Vol.611

FOOD

24 DEC 2024

ひとさじの季節を食べる、味わう。ボンヌママン

季節を味わう、旬を楽しむ、それは日本人に与えられた喜ばしい特権。しかし今年はなかなか季節の移ろいを感じるのが難しい年だった。それでも季節を感じたい、できれば手軽に味わいたい、そんな筆者のわがままな願いに応えてくれたのは、フランス生まれのジャム、ボンヌママンだった。

遠のいた季節の味

かわいらしい瓶においしさがぎゅっと詰まっている
秋を飛び越して冬が来た。今年はそう感じた人も多いのではないだろうか。昨今いわゆる異常気象が続くここ日本だが、その異常数値をも更新し続けている。暦では秋でも気候は真夏のまま、たまに秋と夏を行ったりきたりするような天気が続いた。ようやく秋めいてきたと思ったのもつかの間、秋を越えて一気に冬が訪れたのだ。

長引いた暑さで秋の実りは大打撃を受けてしまった。朝晩の気温差で色づく紅葉も、暖かさの影響で本来の紅葉シーズンより大幅に遅れ、師走にようやく色づいた名所もあった。例年の見頃に合わせて訪れた観光客はがっくり肩を落としたことだろう。こうして今年は気候でも味覚でも秋を味わいきれずに冬を迎えた。

四季を持つ日本では季節を重んじる文化がある。季節ごとの行事や食、自然の移り変わりを通して四季を愉しむのだ。今季はその愉しみが奪われてしまったかのように感じるのは筆者だけではないだろう。だが自然の理には逆らえない、それが人間である。ならばその中で工夫して楽しめないだろうか。そう思い目をつけたのが、ボンヌママンのジャムだ。

「フランスのママンの味」ボンヌママン

ギンガムチェックの蓋がトレードマークのボンヌママン。フランスで一番愛されているジャムだ。果物の宝庫で有名な南フランスはロット地方にある小さな村で生まれた。

瓶には手書き風のラベルがあしらわれ、家庭の味を演出
フランスでは、母から娘へその家のジャムの味を受け継いでいく習慣がある。日本で言う家庭ごとのお味噌汁のような存在だろうか。ボンヌママンはフランス語で「すてきなお母さん」のこと。ボンヌママンのジャムは、家庭の味をコンセプトに、厳選された果物と伝統製法にこだわって作られている。

ボンヌママンのジャムになれるのは、糖度や味、見た目などを丁寧にチェックされ選ばれた最高品質の果物だけ。そんな旬な果物にきび砂糖とてんさい糖、レモンジュース、果物から取れたペクチンを加えてコトコトゆっくり煮詰める。保存料や着色料を一切使用しないこだわり抜いたジャムは、果物本来の味が際立った濃厚な味わいを楽しめる。

濃厚な果実感はヨーグルトにぴったり

ソーダを加えてノンアルコールカクテルにしても。フレッシュな味と香りが際立つ
かくいう筆者はジャムがあまり得意ではない。よくあるジャム特有の過度な甘さと添加物を感じる味が、どことなく苦手なのだ。ボンヌママンのジャムは濃厚ながらもしつこくなく、果肉感も残っててなにより香りがいいと感じた。苦手意識が強かった筆者が、ボンヌママンを取り扱っている店にわざわざ買いに行くようになったくらいである。

ボンヌママンは多彩なフレーバーも魅力の一つ。10種類以上と豊富なラインナップに加え、期間限定フレーバーも登場する。定番のストロベリーやマーマレードのほか、アプリコット、いちじくなど、季節ごとの味を楽しめる。

かわいいプチ瓶はプレゼントやアウトドアにもちょうどいいサイズ
季節の旬の果物を味わう、それは四季を味わう醍醐味の一つ。季節ごとにジャムを手作りして旬の味を楽しむ人もいるだろう。
だが、今年のように気象の影響でそううまくいかない時もある。いつも食卓に並ぶはずの果物も、価格が高騰し手が出しにくくなってしまった。こういう時に味方になってくれるのもボンヌママンのジャムだ。いつもの紅茶に、お菓子やパン、料理に、季節のジャムをプラスすれば、一気に旬の味になる。そしてなによりお手頃価格なのがうれしい。

紅茶にひと匙溶かせば甘いフルーツティーに早変わり
フレッシュで濃厚な果実感とどこか安心する家庭の味。ボンヌママンのジャムは、旬を味わいたいと願う我々の期待にしっかりと応えてくれるだろう。

秋冬にぴったりなマロンクリーム

ボンヌママンはフレッシュな果実のジャムが定番であるが、実はミルクジャムやマロンクリームといったちょっとレアなフレーバーもある。特に今記事ではマロンクリームを紹介したい。

栗のつぶ感もある濃厚なクリームをたっぷり塗って
ボンヌママンのマロンクリームは、良質な栗に砂糖を加え、バニラで香り付けしたもの。栗のおいしさが存分に味わえる濃厚なクリームは、ぜひバゲットに塗って食べてみてほしい。栗をダイレクトに感じた後に甘いバニラが香り、秋の味が口いっぱいに広がる。

焼き菓子に混ぜ込むだけで、栗を楽しめるこっくりとした深い味わいに
もちろんお菓子作りやパン作りにも幅広く使える。伸びがよく扱いやすいクリームは、焼き菓子のフィリングにぴったり。香り付けされたバニラのおかげで芳醇な甘さを感じられる。また、マロンペーストの代わりとしても使える万能さも魅力だ。

栗を代表するお菓子モンブランにもおすすめ
余談だが、マロンクリームを使ったお菓子を作る際にはラム酒を加えるのをおすすめしたい。栗のこっくりとした深みのある味わいとバニラ香る甘さにラム酒が絶妙にマッチするのだ。焼き菓子に加えてもラム酒の芳醇な香りはしっかりと残る。焼き上がったケーキにラム酒をハケで塗り込むのもおすすめだ。ミルクティーにマロンクリームを加えてマロンミルクティーに、そこにラム酒を足らす…というのも美味しそうだ。

やわらかな考え方で日々をポジティブに

あたりまえがあたりまえではなくなっていると感じることが多い昨今。いつもできていたこと、やっていたことが急にできなくなる。そのことにがっくり肩を落とす、そうしてしまうと意外に疲れるもの。ほんのすこし柔軟に考えてみよう。別の楽しみが生まれるかもしれない。「フレッシュな果実の代わりにフレッシュなジャムにしよう」「暖かい日が続いたからいつもよりアウトドアが長く楽しめるね」視点を変えるだけでわくわくしてくるだろう。

季節や気分に合わせてフレーバーをチョイスするのも楽しい
気候だけでなく文化も人々も、時代の流れも急速に変化していく。その変化に必死についていこうとするがままならないことも、疲れてしまうこともしばしば。習慣や心持ちを180度変える、というのはなかなか難しい。"ほんのすこし柔らかく"物事をとらえる、それが心と体をゆっくり整えてくれるかもしれない。