Vol.4

KOTO

28 FEB 2019

アーティストたちが捉える“つながり”「六本木クロッシング2019展」開催

「つながり」と聞くと、何を想像するだろうか。血のつながり、人と人とのつながり、SNS上でのつながり、環境とのつながり……。異質なもの同士がつながることで新しいものや関係性の創造をすることもできるだろう。そこで今回は「つないでみる」をテーマに25組の日本のアーティストが参加した「六本木クロッシング2019展」を紹介。つながりを通して、新しい視点を発見しよう。

現代アート、メディアアート、ファッションなど幅広いジャンルのアーティストが集結

「六本木クロッシング」は森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来開催してきたシリーズ展だ。

第6回目の開催となる「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、現代の表現を通して見えてくる「つながり」に注目しながら、1970-80年代生まれを中心とした日本のアーティスト25組を紹介する。シリーズ初の試みとして、森美術館の3名のキュレーターが共同キュレーションを行ったことで、幅広いジャンルのアーティストと作品が集まった。

「六本木クロッシング2019展」が注目するのは、情報通信技術など、さまざまなテクノロジーが加速度的に進化することによって生まれた「分断」。テクノロジーは私たちの生活を便利にしながら、閉鎖的なコミュニティや偏った政治観、経済格差などの分断的な現象が起こっていると指摘する。

こうしたなかでアーティストが試みるのは、対極のものを接続すること、異質なものを融合すること、本来備わっている繋がりを可視化することなどだ。作品を通じてさまざまな「つながり」を提示していく。それらは現代社会に対する批評的な視点や発想の転換でもあり、「分断」と向き合う為のヒントとなるだろう。

注目は最新テクノロジーを駆使した実験的作品

アンリアレイジ 《A LIVE UN LIVE》 2019年 ミクスト・メディア・インスタレーション 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京)
専門的な知識や経験が必要とされる最新のテクノロジーだが、アーティスト達は最新の技術や理論を独自の方法で柔軟に発展させ、これまでにない実験的な作品や表現を創り出す。

森永邦彦が率いるファッションブランドの「アンリアレイジ」は、東京大学の川原研究室とコラボレーションし《ALIVE UN LIVE》を発表。人の体温で形状が変化する、低沸点液体を使った新しい服のあり方を提案する。

平川紀道《datum》2019年 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
コンピュータ・プログラミングによって、リアルタイム処理を用いたインスタレーションを行う平川紀道。《datum》は、ありふれた風景画像を独自のアルゴリズムで変換することで、数学理論的に考え得る多次元空間を表現する。

竹川宣彰《猫オリンピック:開会式》(部分)2019年 Courtesy:Ota Fine Arts, Tokyo 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
一方で、社会学的な視点から世の中や身の回りで起こっていることを観察し、そこに潜む事実やまったく新しい発見を導き出す作品も展示されている。

竹川宣彰の《猫オリンピック:開会式》は、猫たちが無邪気にスポーツの祭典に興じる愛らしい様子を通じて、2020年の東京オリンピック開催に沸く日本を普段とは違う視点から考えるきっかけを与えてくれるだろう。

他にも25組のアーティストが、それぞれの視点から幅広い作品を発表。参加するアーティストは70〜80年代生まれが中心なので、同世代の感覚に共感しながら、普段とは違う視点で新たな「つながり」を意識することができるはずだ。日本の今に向き合う有意義な機会として、展示会に訪れてみてはいかがだろうか。

森美術館15周年記念展 六本木クロッシング2019展:つないでみる

この展示会は終了しました

会期:2019年2月9日~5月26日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00~22:00(火〜17:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1800円 / 大学・高校生 1200円 / 4歳〜中学生 600円 / 65歳以上 1500円

問合せ:03-5777-8600