Vol.730

FOOD

13 FEB 2026

「大切な人に届けたい」から始まった、蕎麦屋生まれの「わらび餅専門店 季作久|きさく」

美味しい食事のあとの、至福のひと口。小田原「そば季寄 季作久」で生まれたわらび餅は、そんなお客様の感動と温かな余韻から歩みを始めた。厳選された本わらび粉が生み出す繊細な口あたりと、上品で高級感のあるパッケージは、贈り物にもおすすめだ。やさしい味わいがやさしい気持ちを呼び起こす、そんな季作久のわらび餅を紹介したい。

厳選素材と相模湾の絶景を楽しむ 小田原「そば季寄 季作久」

喧騒から離れ、静かな佇まいが印象的だ
「そば季寄 季作久(きさく)」は、神奈川県小田原市の山の中腹に佇む蕎麦ダイニングである。食事を楽しみながら、相模湾を一望でき、地元の厳選素材にこだわった料理も味わえる。海沿いの静かなロケーションゆえ、都会の喧騒から離れてゆったりと過ごせる点も魅力だ。観光の立ち寄り先としてはもちろん、記念日など特別な日の一席にも選ばれている。

カウンター越しに広がる絶景に、心を奪われる

アンティークの家具が、店内に落ち着きと品のある空気をつくる
店内に足を踏み入れると、水平線まで続く青い海にまず目を奪われる。カウンター席の大きな窓からは相模湾を一望でき、自然光が満ちる広々とした空間には、まるで海の上で食事をしているかのような開放感がある。満月の夜には、窓辺からカウンターへと「月光の道」が差し込むこともあるという。

見た目も味も上品でありながら、そばの香りはしっかりと立っている
季作久の蕎麦は、北海道産の蕎麦粉を用い、細めに仕立てた更科蕎麦である。一般的な蕎麦より白く、すっと透けるような美しさを持つ一方、見た目の繊細さに反してコシはしっかりとしている。噛むほどに蕎麦の香りが立ち、口の中へゆるやかに広がっていく。

著名人の来店も多く、店内にはサインが飾られている
蕎麦以外にも、神奈川のブランド牛「足柄牛」のステーキや、地元・小田原で獲れた新鮮な地魚の刺身、天ぷらなど、メニューが充実している。著名人の来店も多く、店内にはサインが飾られるなど、小田原で高い人気を誇る一軒である。

お客様の「持ち帰りたい」から生まれた、蕎麦屋が作る至福のわらび餅

店主の川口 晃嗣さん
そんな蕎麦の名店が新たに始めたのが、「わらび餅専門店」である。店主の川口晃嗣さんに、専門店を始めたきっかけを伺った。

もともと自家製わらび餅は、食後のデザートとして提供していたという。転機となったのは、ある日お客様からかけられた「これ、持ち帰れませんか?」のひと言だった。「家族にもこの感動を伝えたい」「大切な人への贈り物にしたい」、そんな声に応えたい一心で試行錯誤を重ね、持ち帰り用の販売が始まった。

上品な甘さと絶妙な食感のわらび餅
今では、このわらび餅は店の定番土産として親しまれている。来店した多くの人が手に取る一品は、「おいしいものを、大切な人へ」というお客様の優しさから生まれた背景があるからこそ、その味わいはどこまでも温かい。贈る人にも贈られる人にも、自然と笑顔が広がっていく。

和と洋が調和するのれんが印象的な「わらび餅専門店 季作久」そごう横浜店
店で好評を得たことを受けて、次に催事へ出品したところ、開店から2時間で完売するほどの人気ぶりだったそう。そうした反響に後押しされ、2025年9月に「そごう横浜」に専門店をオープンした。

時間をかけて丁寧に仕上げる細やかさもおいしさの秘訣だ
「そば季寄 季作久」のわらび餅は、本わらび粉を贅沢に使用した、とろけるような口あたりと上品な甘さが特長。店内できな粉をまぶし、丁寧にカットして仕上げることで、作りたてのようなみずみずしい味わいが実現するという。


生わらび餅

(左)期間限定の「紅ほっぺいちご」、(右)一番人気の「純黒糖」
「生わらび餅」の原料は、わらび粉、水、黒糖、そして香ばしいきな粉。いずれも厳選した素材である。製造において、強いこだわりがあるのが「食感」だ。季節や天候によって微妙に変化する素材の状態を見極め、練りの加減を調整する。そうして生まれるわらび餅は、心地よいもちもち感を備え、口の中でほどけていく。喉をつるりと滑る余韻まで含めて、一口の完成度が高い。

箱を開けると、練乳と楊枝が同梱されており、すぐに食べられる。

生わらび餅 純黒糖(黒蜜付き)
生地に深みのある黒糖を練り込み、国産きなこを贅沢にまとわせたわらび餅である。口に運ぶと、とろけるようにやわらかい。別添えの黒蜜は好みに合わせて量を自在に調整できる。黒糖の上品な甘みと余韻が、輪郭を増して広がっていく。

生わらび餅 紅いちごほっぺ(練乳付き)
人気の品種「紅いちごほっぺ」を贅沢に使用したわらび餅。鮮やかな色合いに、いちご本来の甘酸っぱさと、みずみずしさが加わる。練乳をかければ、甘みとコクがいっそう引き立つ。こちらは期間限定商品で、季節ごとにラインナップが入れ替わる。旬の食材や四季を映した味が続くため、次の限定商品にも期待が高まる。

すくいわらび餅

すくいわらび餅:(左)小田原レモン、(中央)恋抹茶あずき、(右)純黒糖くるみ
店主の川口さんが5年をかけて開発したという「すくいわらび餅」。できたてのわらび餅は熱でやわらかく伸び、冷やせばもちもちとした食感へ変わるという。その二つの魅力を一度に味わえるように仕立てたのが、この「すくいわらび餅」である。あずきやくるみを加えることで味わいに変化が生まれ、食感のアクセントも楽しめる。

コロンとした愛らしい見た目、まるで宝石のように輝くわらび餅

とろけるように伸びるわらび餅に、ゴロゴロとした具材がたっぷり

すくいわらび餅 小田原レモン
小田原の名産品である「小田原レモン」の皮を練り込んだわらび餅は、爽やかな口当たりと上品な味わいが魅力。レモンの皮の酸味・苦味・渋みを抑え、香りを最大限に引き出す工夫を凝らした商品だ。つるんとした食感で、夏にゼリー感覚で食べてみるのも良さそうだ。

すくいわらび餅 恋抹茶あずき
「恋抹茶あずき」は静岡抹茶を中心とした宇治抹茶を使用している。抹茶の香りが豊かで、名前の通り「恋=濃い」抹茶の風味を感じることができる。あずきが練り込んであり、ふっくらとしたあずきとの相性も抜群だ。

すくいわらび餅 純黒糖くるみ
「純黒糖くるみ」は、黒糖を練り込んだわらび餅に、ローストしたくるみをたっぷりと加えた一品。ゴロゴロと大きなくるみが入っており、くるみ好きにはたまらない。もちもちの生地にザクザクとした食感が重なり、最後まで飽きずに楽しめる。

飲むわらび餅、フェアトレード、挑戦が吹き込む新しい風

新感覚のデザート飲料「飲むわらび餅
季作久の魅力は、常に新しい挑戦を続けている点にある。なかでも注目したいのが、店頭で販売されている「飲むわらび餅」だ。職人がこだわり抜いたわらび餅の食感はそのままに、ストローで楽しむという斬新なスタイルに仕立てている。和菓子の常識や従来の提供方法にとらわれない、新しい楽しみ方を提示している。

神奈川菓子コンクール受賞作品「小田原レモン生わらび餅」
また、その挑戦は「おいしい和菓子作り」にとどまらない。地元の若手レモン農家とのフェアトレードを通じて、地域への還元にも力を注いでいる。素材の背景にある作り手の想いまで汲み取り、大切にするその誠実さも、和菓子に深みを与えているのだろう。

景色を眺めながら、おいしい料理と会話に花を咲かせてほしい
季節商品に触れるたび、「次はどんな驚きが待っているのか」と期待が膨らむ。旬の素材を主役に据えた独創的な菓子に出会うほど、その挑戦を追いかけたい気持ちは強まっていく。

本店の蕎麦店にもぜひ足を運んでいただきたい。繊細な技と素材への深い愛情が注がれた蕎麦は、まさに至福の味わいである。多くの人に小田原まで足を運び、和菓子と蕎麦の両方の魅力を通して、季作久の世界観を体感してみてほしい。

季作久