日本酒の香りを残した、新しい味わい
「浄酎 White」は、香りは日本酒なのに飲み口はスピリッツという、これまでにない味わいが持ち味で、日本酒そのものの香りを楽しみたい人にまずおすすめしたい一本だ。
「浄酎 Gold」は、国産のミズナラ樽やアメリカンホワイトオーク樽でじっくり熟成させたもの。半年ほど寝かせたものから2〜3年熟成させたものまであり、年数を重ねるほど角が取れていく。「時間をかけるからこそできる丸み」があり、ウイスキーを思わせる味わいに仕上がっている。
「琥珀浄酎」は、樽で熟成させた浄酎に、農薬を使わず栽培したレモンの皮を漬け込んだもの。皮は12時間ほどかけてじっくり乾燥させ、香りを凝縮させている。レモン、樽、日本酒、3つの香りが調和しているのが特徴だ。
おいしい氷にこだわったり、香りを包み込むようなグラスを選んだりするのもおすすめだそうだ。「山椒を一粒落とす、レモンを少し添える。そんな小さなひと手間で、飲み口はぐっと変わります」と三宅さん。
そのほか、瓶ごと冷凍庫で冷やし、とろみを出してから飲んだり、琥珀浄酎をアイスにかけて食べるなどして楽しむ人もいるという。これまでにないお酒だからこそ、自分なりのアレンジを試したくなるのかもしれない。
日本酒の香りを守る、低温浄溜
低温浄溜では、窯の中の圧力を変化させることで沸点を下げ、低温でお酒を蒸留する。通常、お酒を蒸留する際は高温で熱するため、繊細な香り成分が壊れてしまうことがある。しかし、低温であれば、日本酒に含まれる香りをできるだけ損なわずに取り出すことができる。
日本酒を低温で蒸留するという新しい試みは、設計図もゴールもないまま、すべてが手探りだった。それでも三宅さんは、「大変というよりも、面白くモデルをつくっていく感覚だった」と振り返る。
土地によって味わいが変わる、浄酎の面白さ
同じ浄酎でも、使う酒蔵や熟成させる土地によって、味わいは少しずつ変化する。
広島の浄酎は、県内3つの提携酒蔵で醸造された日本酒を原料としている。仕入れた日本酒はその都度蒸留するため、購入する時期によって味わいが微妙に異なることもあるという。なかでも、Goldと琥珀浄酎は、神石高原町の有機農家、タナベファームとマリモファームが栽培する有機米を使った日本酒を原料としており、標高500メートルの高原に位置する神石高原町で樽熟成される。
歴史ある酒蔵文化を、新しい技術で未来へつなぐ
三宅さんが日本酒に強い思いを抱くようになったのは、親族に酒蔵関係者が多く、幼い頃から日本酒業界を身近に感じてきたことが大きい。大学時代には上海に留学し、卒業後も20代のほとんどを上海で日本酒の販売やマーケティングに携わった。
そこで直面したのが、日本酒特有の「消費期限問題」だった。水分が多く劣化が早い日本酒は、ウイスキーやワインのように「◯年もの」として長期熟成させることは一般的ではない。こうした経験から、「自分が日本酒業界を変えたい」という決意が芽生え、帰国後のナオライ創業へと結びついていった。
掲げるビジョンは「時をためて、人と社会を醸す」。背景には、自然ともっと調和した生き方があるのではないか、そんな思いがある。そして、とりわけ創業地の三角島に戻るたびに、自然と人との距離感を感じるという。
三角島は、時代とともに姿を変えてきた。1950年代には薪のために木々が伐採され、島はほとんどハゲ山だった。その後、柑橘栽培が盛んになると、山は一面の柑橘畑に。ところが2000年頃から農業をやめる人が増え、今では森に還った畑も少なくない。
「人がどれくらい手を入れた自然が、一番美しいのか」。そんなことを考えながら、浄酎をつくり続けているという。
都市とその地域を行き来する時間に
ナオライが三角島で営む宿「五心庵(ごしんあん)」では、同じく自社開発の発酵うまみ調味料「UMAMINO」を使った鍋と浄酎を合わせて味わう体験もできる。浄酎は、蒸留酒のため糖質はほぼゼロに近く、それでいて日本酒由来の香りがしっかり立つので、食事との相性も良い。
浄酎は、常温で保存でき、日持ちする。日頃は棚に飾っておき、ゆったりと過ごしたい夜に、少しずつ味わうのもいい。グラスを片手に、ただゆっくりと過ごす時間をつくってみるのはいかがだろうか。
ナオライ
価格:4,400円(税込)/300ml/アルコール度数35%
産地:広島県神石高原町
https://ec.naorai.co/products/jochu-gold-awo-jinseki-35-300ml
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