Vol.145

FOOD

07 JUL 2020

沖縄から世界のジンラバーへ「まさひろオキナワジン レシピ01」

本場ヨーロッパ各地でジンブームが巻き起こって早10年、日本でも国産クラフトジンが盛んに造られ、ジン専門バーやジンフェスティバルなど新たなスポットも誕生している。単なる一過性のブームにとどまらず、ジンラバーと呼ばれるジン愛好家はじわじわと増え続け、人気のお酒として定着してきた。数あるジャパニーズクラフトジンのなかでも独特の個性を発揮しているのが、泡盛ベースの「まさひろオキナワジン レシピ01」。創業130年を超える泡盛酒造が挑戦した渾身の力作は、一人暮らしの家飲みを充分に楽しませてくれる逸品だ。 

南国のボタニカルで親しみやすい「まさひろオキナワジン レシピ01」

日本最古の蒸留酒・泡盛でクラフトジンを

沖縄県糸満市にある「まさひろ酒造株式会社」は、1883年に首里王府城下町にて創業した歴史ある泡盛酒造。伝統技法を守りながらも積極的に新しい市場開拓に挑んでいる、常に一歩先を行くパイオニア的存在だ。今回も他社に先駆けて、初の泡盛ベースのクラフトジンを完成させた。

琉球王朝時代の料理長職の子孫が創業

創業100周年の年に城下町「首里」から、海の町「糸満」に移転。

ギャラリーには国内外で受賞した数々の賞と商品が一堂に並んでいる。
まさひろ酒造の泡盛は、泡盛特有のクセがなくすっきりした中に香りが華やかに際立つ、ほのかに甘いやさしい味わい。飲みやすいので女性や初心者でも泡盛の魅力を楽しむことができ、全国や海外にも進出し世界中に泡盛ファンを増やしている。

「島唄」「まさひろ」の銘柄は、関東を中心に全国に販路展開している。
そんな人気の泡盛酒造が造るクラフトジンとは、どんなものなのか。

「まさひろ酒造」創業家5代目の常務取締役・比嘉昌泰さんと、「まさひろオキナワジン」開発の指揮をとった製造部次長・鈴木一人さんにお話を伺った。

海外マーケット担当の比嘉昌泰さん(左)、製造開発担当の鈴木一人さん(右)。
ジンの定義は、農作物を原料としたベースのお酒にジュニパーベリーと数種類のボタニカル(草根木皮)で香味づけした蒸留酒。泡盛は、600年余の歴史を持つ日本最古の蒸留酒。同じ蒸留酒であることから、世界各地でクラフトジン造りが流行り始めた数年前から、鈴木さんは泡盛ベースのクラフトジンの構想を温めていたという。

本腰を入れたのは、日本のジンマーケットが徐々に拡大し始めた頃。県外の取引先からも「クラフトジンを造らないのか」と後押しがあったという。満を持して、鈴木さんはジン造りに取りかかった。

泡盛の製造技術が生んだ独自のタテヨコ蒸留

「正統派のジンに近づけるのではなく、泡盛酒造の技術で造る工夫と遊びを大切にしました」と鈴木さん。蒸留機もクラフトジンのために新調したものではなく、泡盛の蒸留機を使用している。

「蒸留機にはタテ型とヨコ型がありますが、現在泡盛製造で使用しているのはタテ型の蒸留機で、酒造所には昔ながらの小さなヨコ型の蒸留機が何十年も使用されずに眠っていました。このヨコ型蒸留機を復活させたいという想いもあって、タテ型とヨコ型の蒸留機を両方使い、それぞれの特性を活かした独自の蒸留方法を確立させました」

1度に1,000本分しか蒸留できない、ミニマムサイズのヨコ型蒸留機。
タテ型の蒸留機で製造したクセのないドライテイストの泡盛を原酒とし、ジュニパーベリーと5種類の沖縄特有のボタニカルを漬け込み、風味を抽出。その後、小型のヨコ型蒸留機で2度目の蒸留を行うことで、濃厚に香味づけされた「まさひろオキナワジン」の完成となる。

泡盛を熟成する甕に囲まれるなかでクラフトジンを製造している。

どこで飲んでも沖縄の夏をイメージできる味を追求

「まさひろオキナワジン レシピ01」のコンセプトは、沖縄の太陽の下でゴクゴク飲む爽快なジン。

コンセプトイメージを再現する香味のメインには、柑橘類のシークヮーサーが選ばれた。さらに、ジュニパーベリーとシークヮーサーを融合させる重要な脇役には、何十パターンもの組み合わせを試した結果、沖縄特有の4つのボタニカルの組み合わせが決定した。

和テイストのジャパニーズクラフトジンは世界でも注目され高評価を得ているが、そのなかでも「まさひろオキナワジン レシピ01」は南国特有のボタニカルレシピで個性を発揮している。

ジンのベースとなる香りのジュニパーベリーに、シークヮーサーの爽やか味、ゴーヤーの苦味、ローゼル(ハイビスカス)の酸味、ピィパーズ(香辛料)の辛味、グァバの葉の甘味と渋味が加わり、爽やかさの中に複雑な五味を秘めた味わいだ。

沖縄の果実、野菜、花、香辛料、葉から独自のレシピを生みだした。
海外マーケットを担当する常務取締役の比嘉さんによると、外国では「ユニークな味、ユニークなジン」と評価され、アメリカを中心にヨーロッパやアジアなど多くの国で好まれているそうだ。

シークヮーサーの爽やかな柑橘系の香りと、飲んだあとに来るボディ感、ほのかに感じるそれぞれのボタニカルの絶妙な香味が「ユニーク」と評されているのだろう。

常夏の空と海をイメージしたブルーボトル。

南国らしい飲み方として、陽気にショットでグイっと飲むのもおすすめ。
ボタニカルの主張が強いのでカクテルベースにするよりも、ロックやショットのストレートか、炭酸水やトニック割りでシンプルに味わうのがおすすめ。賑やかに仲間たちと一緒に飲むのもいいが、まずは一人でじっくり堪能してほしい。

「まさひろオキナワジン」に秘められたストーリーに想いを馳せたり、感性を研ぎ澄ませてボタニカルの五味を感じたりと、深く楽しむことができるお酒なので、一人暮らしや一人の時間を充実させてくれる。

1日の終わりに、癒しの1杯

平日の夜、食後に軽く飲みたいとき。週末の夜、映画鑑賞や読書のお供に。そんなシーンには、チーズやナッツを添えてロックもしくはショットで味わいたい。「まさひろオキナワジン」は47度とアルコール度数が高いので、ゆっくりと少しずつ。心地よい爽やかな味わいは気持ちをリフレッシュさせ、強めのアルコールは体の疲れや緊張をほぐしてくれる。一人暮らしだから許される、まったりとお酒に酔いしれるひとときだ。頑張った自分へのご褒美時間を楽しもう。

柑橘系だから、チーズやドライフルーツとは相性抜群。

休日は早い時間から、ゴクゴクと爽快に

まさひろ酒造イチ押しの飲み方は、キンキンに冷えたソーダ割り。炭酸水も「まさひろオキナワジン」も、しっかり冷やすのがポイントだそう。シークヮーサーが効いているので、氷と炭酸水だけで十分。太陽の下でゴクゴク飲んで欲しいという、コンセプト通りの飲み方だ。

天気の良い日は、窓辺でジンのソーダ割りを。
洗濯や掃除をパパっと午前中に済ませ、午後からキンキンに冷えた「まさひろオキナワジン」を存分に味わう。暑い夏には月に2回ほどそんな休日を過ごしたい。窓際やベランダで太陽と風を感じながら飲めば、南国バカンス気分が味わえる。

どんな料理にも合うすっきり感が嬉しい。

逞しく、陽気な沖縄人のスピリット

老舗泡盛酒造が造るクラフトジンは、新しい市場や時代の流れに向き合い開拓するしなやかな逞しさや、工夫を凝らして成し遂げる柔軟な発想など、どんな状況も明るく努力し続けて乗り越える沖縄人の「なんくるないさぁ」気質が感じられる。

気分を一新したいとき、インスピレーションが欲しいとき、自分を励ましたいときなどに飲みたくなる「まさひろオキナワジン レシピ01」。働き盛り世代の一人飲みに相応しいお酒だ。

レシピ02、レシピ03の登場にも期待したい。

まさひろオキナワジン レシピ01

アルコール度数:47%
内容量:700ml
価格:3,300円 (税込)

まさひろ酒造株式会社