Vol.127

FOOD

05 MAY 2020

おやつの時間が特別になる。読むチョコレート「Chocolate Library」

私たちは毎日何かしらの食べ物を口にする。いつものことなので、「昨日は何を食べた?」と問われても、すぐに思い出せないことさえある。他方、たった1度の食事でも、何年たっても鮮明に思い出せるほど、深く記憶に残ることもある。そこには普段の「食べる」という行為に、別のシチュエーションやアクションが加わっているからかもしれない。そこで取り寄せてみたのが、異色の掛け合わせが新しいスイーツブランド「Chocolate Library(チョコレートライブラリー)」の“読むチョコレート”だった。

「読む」と「食べる」の共通項

普段文章を読むとき、どのように読んでいるだろうか
読書をするときに、文章をより深く理解し自分に落とし込むことを「咀嚼する」と表現することがある。納得するときには、「腑に落ちる」とも言う。このように、口に入れて噛んで自分の胃に落とし込む「食べる」という行為は、どうやら「読む」行為と関係性が深いようだ。

そんな普段の「読む」は、どんな「食べる」に似ているだろうか。すこし考えてみよう。

初心者向けのビジネス書を読む時は、お茶漬けのようにサラサラと流し込むように読むし、推理小説はお茶碗についた米粒1つひとつを拾うように注意深く読む。小説はスルメを食べるように、じっくり言葉を噛んでいく。エッセイの場合は、お茶請けが当てはまるだろうか。ほんの数口でもほっとして、幸せな気分を味わえる。

もちろんジャンルだけでなく、読むものの内容によっても向き合い方は変わるだろう。自分の中にどれだけ取り込めるか、どんな満足感が得られるかも変わってくる。「食べる」と「読む」の共通項は探し始めるとキリがない。ではその2つを掛け合わせると、どうなるのだろうか。

農園と都会の人々をカルチャーで繋げる。Chocolate Library

Chocolate Library。本のように、立ててディスプレイすることができる
そこで今回注目したのが、チョコレートとショートエッセイを掛け合わせて味わう“読むチョコレート”「Chocolate Library」だ。こちらはオンラインサイトで注文することができる。

本をイメージさせる名前の通り、パッケージは文庫本のようなデザイン。帯部分を外すと表紙が開くようになっている

現在は3種類で展開
「Chocolate Library」は、2019年にスタートしたスイーツブランドだ。国内の農園で手間暇かけて育てられたフルーツをドライフルーツにし、それぞれの味に合わせたオリジナルチョコレートを組み合わせている。また国内の農園の魅力を伝えるという目的を持ちながらも、農園のストーリーをそのまま伝えるのではなく、そこからインスピレーションを得た気鋭のクリエイターが、ショートエッセイという形に落とし込んでいる。

Chocolate Library Mikamo Farm × Miyu Otani (¥2,200)
影の主役であるフルーツも、深掘りすると面白いストーリーが湧き出てくる。このホワイトチョコレートがかかったイチゴのドライフルーツは、徳島県にあるミカモファームが育てた「アスカルビー」という高級イチゴを使用しているそうだ。そこに、モデル・執筆家として活躍している小谷実由による「まばたきの間にある何か」という、葉書サイズのショートエッセイが添えられている。

ドライフルーツでも芳醇なイチゴの香りがして、噛めば噛むほど甘酸っぱさとイチゴの風味が広がる。そしてホワイトチョコレートの優しい甘さが酸味を和らげてくれる。1枚1枚大切に食べたくなる味わいだ。

農園のストーリーや味を知り、自分がどう感じ、何を考えるかも大切だが、「素敵だな」と思う人が、その体験をどう実体験に結びつけ、どんな言葉を紡ぎ出すのかというのも、非常に興味深いものである。実際に都心に暮らす感度の高い若者からも注目を集め、カルチャーとして広がる動きを見せているという。

Chocolate Library Yamagami Farm × haru. (¥2,200)
こちらの“読むチョコレート”は、鹿児島県の山上農園が育てたデコポンを使用。柑橘類の中でも糖度が高く風味も良いと言われるデコポンに、ビターな味わいのチョコレートを合わせている。コントラストのある見た目で、味のインパクトも強い。ショートエッセイは、アーティスト・起業家として活躍し、インディペンデントマガジン「HIGH(er)magazine」の編集長を務めるクリエイター、haru.が「すてきなひとりぼっち、チョコレートがけ」を執筆。等身大の瑞々しい感性で書かれたほろ苦い気持ちや、前向きで爽やかな言葉が、チョコレートの味わいと絶妙にマッチする。

Chocolate Library Shiroyama Minori Farm × Rei Shito (¥2,200)
そして3つ目の“読むチョコレート”が梨だ。元パティシエが、木の植え方から美しさにこだわって育てた、千葉県にある城山みのり園の梨を使用。苦味の少ないミルクチョコレート掛け合わせることで、梨の繊細な甘さがじんわり引き立つ。梨特有のシャリシャリとした食感と相まって、あとを引くおいしさだ。添えられているショートエッセイは、フォトグラファー・ジャーナリストとして世界各地を飛び回るシトウレイが「美意識」というタイトルで執筆。言葉にも味にも、ちょっと姿勢を正して、集中して向き合いたくなる。

チョコレートを読み、ことばを味わう。そこから見つける自分の感性

読むのが先でも、食べるのが先でも、同時でも。読む×食べるから生まれる、新しい感覚を楽しもう
おやつの時間、休憩がてらショートエッセイでも読みつつチョコレートを食べてみよう、とChocolate Libraryの封を開ける。お腹が空いていたので、まずは1枚。噛めば噛むほど広がる味わいに感動して、読む暇もなく食べ終えてしまう。

続いて2枚目。余裕を持ってエッセイを読み進めながら食べてみる。気づいたら途中で食べ終わっていたのでもう1枚…と手を伸ばしたところで文章に目をやると、筆者と自分が同じ数だけチョコレートを食べていることに気づく。筆者と自分の時間の感覚が一致したようで嬉しくて、読む楽しさが何倍にも膨れ上がる。

そしてこの記事を書くためにエッセイを読み返した今、食べてもいないチョコレートの味が鮮やかに蘇るのだ。またいつか、この味を思い出すことがあるのだろう。この素敵な経験を、誰かと共有したいとも思う。そんな時は、贈り物として渡すのも良いかもしれない。

日常的に行う「読む」と「食べる」。どちらも忙しい時には、じっくり噛み砕き深く味わうことを忘れてしまいがちだ。家で過ごす時間が増え、暮らしに向き合うことができる今だからこそ、「Chocolate Library」で特別な時間と新たな感覚を体験してみてはいかがだろうか。

Chocolate Library