Vol.36

UNIQUE

17 MAY 2019

感動はどう起こる?nendoが提案する、左脳と右脳でたのしむ日本の美

「感動する」とはどういうことだろうか?たとえば展覧会で美術作品を見た時。展示会場にあるキャプションや音声ガイドなどの情報から、コンテクストを知ることで生まれる感動もあれば、出会った瞬間に心奪われるような、えも言われぬ感動が起こることもあるだろう。そう、感動には種類があるのだ。1つの作品を見て「左脳的感動」と「右脳的感動」の両方を体験できたら、1度で2度楽しめるではないか。そんなユニークな発想の展覧会が東京・六本木のサントリー美術館で開催されている。

nendoとサントリー美術館がコラボ「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展

あなたは理論派か、直感派かと問われたとき、どう答えるだろうか?どちらかを知るためにぜひ体験してもらいたいのが、東京・六本木にあるサントリー美術館で2019年6月2日まで開催中の、「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展だ。

例えば私たちが美術作品を前にしたら。あなたはその作品の背景にある製作過程や作者の意図、想いなどを知ることで感動が生まれるタイプだろうか?それとも、ただただ理由もなく心が揺さぶられて、時には涙するほどの感動を得られるタイプだろうか?

この展覧会は、人には上記のような2種類の感動があると仮定して、前者を「information(左脳的感動)」、後者を「inspiration(右脳的感動)」と位置づけ、同一の作品に対して2つの異なる鑑賞の仕方を提案するユニークなものだ。
ここで紹介する展示の一例でも、あえて解説はしないでおこう。会場に足を運んだ時、右脳と左脳の閃きから導かれる独自の解釈を楽しんで欲しい。

藍色ちろり 江戸時代中期 18世紀 サントリー美術館 

Photo: 岩崎寛
本展覧会は、サントリー美術館と佐藤オオキ率いるデザインオフィス「 nendo 」が共同で企画・展示デザインを手がけ、日本美術を新しい視点で紹介するというもの。

nendoは2002年に設立され、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど幅広い分野で活動するデザインオフィスだ。デザインを通して、日常にあるたくさんの小さな気付きをかたちにしている。

赤楽茶碗 銘熟柿 本阿弥光悦 江戸時代前期 17世紀前半 サントリー美術館 

Photo: 岩崎寛
本展覧会では、サントリー美術館が所蔵する作品・約3,000件の中から選定された、室町時代〜明治時代初期に制作された27件が展示されている。会場には「information」と「inspiration」の2つの展示空間が設置され、その狭間に作品を配置。このように展示することで、1つの展覧会のようで2つの楽しみ方があり、1度で2度楽しめる構成となっている。
また、展示会場の中間に位置する吹き抜け空間では、日本美術とは切っても切れない「四季」をテーマにした映像作品「uncovered skies」も展示されている。こちらは、今回の展覧会のために nendo が制作したオリジナル作品となる。この作品もまた、製作過程や技術的な解説を楽しめる「information」的要素と、直感的に体感できる「inspiration」的な要素を兼ね備えている。

薩摩切子 藍色被船形鉢 江戸時代後期 19世紀中頃 サントリー美術館 

Photo: 岩崎寛
「information」と「inspiration」、2つの異なる鑑賞を提案するこの展覧会が目的としているのは、決して左脳的な美意識と右脳的な美意識に優劣をつけることではない。一度両者の美意識を意識的に切り離すことで、そこから抜け落ちた価値や、重複した要素、そして浮かび上がる多くの矛盾に気づくことを狙いとしている。

菊蒔絵煙草盆 江戸時代後期 19世紀 サントリー美術館

Photo: 岩崎寛
感動の種類は人それぞれ。この展示で、人々が作品に対して受ける印象の個人差は如実に現れるだろう。1人ではなく誰かと行き、鑑賞者同士で感想を言い合い、受けた印象の違いを知るのもいいだろう。

私たちの感動がどのようにして生まれているのか、その詳細は未だ科学でも解明されていない。しかしながら、感動を起こす左右の脳の間には膨大なグレーゾーンが横たわっている。その謎と魅力を、このユニークな展覧会を通して再認識してみてはいかがだろうか?

nendo×Suntory Museum of Art

「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展

この展示会は終了しました

会期:2019年4月27日(土)~6月2日(日)
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
開館時間:10:00~18:00 ※金・土は10時~20時、5月25日は10時から24時
入館料:1,300円

公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_2/index.html