果物の水分を砂糖の力で引き出し。自然なおいしさに。
実はジャム作りには必要な3つの要素がある。まずは「ペクチン」。これは植物に含まれる成分による現象だ。お菓子つくりを日ごろしている人なら聞いたことがあるかもしれない。これは、「酸」と「糖」が結びつくことによってジャム特有のトロっとした食感が生まれる。
砂糖を大量に使用することに抵抗が合う人も多いだろう。しかし砂糖には高濃度の砂糖によって、腐敗を防ぐという効果がある。もともと保存食であるジャムは、やはりクラシカルにたっぷりの砂糖を、潔く使用することがおすすめだ。
最後に必要なのは、「酸」柑橘類のジャムを作る際は無くても良いが、その他のジャムはある程度酸を補う必要がある。果物400gほどに大さじ1ほどが目安だ。もちろん生のレモンをしぼるに越したことはないが、市販のレモン汁でも充分おいしく仕上がる。
王道のいちごジャムを作ってみる
前述したとおり、砂糖をたっぷりと使用したクラシカルなジャムのレシピで仕上げてみよう。
使用する砂糖は、甜菜糖、またはきび砂糖。どちらも精製しておらず、天然のミネラルがたっぷりと入っているのが特徴だ。特にてんさい糖は腸内環境を改善してくれる効果もある。糖類(砂糖)の中で甜菜糖だけが、唯一オリゴ糖を含んでいる。その他にも、血糖値の上昇をゆるやかにする、原料のほとんどが国産である…などの大きなメリットがある。
きび糖も同じく、ミネラルが豊富な砂糖。グラニュー糖などの白砂糖に比べるとコクが出やすいのが特徴。どちらも普段のお料理にも使用しやすいので、気軽に取り入れてみるのをおすすめする。
いちごジャムのレシピ
てんさい糖またはきび糖…100g
レモン汁…大さじ1
作り方
2,甜菜糖をまぶし、1時間ほどおく
3,水気が出てきたら、小鍋に移しレモン汁を加えて煮る
4、焦がさないように混ぜながら弱火で加熱する。泡に粘り気が出てきたら完成
どのくらいにつめたから良いのかわからない…そんな時は、透明のグラスに水を入れて、出来上がったジャムを1滴入れる。ジャムがそのまま下まで落ちれば完成となる。砂糖の量は基本的に果物の重さの40パーセントを目安とする。用意した果物に合わせて砂糖を計量すればよい。
季節の果物で楽しめるのが醍醐味。様々な果物のジャムレシピ
日本には四季があり、季節のものをその時期に楽しむことができる。日本料理では、はしり(食材の初物)、さかり(食べごろの食材)、なごり(旬が過ぎ終わりを迎えようとしている食材)と四季を反映する食材選びをしてコースを組み立ている。自分の暮らしにも、やはり季節の食材を生活に取り入れるのは、季節の雰囲気と味わいを感じることができる、程よい刺激になる。
リンゴジャムのレシピ
てんさい糖またはきび糖…120g
レモン汁…大さじ3
作り方
2、カットしたりんごにてんさい糖をまぶし、1時間ほどおく
3、小鍋に移しレモン汁を加えて、煮る
4,くつくつと気泡が粘り気が出てきたら完成。消毒した瓶に入れて保存する
ミカンジャムのレシピ
てんさい糖またはきび糖…100g
レモン汁…大さじ1
作り方
2,人房ごとに分けて、それぞれ半分に切る
3,カットしたみかんにてんさい糖をまぶし、1時間ほどおく
4,小鍋に移しレモン汁を加えて、弱火で煮る
5,くつくつ気泡がと粘りが出てきたら完成。消毒した瓶に入れて保存する
りんごもみかんも、冬になるとお手頃に手に入る。ぜひちょっと手間をかけて手作りジャムを試してほしい。甘酸っぱいコク深い味は、寒い季節によく体に染み渡るおいしさだ。
日常にジャムを取り入れて。簡単なレシピでもっとジャム生活を取り入れる。
例えばいちごジャム。水切りヨーグルトにトロっとかけて、グラノーラなどを添えて。簡単パフェ風に仕上げてみても、とてもおいしい。いちごジャムの甘酸っぱさと、ヨーグルトの酸味がよく合うお手軽デザートに変身する。透明のグラスに盛り付けたら、見栄えもよく来客時にもピッタリな一品だ。
りんごジャムは、程よい大きさに切った冷凍パイシートにスプーンでトロっとのせて、200℃のオーブンで焼けばお手軽アップルパイの完成。焼きたてはサクサクトロトロでとにかくおいしい。お子様から大人まで、楽しくいただける。甘酒とミカンジャムを合わせて、レンジで温めれば、即席ホットドリンクの完成。寒い季節に染み渡る体ぽかぽかドリンクの完成だ。
アレンジ自在なジャムが食卓を豊かにする。レパートリーが増えておすすめしたくなる、また来年も作ろうと1年後が楽しみになる。少しの手間で、季節の果物を楽しみ切ったという、豊かな達成感が生まれるはず。
次の季節は何を作ろう、季節を感じるのが楽しみになるジャム作り
普段の献立のレパートリーにちょっと加えて、おしゃれな料理を作ってみるのも素敵だ。いつもの生姜焼きにオレンジジャムを入れたり、ドレッシングにいちごジャムとバルサミコ酢を加えてもおいしい。
今年上手に作れたから、来年もまた作ろうと1年の季節の移り変わり楽しむのもとても素敵だ。旬の果物をジャムにするという手仕事で、1年間の季節をそれぞれ楽しんでいけたら、とても幸せだ。