人が賑わい、自然が身近な街「築地」
中央卸売市場が豊洲に移転してからも、築地場外市場は外国人を中心に多くの観光客で賑わっている。さらに、重要無形文化財に登録された歌舞伎座やオリエンタルな雰囲気の築地本願寺、特別史跡・特別名勝に指定された浜離宮恩賜庭園など、歴史的な魅力もある。
すぐ近くには隅田川が流れ、緑豊かな公園がある。近年は再開発や新築物件の建設も進み、観光の街だけでなく住む街としての人気も高まっている。
玉子焼き専門店「つきぢ 松露」
築地場外市場では高級料亭などを対象に業務用として販売してきたが、銀座三越への出店により一般の顧客にも認知されるようになった。今では、築地といえば玉子焼きを思い浮かべる人も少なくない。
店頭には、定番の玉子焼きのほかに、手軽に口に運べる棒付きの玉子焼きや玉子サンドが並ぶ。鮮やかな黄色によって彩られたショーケースに目を奪われ、おのずと気分が高揚してしまう。
仕込みの段階では、玉子焼きの旨味とだし汁の味のバランスを一定に保つために、一度に約50本分をまとめて仕込むという。それを一日寝かせた後、卵にだしの風味がしっかり浸透しているかどうかを、味見を繰り返して確認する。醤油をつける必要のない旨味と甘みを抑えたさっぱりとした後味は、この仕込みと長年の経験から確立された焼き方によって生み出される。
これほどまでに玉子焼きにこだわる同店が、なぜ今スイーツづくりを始めたのか。副社長の斎藤修司さんにお話を伺った。
これからの100年もたまごとともに。スイーツで挑む新たな事業
最近ではミルクセーキを見かけることが少なくなった。洋菓子店でさえも扱っているところはあまりない。それでもあえてミルクセーキを商品化しようと思ったのには、修司さんの子供の頃の原体験が関係している。実家が喫茶店を営む友人の家に遊びに行った時に出されたミルクセーキの味が大人になった今でも忘れられず、それならばいっそのこと自分で再現してみようと修司さんは考えた。そして、若い人にも自分と同じような体験をしてもらいたいと思ったそうだ。
「我々のような年代の方にとっては『懐かしいもの』ですが、今の若い子にとっては『新しいもの』ですよね。そんな『懐かしいけど新しい』という感覚がおもしろい」と修司さんは話す。そして、「素材の味を楽しんでほしい」という思いから、保存料や着色料は使っていない。お子さんを持つ親御さんや健康に気を遣う人も安心だ。
懐かしいと新しいが共存する驚きの玉子スイーツ
上部にかかるスープアングレーズ(卵黄を使ったカスタード風味のソース)はプリンの味に深みを出し、底にあるカラメルソースまでスプーンですくえば、3層のハーモニーを楽しむことができる。
味に奥行きを持たせるために、ホワイトチョコレートが隠し味に使われているそうだ。カスタードクリームのような色合いもあって、甘そうな印象を受けるが、実際に飲んでみると、さらりとした飲み心地と、すっきりとした後味になっており、暑い夏でもごくごくと飲めてしまうおいしさだ。甘いものが苦手な方にもぜひ試していただきたい。
これからもたまごとともに。納得のいくものだけを食べてもらいたい
創業100年の玉子焼き専門店が、次の100年に向けて挑戦するスイーツプロジェクト。長期視点で取り組むからこそ、開発にじっくりと時間をかけて、納得いくものだけを販売していく。今後、どのような銘品が生まれてくるのか楽しみである。
玉子焼き専門店「つきじ 松露 築地本店」と、スイーツ専門店「tsukiji SHOURO」。どちらのお店でも玉子焼きとスイーツの両方を取り扱っているので、築地や銀座を訪れる際にはぜひ立ち寄って欲しい。きっと卵の新たな可能性を発見できるはずだ。
tsukiji SHOURO
時代を超えて愛される住まい。マンションブランド「ZOOM」の秘密に迫る|ZOOM LIFE
