Vol.249

MONO

06 JUL 2021

一輪挿しに合う花の選び方は?暮らしに彩りを添えるアイデアを紹介

一輪挿しは「いちりんざし」と読む。一輪挿しとは、花を一輪生けるために作られた花瓶の種類の一つだ。 日本では昔から一輪挿しが愛されてきた。一輪挿しの文化は平安時代にはすでに始まっており、清少納言の「枕草子」には花瓶に1本の花を生ける様子が描かれている。また、茶人である千利休が一輪の花を飾って豊臣秀吉から称賛を受けたという逸話も残っている。 一輪挿しにはどのような花がおすすめなのか。また、どのような種類の一輪挿しを使えばよいのか。まずは一輪挿しに生けやすいとされる花の選び方から紹介しよう。

一輪挿しは花の選び方が大切。おしゃれに生けるポイントとは

茎がまっすぐで太い花は飾りやすい

一輪挿しには「枝分かれがなく茎がまっすぐな花」が基本

一輪挿しの花を選ぶ際には、枝分かれしていないもので、茎が花瓶の中にきれいに収まるものを選びたい。茎が太くしっかりしている花はまっすぐに立つので、初めて一輪挿しを使うという場合でも上手に花を飾りやすいだろう。シュッとまっすぐ伸びた花は、スタイリッシュなインテリアにもなる。一輪挿しは背が高く細身のものが多いので、デザインや雰囲気を壊さない花を選びたい。

年中手に入る花を選ぶと管理しやすい

せっかく花を飾るのだからと、季節に合わせたいろいろな花を選びたくなるかもしれないが、初心者は通年入手できる花を選ぶのがおすすめだ。そうすることで管理の方法を変えることなく、気軽に花を楽しむことができる。花との暮らしに慣れてきてから、季節ごとの花を選ぶようにするとよいだろう。

花束からお気に入りを選ぶとまとまった印象に

一輪挿しは基本的に1本の花を生けるものだが、複数の種類の花を生けてもかまわない。どの花を組み合わせてよいか迷ったら、花屋で売っている花束を選んでみよう。花屋で作られる花束は、持ち帰った人が生けやすいよう、花の色合いや相性を考えて組み合わせられている。その中からお気に入りをチョイスすれば、複数の花を生ける場合にも失敗がない。好きな花がある場合は、その花を含めた花束を作ってもらおう。

生けるときは花と一輪挿しのバランスを大切に

一輪挿しは、何も考えずに花を入れるだけでもかわいらしく見えるもの。しかし、せっかくならば花がもっとも美しく見えるかたちで生けたい。一輪挿しに花を美しく生けるポイントは、一輪挿しと花のバランスだ。茎が長すぎるのはよくないが、短すぎても見栄えが悪くなってしまうため、切りそろえる際には注意をしたい。花をバランスよく生けられる比率は「1:1」と覚えておくとよいだろう。花瓶の長さ1に対して、花の長さが1〜1.5倍になるのが最適だ。

一輪挿しには花以外も。自分らしい選び方で楽しみたい

ガーベラは色のバリエーションが豊富

初めての一輪挿しなら「ガーベラ」がおすすめ

一輪挿し初心者にぜひおすすめしたいのが、ガーベラ。ガーベラは枝分かれがないため一輪挿しに収まりやすく、枝が太くて安定感があるので飾りやすい。また、通年入手しやすいこともおすすめできるポイントだ。ガーベラの種類は2,000種以上あるといわれており、色のバリエーションが豊富なので飽きることなく飾れるだろう。

ガーベラの花言葉は「希望・常に前進・辛抱強さ」だ。前向きな気持ちになりたいときにもおすすめしたい。

季節の花を生けて部屋に彩りを

ヒマワリは小ぶりのものがおすすめ
一輪挿しに慣れてきたら、季節ごとの花を飾ろう。春はチューリップやミモザ、バラ。夏はアジサイやヒマワリ。秋はコスモスやダリア。冬は椿やフリージアなどがある。

花の日持ちは種類によって異なるが、季節によっても変わってくる。夏は水温が上がるので4〜5日程度、冬は10日〜2週間程度が目安。夏に花を長持ちさせるためには、できるだけ涼しい場所に花を置くようにしよう。ただし、冷房の風が直接当たる場所は避けたい。また、茎をよく洗ってから切り戻しをおこない、枯れた部分は切り取るようにするのも長持ちのコツだ。

ハーブや木の枝、ドライフラワーなら落ち着いた雰囲気に

アジサイのドライフラワー
一輪挿しにはハーブや木の枝、ドライフラワーもよく似合う。特に暑い時期は花の日持ちが悪くなるため、長く楽しめるハーブがぴったり。ハーブは見た目の生命力だけではなく、ラベンダーやカモミールのように香りを楽しめるものが豊富にある。また、モミジのように葉の色づきを楽しめる枝や、ローズヒップや南天など実のついた枝などを飾ると、個性的な空間を演出することができる。

お気に入りの花をドライフラワーにして飾るのもよいだろう。ドライフラワーは手入れをほとんど必要とせず、一輪挿しに1本挿すだけでもおしゃれに飾れることから、生花にこだわらない人にぜひ試してほしい。ドライフラワーは自分で作らなくても、花屋や雑貨屋で簡単に手に入れることができる。

花の魅力を引き出す、こだわりの一輪挿し

ガラス製の一輪挿しは、どんな花にも使える万能選手

ガラス製の一輪挿しは初心者にもおすすめ

一輪挿しとして、一つは持っておきたいのがガラス製のもの。水中の茎部分まで見えるガラス製の一輪挿しは、ガラスの透明感が花を魅力的に見せてくれる。また、一輪挿しを日が射す場所に置くと、花瓶に光が通ることでキラキラとした美しさが増すだろう。ガラス製の花瓶は置いておくだけでもインテリアの役割を果たすうえ、比較的どんな花にでも合わせやすいため、初心者にも扱いやすい。

陶器製や木製の一輪挿しで個性とセンスを演出

試験管を使った個性的な一輪挿し
新たに一輪挿しを購入したい人や、よりインテリア性を求めたい人は、陶器製や木製のものを選ぶとよいだろう。陶器製の場合、花との合わせやすさで選ぶなら茎の部分が隠れる白の陶器がおすすめ。色やデザインが個性的な一輪挿しは、花との合わせ方でセンスが問われるので気をつけたい。

木製の一輪挿しは木目の美しさやナチュラルさが最大の魅力だが、生ける花で雰囲気が決まるためアート的なセンスが必要となる。合わせるインテリアも比較的限られてしまうが、和のテイストや北欧風の部屋によく似合うアイテムだ。

陶器製と木製の一輪挿しはどちらも落ち着いた雰囲気を演出できるが、生ける花とのバランスをとるのが難しい。しかし主張を持ったインテリアとして一輪挿しを使うなら、こだわって選ぶこともまた楽しめるだろう。

壁掛けタイプの一輪挿しで「大人おしゃれ」なテイストを

一輪挿しは置型タイプが多く販売されているが、花瓶を置くスペースがない人には壁掛けタイプの一輪挿しをおすすめしたい。壁掛けタイプの一輪挿しは、殺風景になりがちな壁のワンポイントになり、大人っぽくおしゃれな雰囲気を演出できる。

また、壁掛けタイプはふとしたときに花瓶に当たって倒してしまう心配がないので、安心して飾ることができる。壁掛けタイプの一輪挿しにもガラス製や木製など多くの種類があるので、インテリアの雰囲気に合うものを選べるのがうれしい。

一輪挿しの花はひと手間加えるだけで長持ちする

直射日光が当たらないようにカーテンで保護したい

水換えのときにひと工夫

一輪挿しの水換えは1日1回おこなうことが望ましい。花瓶に生けた花がしおれてしまう原因は、生けている水の中で雑菌が繁殖してしまうことが大きいといわれている。花屋では花を長持ちさせるための薬剤が販売されていることがあるが、こうした対策は家庭用の食器用洗剤でも十分に代替できる。水換え後の花瓶の中に食器用洗剤を1滴入れておくと、水中の雑菌繁殖を防げるとされているのだ。
また、葉が水に浸からないように、生ける前に葉を切っておくのもポイント。さらに、水換えのたびに茎の根元を少しだけカットすることで、切り口が新鮮になり水の吸い上げがよくなることも覚えておこう。

飾る場所にも気をつけたい

一輪挿しは花瓶の中の水が少ないため、直射日光による高温に弱いのが特徴だ。水が高温になってしまうと花の傷みが進んでしまうので注意したい。また、直射日光が当たらない場所でも、日中高温になる場所は避けるのがポイント。だからといって冷たい風が強く当たる場所に置いておくと、吸い上げる以上の水が蒸発してしまうので気をつけよう。
花にとって快適な場所とは、風通しがよく直射日光の当たらない、明るい場所。日がさんさんと降り注ぐ場所である必要はなく、「明るい日陰」程度の場所が最適なのだ。

一輪挿しにとっておきの花。生活にささやかな彩りを添えよう

一輪挿しがあるだけで、リビングがパッと明るくなる
部屋に花があると、それだけで明るい気持ちになる。しかし、日常で花を生ける習慣のない人が急に大きな花束を花瓶に生けたり、フラワーアレンジメントや生け花を始めたりするのはハードルが高いだろう。

一輪挿しは、花の選び方や生け方のポイントさえ知っていれば、誰でも簡単に取り入れられるのが魅力だ。花の種類はもちろん、一輪挿しも種類が豊富にあるので、部屋に合ったものを選ぶのも楽しみの一つといえる。まずは、ガーベラのような初心者でも始めやすい花から挑戦してみてはいかがだろうか。毎日の暮らしに花や緑があるだけで、気持ちにゆとりが生まれるはずだ。