朝ごはんの定番であるパン。筆者が現在暮らしているフランスでは、バゲットなどが主流ではあるが、Pain de mie(パン ドゥ ミ)という呼び名で、日本の食パンのようなものを常備している家庭も多い。そんなスライスのパンを食べるときに楽しみなのが、さまざまな種類のジャムやコンフィチュールではないだろうか。私たちの朝ごはんに、彩りを添えてくれるコンフィチュール。果物と砂糖というシンプルな作りだからこそ、実は無限の可能性を秘めている。そんな可能性を見事に花開かせたのが、コンフィチュール専門店・CONFITURE PARISIENNE(コンフィチュール・パリジェンヌ)だ。
パリの玄関、北駅から徒歩10分。工房つきの実店舗へ
CONFITURE PARISIENNEは、イチジクやフランボワーズなど、ひとつの果実のおいしさを凝縮したコンフィチュールを作っているのはもちろんのこと、「にんじん、パッションフルーツ」「フランボワーズ、すみれ」「栗、洋梨」など、思わずどんな味わいなのだろうと、ワクワクするような組み合わせの製品を作っている。早速この魅力的なコンフィチュールを手に入れるべく、筆者が訪れたのは、パリにある工房つきの実店舗である。
場所は、空港からのアクセスの良さゆえに、「パリの玄関」とも称される北駅からほど近い、高架下にブティックなどが入ったエリアだ。店内にはずらりとさまざまなコンフィチュールが並び、平日は工房内で煮込まれているコンフィチュールの制作風景も見ることができる。
伝統的な製法を守り、材料はフランス産。見た目だけではない味も実力派
コンフィチュール・パリジェンヌは、 2015年に2人のパリジェンヌ、ローラ・ゴニエとナデージュ・ゴルティエの出会いから生まれたブランドだ。斬新な組み合わせの味と魅力的なパッケージはすぐさま話題となり、今や海外の有名百貨店・高級スーパー・メディアなどでも有名なブランドになった。日本でも、兵庫県神戸市に本店を構えている他、東京では上野マルイで購入することができる。また、日本語のホームページでの販売も行っているため、近くにお店がなくても手に入れることが可能だ。
思わず手土産として持って行きたいおしゃれなパッケージだが、味も見た目を裏切らない。合成添加物は一切使わず、素材の大部分はフランス原産。それらを未精製のサトウキビ糖とともに、正確な温度で炊き込んでいる。
店舗併設の工房では、伝統的な製法を守るために、銅鍋がいくつも並んでいた。熱伝導率の良い銅鍋で作ると、風味を損なわずに一気に火を通すことができるのだ。
購入したのは、人気の「栗と洋梨」、花の香りのする「杏とラベンダー」など4種類
サイズは、100gと250gが販売されている。今回筆者は、試しやすい小さいサイズのコンフィチュールを4種類購入した。
まずひとつ目は、一番人気だという「CHATAIGNE POIRE(栗と洋梨)」。そしてその他店員さんにおすすめされたのが、「CAROTTE PASSION(にんじんとパッションフルーツ)」だ。野菜を使ったコンフィチュールを食べるのは今回がはじめてだったため、どんな味がするのだろうと、想像するだけでも楽しい気分になった。
その他、花の香りがするコンフィチュールが気になり、「ABRICOT LAVANDE(杏とラベンダー)」と「FRAMBOISE VIOLETTE(フランボワーズとすみれ)」を購入した。
おいしい朝食があるだけで、起きるのが楽しみになる
秋を迎えているフランスの空は、朝7時でもまだ暗い。どんよりとした陽気だとそれだけで起きるのが億劫になるが、冷蔵庫にコンフィチュールがある、と思っただけで気持ちが明るくなり、いそいそとベッドを飛び出した。
この日は、「ABRICOT LAVANDE」と「FRAMBOISE VIOLETTE」を、トーストとフランスでは馴染みのあるFromage Blanc(フロマージュブラン)というチーズに合わせて食べてみることにした。Fromage Blancは、ヨーグルトのようなさっぱりとした味わいを持つフレッシュチーズだ。デザートとして蜂蜜やコンフィチュールをかけて食べたり、ドレッシングにしたりと、使い勝手の良さから常備している家庭も多い。
この朝、フランスの香り高いバターと一緒にトーストに塗ったのは、「FRAMBOISE VIOLETTE」。さっそく一口食べて、すぐさま美味しさがわかった。コンフィチュールのため甘いのはもちろんだが、甘いだけではない。素材の組み合わせによって、風味に奥行きがあるのである。
そしてFromage Blancにのせたのは、「ABRICOT LAVANDE」だ。くすんだ朱色のような色は、見ているだけでも心に華やかさをくれる。口の中で温度が高まるとラベンダーの香りがゆっくりとほどけてゆき、味わいがとても豊かである。朝の忙しない時間だというのに、思わずじっくり味わいたくなるコンフィチュールだった。
ヤギのチーズやフォアグラとともに。料理と味わうコンフィチュール
コンフィチュールと言えば、パンやヨーグルトにのせるのが定番である。ところが、ホームページに記載されているおすすめの食べ方を見てみると、「Sucré(甘い)と「Salé(しょっぱい)」に項目が分かれており、定番のトーストやクレープなどの他に、いくつかの料理が紹介されていた。
そこで今回、「CHATAIGNE POIRE」と「CAROTTE PASSION」は、おかずにするのはもちろん、ホームパーティーなどでも活用できそうな「Salé(しょっぱい)」のレシピを試してみた。
まず「CHATAIGNE POIRE」に合わせたのが、シェーブルと呼ばれているヤギのミルクで作られたチーズとのマリアージュである。今回は食べやすいようにパンにこのチーズをのせ、その上にコンフィチュールをのせた。
栗と洋梨の組み合わせだけでも新鮮だったが、さらに強い匂いを持つシェーブルを合わせると果たしてどうなるのか、ワクワクしながら頬ばった。口に入れた瞬間は、パッションフルーツと栗が重なり合った果実の香りが際立っているが、噛んで素材が混ざり合うと、今度は栗とチーズの濃厚な味わいが広がった。あまりの美味しさに、もはややみつきである。
そしてフォアグラに合わせたのは、「CAROTTE PASSION」だ。「CAROTTE PASSION」は、甘味の中にキリッとした酸味があり、それがフォアグラの濃厚さにフレッシュな味わいを加えてくれている。見た目も、にんじんのオレンジがアクセントになって華やかで、ホームパーティーにもおすすめしたいレシピだ。
パッケージもステキだから、テーブルに出して置くだけで気持ちがあがる
ジャムやコンフィチュールと言えば、透明なガラスの瓶が思い浮かぶけれど、CONFITURE PARISIENNEでは白いエナメル加工が施されたものを使用している。遮光性と清潔感を兼ね備えたパッケージは、テーブルの上に出して置くだけで思わずウキウキとした気持ちにさせてくれる。
今回は、さまざまな食材との組み合わせを紹介したが、普段はもちろんパンにスープだけなど、もっとシンプルな食生活である。そんな何気ない朝ごはんだとしても、魅力的なコンフィチュールがあるだけで、朝起きるのが楽しくなりそうだ。みなさんも、CONFITURE PARISIENNEのコンフィチュールで、心ときめく一日を作ってはいかがだろうか。
CONFITURE PARISIENNE|コンフィチュール・パリジェンヌ
BOUTIQUE & SALON DE THÉ
17 avenue Daumesnil, Paris XII
https://www.confiture-parisienne.jp/
CURATION BY
東京都出身。フリーの編集・ライター。フランスと日本を行ったり来たりの生活をしている。