近年、インテリアやファッションなどの北欧ブランドのアイテムは、私たちのライフスタイルを充実させてくれる存在として定着している。そんな中、注目の北欧インテリアブランド「アルテック」のフラッグシップショップ「Artek Tokyo Store」が東京・表参道に2019年4月27日に登場。モダンかつファンクショナルでありながら、自然との親和性も高いプロダクトをプロデュースしている。そんな「アルテック」のブランドの歴史とともに、プロダクトを通して垣間見える日本との共通性を紹介していこう。
独自の哲学を持つ創業者、アルヴァ・アアルト
アルテックは1935年、たった4人の若者によりフィンランドのヘルシンキで設立された。まずは、創業者の一人であるアルヴァ・アアルト(1898 - 1976)を紹介したい。
アアルトはフィンランドを代表する建築家で、生涯200を超える建物を設計し、「北欧の賢人」とも呼ばれた人物だ。インテリアへの取り組みとして「建築は家具と補完し合うもの」と考え、設計した建築に合わせて家具のデザインも手掛けた。
日本での人気も高いアアルトの家具は、プロダクトとしての高い機能性を持ちながらも有機的なフォルムが取り入れられたものが多い。昨年末から国内4箇所をめぐる巡回展が開催されており、アアルトの魅力が広く知られるようになったのも記憶に新しい。
※巡回展は2019年4月14日で終了いたしました。
ライフスタイルショップの先駆け的存在。ヘルシンキのアルテック
近年ますます増えてきているライフスタイルショップ。今では当たり前のようにあるショップスタイルだが、普及したのはここ数年のことだ。しかしアルテックでは設立の翌年にショップをオープンした時から、自社ブランドの家具や照明だけでなく、他ブランドからもアイテムを厳選し販売していた。
創業当時の目的は「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」。ギャラリー併設といった文化的側面への貢献も含め、まさにライフスタイルショップの先駆けと呼べる存在なのだ。
アルテックが作る自然の美しさを感じる家具
1933年にアルヴァ・アアルトによってデザインされた「スツール 60」は、アルテックを象徴するアイテムだ。座面と3本の脚という最小限の要素で、椅子としての機能と美しさを成立させている。
アルテックの家具は「スツール 60」をはじめ、自然素材を用いたものづくりを基本としている。北欧独特の自然素材の美しさと優しさ、経年による風合いや表情は、家具にさらなる魅力を与えている。
照明のデザインにおいても、自然光と人工の灯りの戯れの相互作用を大切にしている。アルテックのペンダントランプも、北欧らしい独特な空間を作り出すアイテム。ランプの光が室内を優しく照らしだし、生まれる影も柔らかだ。
日本から遠く離れたフィンランド、その共通した価値観
日本とフィンランド、遠く離れた両国だが共通点は多い。精神的な部分でいえば、自然への親しみ、本質への探求、そして静寂を愛する心もそうだ。さらに無駄を削ぎ落とした簡潔さに価値があるデザイン、職人による優れた手仕事への尊重。両国で共通する価値観に、アルテックは注目しているという。
これまでにもアルテックではCOMME des GARCONS(コムデギャルソン)、minä perhonen(ミナ ペルホネン)、無印良品など、日本の企業とのコラボレーション製品を発売してきた。
そして2019年4月9日、アルテックは、ミラノサローネ国際家具見本市にて、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念し「FIN/JPN フレンドシップ コレクション」を世界に向けて発表する。
日本の伝統技術の藍染でフィンランド産バーチ材を染めた限定商品「スツール 60 藍染」をはじめ、日本のデザイナーとのコラボレーションによる家具、書籍、テキスタイルなど、全7種のコレクションが順次発売される。
生活への美意識を高める。アルテックの家具を日常に
家具に必要なのはファンクショナルであること。その前提がある上で、美しさを感じ、文化的な暮らしをもたらしてくれる家具というのは、時代を超えて長く愛されるものだ。
両国の共通する価値観でつくられたアルテックのプロダクトは暮らしに豊かさを与えてくれるはず。是非一度、表参道のArtek Tokyo Storeに訪れてみてほしい。
Artek Tokyo Store
住所:東京都渋谷区神宮前5 - 9 - 20,1F・B1F
オープン日:2019年4月27日
営業時間:11:00 - 20:00
定休日:火曜日
公式サイト:
https://www.artek.fi/japan/jp
CURATION BY
株式会社東京饗宴代表。映画評論、取材記事、などライター他、イベント制作業務などマルチに活動。