BARの間借り店に世界のトレンドセッターが注目
開店後、わずか1ヶ月で400名以上の来店者を迎え、その多くが海外からのヴィーガンやベジタリアンの観光客。さらに、Google Mapsレビュー200件以上・星5.0を誇る評価は、単なるブームではなく、クオリティの高さが本物であることを証明している。レビューの中には「今まで食べた寿司の中でNo.1だ!」といった声もあり、世界中のヴィーガンから羨望の眼差しを集めている。
そんな中で「Vegan Sushi Tokyo」は東京の新しい名所となりつつあるが、この店に注目するのは訪日外国人だけではない。
日本在住の20〜60代消費者のうち、ヴィーガンは1.4%、フレキシタリアンとベジタリアンを含めると、ヴィーガン・ベジタリアン消費者は5.4%と年々増加傾向(*2)にある。そのボリュームゾーンである都心の若年富裕層が関心を高めている健康志向やエシカル消費といったキーワードにぴたっとはまったのが、ベジタリアンやヴィーガンといった食文化なのだ。ゆえに、ヴィーガン寿司のような新しい日本食が、これからの外食・中食産業を支える企業や飲食店から注目されるのは必至といえる。
DJブースを眺めながら新種の寿司を体験
寿司にウルサイ日本人も大満足のクオリティ
まず、寿司のルックスがとても美しい。植物性ということで野菜の鮮やかな色が楽しめることもあるが、それ以前に、寿司としての完成度が高く、見ただけでも技術力の高さが窺える。
オーダーしたのは「ヴィーガン寿司プレート」。野菜や植物卵・いくらなど日本独自の植物食材を使ってヴィーガナイズされたメニューで、内容は、いくら・植物卵&マヨ・トロなす・アボカド・天ぷら(エビフライ)・エリンギ(柚子胡椒)・やきにく・みょうが・しいたけ・豆腐と湯葉の蒲焼。
キラキラと輝くこちらの寿司から。海藻由来の成分等で作られる植物性いくらだという。口の中でプチンと弾け、トロッと程よい塩味と酢飯、海苔のハーモニーが、まさにいくらの寿司だ。この完成度の高さに、一気に期待値が上がった。
ヴィーガン寿司は魚の寿司よりも調理工程に手間暇がかかる上に、シャリとの一体感を出すのも容易ではないといわれているが、この味は巷の回る寿司屋レベルとは一線を画する。それもそのはず「Vegan Sushi Tokyo」のメニューは、野菜寿司のパイオニアとして業界で知られる谷水晃氏が監修した本格野菜寿司なのだ。
さっぱりしたものと、旨みやコクが感じられるものがバランス良く入っており、味のバリエーションも豊富で、非常に高い満足感が得られた。食材そのものにこだわりぬき、見た目、味、そして食べた後の満足感まで、すべてが洗練されている。
魚介だけの寿司より、ヴィーガン寿司の方が好きになりそう。こんなことを書くと読者のみなさんに疑われそうだが、これは本音で。
寿司だけでなく酒やスイーツもオールヴィーガン
午前中から寿司をつまみながら一杯やっているYOUたちは、とてもリラックスして日本食を楽しんでいる様子だ。自分の国の文化が海外から認められること、喜んでもらえることは、自分が褒められているのと同じように嬉しくなる。
と、ここまで来るまでの1時間で「ヴィーガンって物足りないかも?」から「ヴィーガン、美味しいじゃん!」、さらに「むしろヴィーガンの方が美味しいかもしれない!?」となっていたことに、筆者自身が驚いている。
ヴィーガン寿司が導く未来の食文化
そんなみなさんに、新しい日本食としてこのヴィーガン寿司を試してもらいたい。騙されたと思って、一度ぜひ。美味しい寿司屋は珍しくないが、これほど美味しいヴィーガン寿司の店はなかなかないと思う。
「Vegan Sushi Tokyo」は、日本の伝統的な寿司文化と世界のヴィーガンムーブメントが出会う場所。その恩恵を受けるのは海外からの旅行者だけでなく、私たち日本人でもある。訪れる人々が、ここでしか味わえない特別な体験を通じて、未来に向けた食文化の新たな可能性を感じ取ることができるのだ。
渋谷という都市が世界に向けて常に新しい価値を生み出し続けるように、こうして新たに生み出される新日本食も、未来の食文化を牽引していくに違いない。
*1:観光庁「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001740444.pdf
*2:日本のヴィーガン人口調査2023 by VEGAN'S LIFE」
https://vegans-life.jp/article/epb0u3bt8