい場合は、複数台並べると幅が広げられるのも嬉しい。部屋の模様替えをする際にも拡張も縮小も可能であることはメリットになるはず。Pillarと名付けられた柱を立てたあとは、棚板やアクセサリーを付けていく。

存在を主張しない「bookend(ブックエンド)」

電源コードを隠せる「Cover(カバー)」

配線コードを隠す「Cable Guide(ケーブルガイド)」

インストール完成
リビングに置いてあった雑貨や本、照明などを置いてみた。心配していた古民家風の内装にも違和感がなく、むしろ良く馴染んでいるように思う。ZOOMの部屋なら、もっと素敵になりそう。

すっきりとしたデザインの魅力だけでなく、ちょっとしたデッドスペースにも棚を設置できることや、一人でも設置・移動ができる手軽さ、コードもすっきりと隠れること、すべてが機能的で嬉しい限り。

進化する棚で暮らし軽やかに

スタイリッシュな部屋になる「AIR SHELF」
日常のさまざまなシーンで、機能性とデザイン性のどちらを優先するか取捨選択を迫られることがある。とくに部屋選び、家具選びにおいては、実用面を考慮するがゆえにデザイン面は少々妥協している方は少なくないはずだ。その悩みを生活の便利アイテムである「突っ張り棒」が解決してくれるとは予想外だった。

実を言うと、筆者はこの製品を知る前まで、突っ張り棒に対して生活感溢れるイメージを持っていた。インテリアとして表側に出すものではなく、クローゼットや物置など、あくまで普段見えない場所に使用するものだと考えていたのだ。

今回、実商品を設置してみて、本当に良い意味で期待以上だった。「AIR SHELF」は一人ひとりが持つ美意識や個性を大切にしながらも、実用的な機能性を保持した製品であり、住まいが賃貸物件であってもインテリアにこだわる楽しさを体感させてくれた。

「機能性とデザイン性、どちらも妥協したくない」

それが本音の皆さんに、ぜひ「第三のシェルフ」を体感していただきたいと思う。

平安伸銅工業 AIR SHELF