Vol.206

FOOD

05 FEB 2021

モロッコ料理を東京のレストランで楽しむ。文化の融合を味わう

東京からおよそ1万キロ離れた場所にモロッコという国がある。 北アフリカに位置し、ジブラルタル海峡を渡ればすぐそこにはスペインということもあり、ヨーロッパとアラブの文化が融合したエキゾチックな国だ。 街中が青く彩られた青の街や世界最大とされるサハラ砂漠は観光地として人気を博しており、モロッコ料理も注目を集めている。 世界中を魅了するヨーロッパとアラブの融合料理であるモロッコ料理について、東京で味わえる本格的なモロッコ料理の名店とともに紹介しよう。

彩り豊かで栄養価の高い食材、そして文化の融合がモロッコ料理の魅力

彩り豊かな料理からモロッコの風土を知る

モロッコ料理はトマトやオレンジなど、栄養価が高く色鮮やかな食材が使われていることが多い。

カラフルな見た目が食欲をそそり、野菜たっぷりでヘルシー。見た目のよさだけではなく、スパイスやハーブを豊富に使用することでエキゾチックな味わいや香りを引き出し、他にはない料理を作り出している。

モロッコ料理には、ハーブやスパイスがふんだんに使われる
モロッコは北アフリカに位置し、地中海に面している。そのため、アフリカや地中海沿岸諸国の多様な文化を取り入れ、独自の食文化を築いてきた。

モロッコ料理はもともとベルベル人の料理だったが、それにスペイン、コルシカ、ポルトガル、ムーア、中東、地中海、アフリカの料理が融合し、現在に至る。

モロッコの食文化から、モロッコが文化的に多くの国の影響を受けてきたことが垣間見える。

モロッコ周辺の地域「マグリブ」は、アラビア語で「日の没する地」

「東京(日出ずる処)」から「マグリブ(日の没する地)」までは片道20時間

モロッコ周辺の地域は「マグリブ」と呼ばれている。

「マグリブ」とはアラビア語で「日の没する地」という意味であり、日本が「日出ずる処」と呼ばれているのとは対照的だ。

日本から遠く離れたモロッコへは直行便が就航されておらず、行くには片道およそ20時間かかる。また、モロッコには外国と繋がった列車が存在しておらず、フランスとモロッコを結ぶバスが2日以上かかるなど、モロッコを訪れるには相当な覚悟が必要だ。

遠くてすぐに行けない国に思いを馳せる時間はもったいない。モロッコに行かずに、東京で本格的なモロッコ料理を楽しめたらどんなによいだろうか。

東京のレストランで味わう、本場モロッコの家庭料理。

西荻窪「タムタム(tam tamu)」、孤独のグルメでも紹介された人気店

タムタム「ラムとサツマイモとプルーンのタジン」
「タムタム(tam tamu)」はJR中央・総武線西荻窪駅南口から徒歩3分の場所にあり、2020年3月に移転オープンした。

モロッコ雑貨を販売しており、店内は赤を基調としたアラビアンヨーロッパの空間になっている。お皿や音楽など至るところにモロッコ文化が散りばめられており、まるでモロッコを訪れたような非日常を味わえる。

おすすめメニューは、スペシャルコース。
前菜とメイン料理にたっぷりと野菜が使われているヘルシーさが魅力だ。メインにタジンとクスクスの両方を食べられるのもうれしい。

デザートにモロッコならではのスパイスアイスクリームを提供するなど、メニューのこだわりが徹底している。


タムタム(tam tamu)
住所:東京都杉並区松庵3-25-9 北斗参番館 1F
tel:050-5869-7478
営業時間:17:00~23:00
定休日:月曜、第1・第3火曜

料理教室にも力を入れる「ルマグレブシャンデリア」、大使館御用達の西麻布で評判の店

ルマグレブシャンデリア「クスクスといろいろ野菜とスペシャルモロッコスパイスの煮込み」
「ルマグレブシャンデリア」は日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩6分、西麻布交差点からすぐの場所にあり、モロッコ大使館御用達の料理店だ。

「帰宅途中の明かりになれるように」という願いから店名にChandelier(シャンデリア)とつけられているだけあって、キラキラ輝く店にふらりと足を踏み入れたくなる。

モロッコ人がシェフをしており、エキゾチックな内装はすべてモロッコのものだ。

アラビアンなベリーダンスショーやモロッコ料理の教室などのイベントが開催されており、食事はもちろんのこと、モロッコ文化も堪能できる。

おすすめメニューは、BBQコース2時間飲み放題付。味付き肉を店のテラスで自ら焼きBBQを楽しめる。テラス席は8名まで利用可能。

スパイスとハーブが絶妙なタジンや、野菜がたっぷり入ったクスクスも人気がある。


ルマグレブシャンデリア
住所:東京都港区西麻布1-12-5 SW六本木通ビル1F(旧名:山武霞町ビル)
tel:050-5589-5919
営業時間:火~金17:00~23:30土 11:30~23:30 日11:30~22:30
定休日:月曜

家庭的なタジンやクスクスに舌つづみ、下北沢の隠れ家「エンリケマルエコス」

エンリケマルエコス「牛肉とグリンピースのタジン」
「エンリケマルエコス」は小田急線東北沢駅東口より徒歩1分の場所にある。

店名に「モロッコ料理の台所」と記してあるのは、家庭の味を追求してきた店だからだ。モロッコの人々は、家庭で食べる日常のモロッコ料理を何より誇りに思っており、その家庭料理を再現して食べさせてくれる。

現地モロッコで学んだシェフが、スパイスを控えめにして日本人の口に合うように調理しているため、初めてのモロッコ料理としてもおすすめしたい。

おすすめメニューは、コース料理。5名以上はお任せのコースを用意しているが、できる限り要望に応えてくれるそうだ。ベジタリアンメニューも用意されている。


エンリケマルエコス
住所:東京都世田谷区北沢3-1-15
tel:03-3467-1106
営業時間:火〜金18:00~22:00 土・日・祝日17:30~21:30
定休日:月曜

レシピを参考にモロッコ料理に挑戦、クスクスを調理してみる

世界最小のパスタ「クスクス」

「クスクス」は世界最小のパスタ

クスクスは小麦粉を水とこねて粒状にし、大きさが約1mmになるように丸めてそぼろ状にしたもの。世界最小のパスタと呼ばれており、野菜や肉を煮込んだスープなどと混ぜて食べることが多い。

ビタミンB群や食物繊維、ミネラルを多く含み、米より低カロリーでヘルシーなのが魅力だ。料理店だけではなく家庭で気軽にモロッコ料理を楽しむために、クスクスを使ったアレンジ料理を紹介しよう。

クスクスでお手軽!モロッコ料理風アレンジレシピ

クスクスはモロッコ料理には欠かせない
《トマト鍋のクスクス》

具材は鶏もも肉を1枚、なすを1本、ズッキーニと玉ねぎはそれぞれ大きいものを半分、コリアンダーとパセリを1束ずつ、カットトマト缶を1/2、水煮缶のひよこ豆を200g、パプリカは赤と黄を1/2ずつ使うと彩りがよい。

香辛料にはターメリックパウダーを大さじ1/2、パプリカパウダーとしょうがパウダーをそれぞれ大さじ1、ブレンドしておこう。

鶏もも肉は食べやすい大きさに切って、塩こしょうで下味を付ける。鍋にオリーブオイルを熱し、両面がこんがりとしたきつね色になるまで焼いていく。

鍋にトマトと香辛料、1カップの水を加え、風味付けにコリアンダー、パセリを浮かべる。一度強火にしてアクを取り除いたら、中火~弱火に切り替えて30分ほど煮込んでいく。

なすは縦に4等分したものを半分の長さに切り、水にさらしてアクを抜く。他の野菜類もお好みのサイズに切っておこう。ズッキーニは1cm幅の輪切りが最適だ。

鍋からコリアンダー、パセリを取り除き、野菜類とひよこ豆を入れてさらに20分ほど煮込む。この際、バターを適量加えるとまろやかになるので、ぜひ試してみてほしい。

クスクスはボウルに取り出し、適量の熱湯、オリーブオイルを大さじ1、塩を少々加えて少し混ぜ、蓋をして5分ほど蒸らしたあとは余分な湯を切っておく。

できあがったら、煮込んだ具材をクスクスにかけながらいただこう。
具材とクスクスをよく和えて、味をなじませてから食べるのもおすすめだ。具材や食べ方をアレンジして、お好みのレシピを研究しみてはいかがだろうか。

東京で味わう地中海。モロッカンな体験を。

モロッコ料理店の雰囲気を味わう
モロッコはフランスの植民地だったこともあり、アジアンテイストやヨーロピアンテイストが混ざり合ったエキゾチックなインテリアが特徴。

料理店で食事をすればその雰囲気を存分に味わえ、モロッコ人店主と実際のモロッコについて語り合えるだろう。

遠い国に旅をしなくても本格的な料理店を訪れるだけで、異文化の魅力を十分に感じることが可能だ。