Vol.101

MINIMAL

04 FEB 2020

暮らしに欠かせないハサミを極める。HMM PROJECT 「Scissors w/base」

幼少期から身近にある、ハサミ。文具入れの中や裁縫箱、キッチンの小物入れの中などを整理していると、「これ、子どもの頃から使っていなかったっけ?」と驚くほど、年季の入ったハサミが見つかることもある。それは、「これは必要。残しておこう」と思わせる「何か」がハサミにあるからだろう。今回はユニークなデザインの「Scissors w/base(和名はエイチエムエム シザーズセット)」にフォーカスを当てながら、ハサミというものの歴史や切ることの意味について掘り下げてみよう。

ミニマリストが手放さない、ハサミという道具

HMM PROJECT 「Scissors w/base」 ¥5,000(+tax)
必要最低限の暮らしをするミニマリストたちも、ハサミに限っては手放さずに残しておくことが多いという。さらに、1度捨てたのに、その必要性に気づいてまた購入する場合もあるそうだ。

思い返せば、自宅にも1つ以上はあるハサミ。そもそもなぜ私たちの生活に、ハサミは欠かせないのだろうか。

まず日常生活を振り返ってみよう。事務作業でラベルやシールなどを切る以外にも、買ったばかりの洋服のタグを取る時、食品のパッケージを開ける時、封筒を開ける時、花瓶に合うように草花を剪定する時、不揃いになった髪を自分で整える時、使わなくなったクレジットカードを切る時、ほつれた糸を取る時…等々、ハサミを使うシーンは枚挙に暇がない。

ハサミは毎日のように使うわけではないが、「何かを切る」という行為をしたい時に、カッターやナイフなどでは代用しきれない場合が多い。さまざまな「切る」に対応できるのは、やはり「ものを挟んで切る」という機能を持つハサミ以外にないのだ。

ハサミの歴史は古い

ところでハサミはいつから使われていたか、その歴史をご存知だろうか。

ハサミの歴史は、実はかなり古い。現存する最古のハサミは、紀元前1000年頃のエジプトで発見されたものだ。当時のハサミは指を入れる部分が無く、手で握るようにして使うU字型のハサミ(握り鋏、糸切り鋏)だった。似たような形状のハサミ(和鋏)は日本でも古くからあり、現存する最古のものは6世紀ごろのものだという。現代では料理鋏、洋裁鋏、理容鋏、園芸鋏など、特定の作業に最適化したハサミもあるが、ハサミが誕生した当初は、主に羊の毛を刈る作業に使われていたそうだ。
一方で中心がカシメで留められたX字型の最古のハサミは、紀元前27年の古代ローマ時代のもの。つまり現代一般的に使われているような中指を入れる持ち手部分があるハサミは、2000年以上も前に基本形状が完成されていたということだ。

そこから2000年経ち、刃の部分が大きいもの、小さいもの、持ち手の形状を持ちやすくしたもの、折りたたみ式のものなど、ハサミはさまざまな発展を遂げたが、基本形状はそのまま。普段使っている道具を、2000年前の人も同じように使っていたと考えると、なかなかすごいことだ。

しかし、あれだけ特徴的な形をしておきながら、ハサミはときどき姿を消す。文具入れに入れる時も、ハサミのせいで余計な空間ができてごちゃごちゃする。なぜか失くすし、他の文具と一緒にしていると邪魔ならば、ハサミそのものが独立して存在していれば良いのではないか?

そこで手に入れたのが、HMM PROJECT 「Scissors w/base」だった。

佇まいが美しい「Scissors w/base」

台湾発の気鋭デザインブランド、HMM(HUMAN MECHANIC METHOD) PROJECTが手がけた「Scissors w/base」。ハサミとペーパーナイフ両方の機能を持つ、2 in 1のプロダクトツールだ。

ハサミのシルエットでエンボス加工が施された美しいパッケージ。ここからもプロダクトへのこだわりと、質の高さが伝わる
「Scissors w/base」は、プロダクトのデザイン性の高さが評価され、2017年の台湾のデザイン賞Golden Pin Best Design Awardでは、最高賞であるベストデザイン賞を受賞している。

刃の先端がフラットな設計になっていることを活かし、専用ベースを使えば自立させることもできる。

シンプルな形でありながらオブジェのような美しい佇まいで、デスク周りの光景が一変する
ハサミを他の文具と一緒にせず、失くさない程度にほどよく目立たせたいという要望を、「Scissors w/base」はスタイリッシュに叶えてくれた。
厳選された素材を選び、製品作りに活かしているHMM PROJECTだが、「Scissors w/base」の場合は日本製の上質なスチールを使用。それを台湾の職人が熟練の技で丁寧に磨き、仕上げている。

ハサミの上下をひっくりかえせば、ペーパーナイフとしても使える優れもの
切れ味の鋭さを持ち合わせながら、先端が四角いことによって、逆さに持った時も危険を感じることなく使用できる。細部まで考え抜かれたデザインだ。

ハサミを使う。その背景を考えてみよう

必ず使うハサミだからこそ、こだわり抜いて選びたい
私たちは普段、切る行為をスムーズにする便利な道具として、当たり前のようにハサミを使う。作業で長く使うこともあるが、ほとんどは一瞬しか使わない。しかし、ここであえて考えてみたいのは、私たちがハサミを使ってものを切ることによって、「本当にしたいことは何か」ということだ。

例をあげるとすれば、「余計なものを削ぎ落としたいから」、「必要なぶんを分け取りたいから」、「封で閉じられたものを開けたいから」といった動機が考えられるだろう。

そこに共通するのは、「不必要なものを取り除き、自分のものにする」ということ。私たちは生きていくために、さまざまなものを得なければいけない。そして、手放すべきものは手放さなければいけない。そういった人の営みを、ハサミは支えてくれているのだ。

HMM PROJECT 「Scissors w/base」

Color / Black
Size / W165 ×H80 × D5
Base Size / Φ50 × H7mm
Material / Stainless, TPR
¥ 5,000(+tax)

HMM PROJECT
web:https://hmmproject.com/pages/front